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ロング・ロング・ロング・ロード Ⅲ 道北の蒼 道央の碧 編 東京都千代田区霞が関2丁目の話

 仲野の前の電話が鳴った。
 「はい、仲野です。はい。はい。わかりました」
 電話を切ると仲野は、鏡の前に立って身繕いを始めた。
 「出てきます」
 そう言って仲野は部屋を出て行った。
 神村は「仲野です」と電話に出たことと身繕いの時間の長さから推測して、(ああ、誰か上の人間に呼び出されたな)そう思った。

 「失礼します」
 「おお、来たか。ご苦労様、ご苦労様。君は席を外してくれ」
 「はい」

 「万事うまくいったようだね」
 「いえ。少々賑やかになってしまい、申し訳ございません」
 「構わん、構わん。岡田清の身柄も拘束出来たのだろう。それなら、向こうへの貸しとして、あれぐらい賑やかで丁度いい。しかし、あれだねぇ。素人三人で、切れ者と噂されているヤクザ相手に、よく考えたものだよ」
 「ええ」
 「木村……勇作といったかな?彼はこの先、何処かで使えるんじゃないのか?」
 「そうかもしれません。ですが、先ずは、キッチリと刑期を終えてもらわないと」
 「ハハハッ、まったく怖い男だ。誰を使うにしろ、君のような有能な参謀がいてのことだろうがね」
 「ご冗談を。私はただ少し、死んだ船本に助言をしただけです」
 「どうだ、これを機に戻ろうとは思わんのかね?」
 「そのお話は……」
 「フフフッ、まぁいい。これからも頼むよ」
 仲野は深々と一礼して部屋を出て行った。

             


                      fin

        
    ロング・ロング・ロング・ロード Ⅳ 道南の涙 編へ続く

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