ロング・ロング・ロング・ロード Ⅳ 道南の涙 編 9
寝る前の心ざわめく電話にも、俺の睡眠欲は負けてはいなかった。よほど身体が疲れていたのだろう。
目覚めは爽やかだった。が、起きる時に毎朝感じる疲労感が今日は二割増し、その上、身体のあちこちに軽い痛みが生まれていた。年をとった証拠だ。
今朝も湯船には湯が張られていて、ユラユラと湯気が立ち昇っている。
シャワーを浴びながら、昨夜の美枝子の乱れようが頭に蘇ってきた。一度プールで触れて以来二十年近く憧れていた身体をこの腕に抱いたのだ。五十を過ぎたはずなのに、手入れを怠らないからか