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書物の帝国(購書日記2020.12.1)

購入
・千早茜『クローゼット』(新潮文庫)
・イミダス編集部編『イミダス 現代の視点2021』(集英社新書)
・フアン・リンス『民主体制の崩壊』(岩波文庫)

読了

南陀楼綾繁『蒐める人』(皓星社)

古書日月堂の佐藤真砂さんのインタビュー目当てで購入。一つのことやジャンルにこだわり、蒐集する9人へのインタビュー。自分の未知のジャンルもあったけれど、ジャンルに対する愛を感じることができて、とても面白かった。インタビューからは、その人なりの哲学による「世間への還元」もあれば、自分のスキを徹底する人たちの姿が浮かび上がってくる。自分がやることがある種の継承であると信じて、経験を積んできた人たち。そういう環境で続けられることこそが、今はなかなか難しいのかもしれない。その意味で1990年代はインターネットも黎明期で、まだまだやることの余地が多かった時代なのかもしれない。効率性では測れない何かである。個人にとって必要な「子供のような好奇心」を持ち続けられる人こそが、蒐める人になれるのではないかと感じている。

1990年代のリアル古書店は、本当に品ぞろえがよかったと思う。ブックオフの黎明期でもあり、いわゆる100円均一で今で考えるとかなりのレア本を拾えたりした良い時代だった。特に遅れてきたSFファンだった自分は、早川書房の絶版・品切れSFを蒐集することに情熱を注いでいた。そんな中よく通ったのは、東急東横線沿線、早稲田、中野、神保町だった。この辺りを足しげく通うことによって、安価に色々な本を蒐集することができた。そんな蒐集の中で出会ったのが、当時古本屋をはじめたばかりの古書日月堂さんだった。当時は、大岡山→都立大学→祐天寺と古書店が多くて、古書いとうさんなどをよくまわっていた。佐藤さんは古書いとうさんで修業をして、大岡山という地で古書店を開業。良心的な値付けで、小生のSF小説コレクションの一部を成している。当時は佐藤さんもSFの値付けに慣れておらず、SFやファンタジーのジャンルを蒐集しはじめた自分が(今考えると恥ずかしいのだが)なんとなく相場を雑談で話していたのを記憶している。煙草をくゆらせながら、好きな本やジャンルについて色々とお話ししたのを記憶している。純粋に古書店めぐりが楽しい日々であった。

青山に移転されてからは、行く機会もなくなってしまったのだが、とりあえず色々な変化もあったので、どこかしらであいさつはしたい。

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