犬神家の一族 NHKBS金田一耕助シリーズ 満たされない思い故に泥沼化する愛と憎しみの連鎖と遺産争い
あらすじ
———犬神財閥の創始者、犬神佐兵衛が亡くなった。佐兵衛のばく大な遺産をめぐって起こる謎の連続殺人。名探偵・金田一耕助(吉岡秀隆)の推理が始まる。
映画テイストあふれる映像で話題を呼んできたNHK版「金田一耕助シリーズ」。
「獄門島」(2016)・「悪魔が来りて笛を吹く」(2018)・「八つ墓村」(2019)に続き、満を持して「犬神家の一族」を、前後編各90分の大ボリュームでドラマ化。
脚本は、ドラマ「岸辺露伴は動かない」、アニメ「進撃の巨人」などで知られる小林靖子。
監督は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を撮り終えたばかりの吉田照幸が手がける。
感想など
ビルマでの地獄のような戦場から始まり、本当に欲しい相手から愛情をもらえなかったが故の犬神家に渦巻く愛と憎しみの連鎖をじっくりネットリと描いている犬神家の愛憎劇が、大竹しのぶや南果歩や堀内敬子や金子大地などの演技派俳優のアンサンブルで描かれてるので、映画並みに見応えがある。
特に、大竹しのぶ演じる松子と金子大地演じる佐清の親子愛が、母と幼くして死に別れた青沼静馬の母の愛を求める心情と交錯して描かれてるのが、真相が明らかになるクライマックスをより切なくしている。
朴訥としていながらも、優れた観察力と洞察力で犯人や動機を注意深く推理する吉岡秀隆演じる金田一耕助の推理劇が、映画版やドラマ版よりスリリングなサスペンスミステリーに仕上がっている。
脚本の小林靖子入魂の事件の真相に、驚愕の再解釈を加えた2段落ちのクライマックスは、金田一耕助ファンにもそう来たかと思わせるリアリティと犬神家の一族の業の深さがあって、有名過ぎる題材に新風を吹き込んだ傑作サスペンスミステリードラマ。
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