
『感動を与えてくれる原動力』私がファッションを好きな理由。days_palt16
"ファッションにまつわる感動は数えきれない。"
初めてねだって買ってもらった洋服は英字プリントのトレーナーだった。小学校に上がった時、イトーヨーカドーに母と行って紺地に黄色の英字プリントのトレーナーをみて直感的に『欲しい!』とセンサーが反応したのである。1200円くらいの厚めの生地でできたトレーナーだった。それから僕は毎日その服で通学した。友達に自慢したかったのだと思う。そのうちあまりにも僕が同じ洋服で学校にやってきてボロボロになっても交換しないものだから心配した担任の先生が『木下君は服を着替えさせてますか?』と三者面談で両親に尋ねた。父も母も僕が好きでそのトレーナーを着て登校しているのを知っていたから『毎日交換させてます。でもその洋服ばかり着たがるんです』と正直に話した。これには先生も参ってしまって間接的に僕が洋服を着替えるように伝えようとしていた。その試みはうまくいかずその後も僕は好きな服をずっと着続ける生活を26歳の今も続けている。流石に大人の今はちゃんと洗ったものを着るように心がけているが組み合わせを変えて着回しているのは変わらない。
Instagram :days_palt16 https://www.instagram.com/days_palt16/
Instagramでは日々のファッションを投稿している。
最近はストリート系のコーディネートにハマっている。カジュアルでもハイブランドでも合わせやすくて街をブラブラ歩くのには最適だし、今シーズントレンドのメンズパステルカラースタイルも初心者に取り入れやすいのもポイントである。カジュアルではUNIQLOが大好きで、ハイブランドではNumeroventunoやLautashi, Tenderperson などラグジュアリーの中にもストリートだったりテクノロジーのエッセンスだったり一味も二味も継ぎ足しているブランドを愛している。
僕は元々2020年6月19日にオープンしたUNIQLO TOKYO のショップスタッフとして働いていた。ロジスティクスメンバーとして採用されてその後コラボレーションコーナーに配属されるようになった。そこで現代東京ファッションや世界各国の一流デザイナーが生み出す最新トレンドを学ぶことができた。一番衝撃的だったのはジルサンダー女史とUNIQLOの11年ぶりの+Jコレクションである。当日出勤すると空気が普段の5倍以上張り詰めていてオープンと同時に飛ぶように衣服が売れていった。ジルサンダー氏がドイツで丁寧に集めた空気缶を置いていたとしてもお客様は価値を見出して買っていくのではないか?と錯覚したほどだ。そのようなコラボがシーズンごとにある。今思い出しても人生で一番スペシャルなひとときだった。
最もUNIQLO在籍期間で感動したのは間近で柳井社長を目撃したことである。Tシャツを畳む僕の横を檄を飛ばしながら競歩のスピードぐらいー早すぎてそう見えたーで駆け抜けていった。ほんの束の間だったけれども、一流中の一流であった。ファッション業界はスピード勝負だから Fast Retailing と名付けた理由も納得できた。柳井正氏はフランス大統領の顧問も務めた哲学者ジャック・アタリ氏と対談している。その中で『ポジティブ・ソサエティ』の重要性を進言され現代社会に警鐘を鳴らしている。
『ポジティブソサエティへの旅 特別対談 ジャックアタリ 柳井正 』 https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/report/interview/
ジャック・アタリ氏は柳井正氏に対してファーストリテーリングはポジティブソサエティを牽引していくと激励する。そのような世界を見通す哲学者が認める企業で1年間働き抜いたというのは僥倖であった。そんな素晴らしい場所で働けただけでなく3ヶ月目でMVPに選ばれる稀有な経験を得られたこと、辞職の際にもいずれまた戻ってきてくださいと認めてもらえたことは人生における永遠の誇りである。
僕がファッションに人生を賭けるきっかけになったのはやはりUNIQLOだった。僕は所沢高校というファッションもメイクも自由な校則のない高校出身である。EXILEや芥川賞作家、デザイナー、Google社員など個性溢れたOB・OGメンバーがいるこの高校は奇抜なヘアスタイルやギャルメイクのJK・DKがたくさんいて毎日が夏休み終わりに盛り上がる文化祭のようで楽しかった。僕はその高校でいたって普通に過ごしていた。目立ちすぎることもなく真面目すぎることもなく弾ける時は弾けて真剣な時は真剣に遊び学んでいた。僕はファッションのいろはもそれまで意識したことはなかったけれど、文化祭の時に売っているPUNEという原宿のかつての人気雑誌TUNEをもじった手作り感満載のマガジンを買って今井健太郎先輩という金髪・Gジャン・ブラックデニムにチェックシャツを内側にイン、仕上げで腰には鉄のチェーンという格好のモデルが掲載されているのを見て『カッコ良すぎる!』と衝撃を受けて、先輩に近づきたくて見よう見真似でオシャレを文字通り勉強していった。その頃『CHOKi CHOKi』という雑誌がトレンドの最先端を走っていて毎月TSUTAYAで購入して少しずつ洋服を増やしていった。剣道部の同期と初めて原宿にも行ってみた。峯岸みなみさんを見たりケバブを食べたり案の定黒人にTシャツを売りつけられそうになったり心の底から原宿カルチャーを満喫していた。。そうして失敗と成功を繰り返しながら『オシャレとはなんぞや』ということを噛み締めていった。
最初の話に戻ると、見よう見真似で洋服を着ていった僕を助けてくれてのはUNIQLOだった。UNIQLOのーもうネットにすら写真が見当たらないけれどーオオカミにカラフルなフラワーのバックプリントを施したUTを着ていたら岩渕小太郎君というミュージシャンをやっているクラスの友人が
『それ高級ブランドの洋服でしょ?いいなー』
と僕の横で大声を出すから
『UNIQLOだよ。500円』
と言ったら
『嘘でしょ?!マジ?超安いし、UNIQLOめっちゃオシャレじゃん!』
と切り返してくれて、それからその男の子とよく喋るようになった。それまでクラスがつまらなく感じていて早く部活の時間にならないかなと願っていた毎日だったのでファッションが僕を高校生活に引き止めてくれた。それからさらに会話の糸口にしたくてファッションに力を入れていきシャツコーデや色使いなどシンプルな服装を極めていった。ブランドものは持ってなかったけれど、その頃からストリート要素のある洋服が好きだったのかもしれない。
それから卒業して大学に行き、オシャレが好きだったことなんて忘れて勉学に打ち込んだ。ふとしたきっかけでデザイナーになった友達に会うことがあって羨ましい気もしたがそこまで深く考えてはいなかった。
そして転機が訪れる。
大学を中退することになったのである。僕は何もしたいことがなかったのでインターネットに夢中になりTwitterやインスタグラムのフォロワーを増やし続けた。いっとき700人近くのインスタグラムフォロワーを獲得してSNSの合計フォロワー数は2000人を超えた。最高で500いいねをもらったこともあり僕はネット中毒のようにSNSの沼へとハマっていった。そして僕はなんの前触れもなく能を始める。人間国宝に最も近い人々のもとで1年間修行した。とてもキツくて過酷な経験だった。能を30本以上無料で観覧して着物の美しさや日本的所作の可憐さを知る機会だった。その時ふと洋服の仕事をしてみたいと思うときがあった。伝統文化と現代カルチャーを混ぜ合わせる洋服作りは需要があるような気がした。体力不足で能も辞めることになった。そして僕は特に理由もなくUNIQLOで働き始める。掃除のやり方も物の並べ方もわからないマイナスからのスタートだった。たくさんしごかれたし、涙を飲むこともあった。これもまたすぐに辞める時が来た。それから半年のうちに新型コロナウイルスが流行するようになり新しい日常が始まった。僕はファッションに対する情熱を持ち続けていてもう一度服の現場に戻りたいと思うようになっていた。それからインスタグラムにもっと力を入れファッションモデル鈴木えみさん主催の洋服や彼女のブランドLautashiについて交流するオンラインサロンI to Lautashiにも入会した。
I to Lautashi インスタグラム @i_to_lautashi https://www.instagram.com/i_to_lautashi/?hl=en note: https://note.com/i_to_lautashi/
その時期は新型コロナウイルスの影響でファッション業界は苦境に立たされていた。唯一募集していたのがUNIQLOであった。僕はガムシャラにUNIQLOを受け続けた。面接の場で一緒に質問を答える大学生は『コロナの影響』を口々に語り皆同じように思えた。だから僕はあえて『サスティナビリティ』について答えるようにしていた。すると15回目の面接ー確か御徒町店だったと思うーで店長が『サスティナビリティ』ではなくて『お客様』をアピールした方が成功するよ、とアドバイスをくれた。その通りに実践する構えで面接に臨んだらラストのつもりで訪れたUNIQLO TOKYOで不思議と採用が決まった。それから上に記した千と千尋の神隠し感のある立派な大人に成長するための激闘が始まり現在に至る。
思えばUNIQLOに救われてばかりの人生だった。ファーストリテーリングは批判もされているけれども日本と世界における庶民の心強い味方ではあると思う。そして僕はインスタグラムやSNSをリニューアルしてフォロワーゼロから再チャレンジしている。まだ100人には到達していないが人を笑顔にして楽しませる投稿を心がけている。やっぱりファッションが最もいいねをいただける。必ず洋服は着る物なのでファッションを嫌いな人は少ないのだろう。
こんな感じの写真を投稿しているのでよかったらぜひともみていって欲しい。
Instagram : days_palt16 https://www.instagram.com/days_palt16/
投稿するときは言葉で感情をうまく捉えられるように心がけている。人を傷つけたり悲しませる文言入れないで #ハッシュタグ にこだわる。多くの人に読んでもらえることを優先していいねやコメントは求めない。それを実践していたら安定して50,000人以上のアカウントから見てもらえる機会を確保することができた。これからも執筆作業とファッションは継続していこうと思う。
話は変わるが、昨日エスモードジャポンの体験授業に伺ったので最後にそこで学んだことを書きたい。
モデリズムとスティリズムの実践的カリキュラムが特徴の学校でパリ校は世界初のファッションの専門学校である。マネキンやメジャーもこの学校が開発した。パリでは日本で言うところの文化服装学院くらいファッションといえばエスモードと言われていて由緒ある学校だそうだ。そこで立体裁断を体験した。フレアスカートを作る授業でスカートはそれこそメンズなので履いたことないけれども洋服1着に時間とお金のコストがものすごくかかっていることを理解できて大切に繰り返し着るように心がけていこうと小学生時代の自分に語るわけじゃないけれど結構身に染みて思った。針の打ち方も普段のボタン縫い付けやバッグ作りと異なり技術がいるので苦戦した。午後はCADを体験した。その時の授業風景と完成した作品である。
思ったよりも出来が良くて心強かった。もっと慣れていってプロを目指していけるぐらい成長したいと思った。
今ファッション業界は世界の動きに合わせて変わりつつある。ここはまだブルーオーシャンだし開拓しがいがあって楽しい。UNIQLOが開業してからまだ50年経っていない。日本のファッションはパリやミラノに比べて成熟していないしファッションの知識も少ない。自分の力でどこまで達成できるかは未知数だけどファッションは藝術である上に世の中の常識や慣例と結びついているので新陳代謝しにくいのが現状である。ファッションが好きで感動させられっぱなしのこの世界になにかプラスになる影響力を発揮していきたい。ファッションが生きる原動力なのは確実だしもし次も洋服を仕事にできるならばエシカルやSDGsと共に自分の個性も生かせるプライオリティを環境に置いた職場で勤務してみたい。これからの時代をリードするのは洋服であることは間違いはないだろう。
2021.8.23
SturgeonMoonの日に執筆する
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