中国経典故事絵本翻訳(1)【九色鹿2】
前回までの九色鹿
昔々、心優しい九色の毛皮の鹿がいました。頭には雪のように真っ白い角。
ある日鹿は、川で溺れている男を助けますが…
王様はそれを聞いてとても喜びました。すぐさま兵士たちを集めると、九色の鹿を捕まえるために、男の後について出発しました。
白い鳥は大勢の兵士たちがこちらに向かっていることに気づき、慌てて鹿の頭の上へ飛んで行って言いました。
「急いで逃げて!人間が君を捕まえにくる!」
鹿は逃げようとしましたが、すでに大勢の兵士たちに周囲をぐるりと取り囲まれていました。鹿は言いました。
「あなたたち、ひとまず私を捕まえようとするのはおやめなさい。私は自分の意思で王に会いに行きます。申し上げたいことがあるのです!」
鹿は自分を裏切った男を見て、王に言いました。
「私は川で溺れていたこの者を助けました。しかしあろうことか、この者は私を裏切ったのです…」
王はそれを聞いて、男をこう問いただしました。
「鹿が言ったことは真実か?」
男は震えあがり、何も言えませんでした。
王は周囲を取り囲んでいた兵士たちに道を開けるよう命じ、鹿を自由にしてあげました。
そしてこのような命令を出しました。
『以後、誰であろうと鹿を捕まえにここへ来ることを禁ずる。』
あの裏切り者の男はどうなったかって?
王の命令により兵士たちに縛り上げられ、川に投げ捨てられてしまったそうです。
<おわり>
中文翻訳初挑戦の感想など
Google先生がたまにアホになる
ほぼ正確に翻訳してくれることがほとんどなのですが、たまにGoogle先生が「いや、これ絶対違うし」っていう翻訳をしてくれました。
(かなり昔ですが「Say,Yes」って打ったら「チャゲ」って出てきたこともある)
Google翻訳だけではどうもわからない、という箇所は、とりあえずカンで中文を細切れにして、こちらの辞書にお世話になりました。例文もたくさんあったので、とても助かりました。ありがとうございます。(でもちょっと翻訳機能はトンチンカン気味)
親切を仇で返されたら淡々と物申す
命懸けで自分を川から救ってくれた鹿なんですよ。国半分やるぞって言われただけでホイホイ居場所教えるとかもう。
あの時、鹿に叩頭したのはなんだったのよ。
男の最期は少し残酷な気もしますが、鹿だってくだらない理由で殺されるところだったし、敷物にされるところでしたから…
人に親切にすることはとても素晴らしいことですが、相手がずるい人間だと気付いた時点で、この鹿のように冷静さを失わず、堂々と物申すことができる人でありたいと思いました。かっこいい。
“你们先别忙抓我,我自己去见国王,有话对他说!”
「あなたたち、ひとまず私を捕まえようとするのはおやめなさい。私は自分の意思で王に会いに行きます。申し上げたいことがあるのです!」
このセリフめっちゃしびれたので、めっちゃ言葉を選んだし何度も書き直しました。
王様が意外と物わかりが良くてよかった。
王妃のムチャぶりであんなおふれを出すくらいだからどんだけアホかと思いましたが、ちゃんと道理のわかる人でしたね。
ん?いや待って。
裁判もなく、しかも縛り上げて川に放り込むのはどうかと思いましたが(スパイ映画の主人公でもない限り、ほぼ助からないやつ)昔ってこんなもんだったんでしょう…こわい。
ちなみにこの鹿さん、角があるのでオスなのかなと勝手に解釈してますが、私の中でCVは「十二国記」で景麒の声を担当していた子安武人さんの声で再生してます。(◯◯はお嫌いか、的な淡々とした口調が好きでした)
ところで、あの鹿の敷物がないなら死んじゃう…って言ってた王妃、どうなったんでしょうね?ピンピンなさってるんでしょうけど。
翻訳楽しかった!
子ども向けの絵本なので文章も少なくて翻訳しやすかったです。
絵本はこの「九色鹿」を含めて全部で40冊あるので、また好きなお話で翻訳に挑戦したいと思います。ここ違うよ、って箇所がありましたら、この鹿のように慈悲深い態度で教えてくださると嬉しいです。
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