僕の狂ったフェミ彼女 ミン・ジヒョン 「愛」も「権利」もゆずれない、2人の戦争のような恋愛
あらすじ
就活を前に不安な僕を癒してくれた、愛らしい僕の彼女。毎日のようにベッタリで、付き合って1周年を迎えた。
そんなとき僕は、1年間の海外インターンシップに行くことに。
遠距離は不安だけど、彼女なら安心だ、待っていてくれるはず――。
しかし、出国当日。空港にいたのは、涙ぐむ彼女を抱きしめる僕ではなく、別れのメールをもらってメンタルが崩壊した僕だった。
そんな初恋を引きずりながら 大企業に就職し3年目を迎えた「僕」ことスンジュン。
周囲はほとんど結婚して、「まだ独身なの?」とからかわれることも多い。結婚する女性を選ぶだけなのに、なかなか結婚への意欲がわかない。
そんなある日、初恋の彼女と出くわした! 心がまた動き出す……
ところが、彼女はこともあろうにフェミニストになっていた!
「愛」も「権利」もゆずれない、2人の戦争のような恋愛が始まる。
主人公「僕」の視点で描かれる、フェミニストの彼女の姿。そこには、今を生きる私たちの「現実」が詰まっている――。
本国では「『猟奇的な彼女』のフェミニストバージョン」といわれ、台湾版刊行時には「キム・ジヨンが結婚前にこの小説を読んでいたら人生が変わっていたかも」とキャッチコピーがつけられた、今をいきる、あなたのための物語。
感想と解説
韓国では、儒教文化による家父長制が日本と同じくらい強固で、男女問わず結婚して親や子の面倒見て可愛く優しく男に尽くすのが幸せという価値観を若者に押し付けられ、会社では上司や同僚に勤務中の服装などを細かく注意され人間関係を逆手に取られてセクハラされたり性犯罪が起きていることが判明した。
盗撮動画をネットに流出させる事件などが起こり、フェミニストが女性の権利を保護拡大するムーブメントが起こった。
主人公スンジュンは、アメリカにインターンシップに行く時に別れ、元カノと再会するが、彼女は堕胎する権利を求めるデモに参加する「メガル」いわゆるフェミニストになっていた。
元カノに未練があるスンジュンは、自分と付き合ってハンナムいわゆる男尊女卑の男を変えてみろと言い、「結婚して親の面倒をみるのが幸せ」という普通の価値観にスンジュンは彼女を引き戻そうとするが、自分と彼女の価値観の違いを思い知らされるギクシャクした恋愛を通して、男尊女卑の自覚がないスンジュンの「彼女が日々遭遇する女性であることで被るセクハラなどについて語ると、自分が男性全員を一緒くたにして責められている気がしていやだ」「彼女を守るためという名目で飲み会や深夜までの仕事を、出来ないように牽制してくる」「料理などの家事をしない」「彼女の服装などを注文してくる」「彼女に言われるまで避妊しない」「ルッキズムって言うけど、女性だって容姿の良さで得しているだろ」などの無意識な男尊女卑意識を通して普通の男性の中にでもある無意識な男尊女卑を炙り出すことで、女性が自分の権利や生き方の選択の自由を守りながら恋愛し家庭を持つことそして女性の権利や選択の自由を尊重してくれるパートナーに出会えることが難しい「30代フェミニストの恋愛はまるでドラマ「ウォーキング・デッド」みたい」というのが、骨身に沁みる恋愛小説でカップルや夫婦で読むことをおススメします。