執筆日:2023年11月25日(土)
更新日:2023年11月27日(月)
オフィシャルサイト(ポートフォリオサイト)
はじめに
教会・教会建築の専門知識や牧師の子として教会で生まれ育った五代目クリスチャンのアイデンティティーを活かして、東京や横浜などの教会をご案内しております。教会は、どんな人に対しても教会堂に入ることができる開かれた場所ですが、開かれているとは言えノンクリスチャンにとって教会は敷居が高く、なかなか入りにくいのではないでしょうか。カトリック教会は、ミサが行われる日曜日以外の平日も入り祈ることができますが、プロテスタント教会は、礼拝が行われる日曜日以外は閉まっていることがあります。その理由は、プロテスタント教会は、日曜日の礼拝で行われる説教(牧師による聖書の説き明かし)などに重きを置くことからでしょう。
そこで、教会や教会建築、教会美術などのことを数多くの人に知って頂きたいと考え、毎月1〜2回のペースで、毎週土曜日に各地域の教会を3時間ぐらいでご案内しています。2023年春から始まった教会めぐりのツアー「まいまい東京」は、参加者のほとんどがノンクリスチャンの教会建築などに関心のある人々がご参加しております。お陰様で開始当初からたくさんのご参加希望があり、2〜3倍の倍率となっております。また、リピーター率も高く、半分ぐらいの人々が2〜3回と、ご参加を重ねて頂き感謝です。
この記事では、参加したくても参加できなかった方、これから参加を予定している方、東京や横浜などの教会に関心がある方などに対して、各教会の特徴などを紹介したいと思います。
↓自著が取り上げられたじゃらんニュース記事↓
都内の教会を自著『東京の名教会さんぽ』でご紹介しています。
「まいまい東京」とは何か。どのようなツアーを行っており、どのようにしてツアー参加するのかについては、下記をご参照ください。
【銀座編】教会めぐり
2023年11月25日(土)にご案内します。
2024年1月27日(土)にご案内します。
カトリック築地教会
創立140年を超える東京最古*1のカトリック教会
*1 :近代日本最初の教会堂は、神奈川のカトリック山手教会。長崎にある国宝・大浦天主堂の3年前に献堂された
教会堂は、1999年(平成11)に東京都景観条例により歴史的建造物に選定され、2001年(平成13)に中央区からも文化財に選定される
三廊式バシリカ礼拝堂は、1878年(明治11)から1920年(大正9)まで司教座が置かれた教会であった。それ以降は、カトリック関口教会に司教座が移転する
一般的に信徒らが出入りする扉が左側にあり、中央の扉は、聖職者や結婚式等の儀礼で使用される。2階はギャラリー
1876年(明治9)に鋳造された「アンジェラスの鐘」は、旧教会堂で使用されていたものであり、「江戸のジャンヌ・ル・ルイーズ」という名が付けられている
教会堂名:聖ヨセフ
設計者:不明
建築年:1927年(昭和2)
構 造:木造(モルタル)
住 所:〒104-0044 東京都中央区明石町5-26
電話番号:03-3541-8185
礼拝時間:毎土曜日 18時分〜ミサ 毎日曜日 9時30分〜ミサ
開門時間:要問い合わせ
アクセス:地下鉄有楽町線「新富町駅」より6番出口徒歩6分、地下鉄日比谷線「築地駅」3・4番出口より徒歩8分 ※別路線有
聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂
病院の心臓である近代ゴシック建築の礼拝堂
参考:『ルドルフ・ボリング・ トイスラー小伝』
聖路加国際病院の理念
聖ルカ礼拝堂の理念
人生の重要な場面を見守る礼拝堂
キリスト教の愛を大切にする礼拝堂
各病棟から礼拝堂のギャラリー席に出て祈ることできる設計は、礼拝堂が「キリスト教の愛」を中心として、病院の心臓であることを証明している。天に召された日野原重明先生から伺ってはいたもの当時のことは知らない世代であったが、下記の写真を見られたことは幸いなことである。
聖壇周りは、楢(ナラ)材による腰壁、イタリア産のトラバーチン*2などによる床で仕上げている。
*2:緻密・硬質で縞状構造をもつ石灰岩
フランスのマルク・ガルニエ・オルガン工房製のパイプオルガン
礼拝堂のリブ・ヴォールト天井。世界でも希少な自然石による全面抗火石(こうかせき)貼り
下記の引用からもわかるように、聖ルカ礼拝堂の意匠は、直線的でモダンな建築を手がけてきたレーモンド(代表作:カトリック目黒教会)の構造的骨格を感じつつ、バーガミニの直線的で幾何学的なアールデコ(装飾美術、1925年様式)装飾やテラコッタ装飾が柔らかさを感じさせ、温もりをも感じさせてくれる。
北側の外観。十字架の鐘楼からは、聖歌のメロディーが1日3回流れる
5年ぶりに復活!聖ルカ礼拝堂に響き渡ったパイプオルガン「祈りの場」(2023年4月28日)
聖ルカ礼拝堂 竣工記念礼拝【高画質】
https://www.youtube.com/watch?v=tldOlqFAmO4
聖ルカ礼拝堂 竣工記念礼拝【高画質(ダイジェスト)】
https://www.youtube.com/watch?v=wk79tW8THYI
教会堂名:ー
設計者:アントニン・レーモンド(病院基礎設計)、J.V.W.バーガミニ(チャペル設定)
建築年:1936年
構 造:鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造 B1-7F-PH3)
住 所:〒104-0044 東京都中央区明石町10-1
電話番号:03-3541-5151(代表)
礼拝時間:毎日曜日 10時〜日曜学校 10時30分〜聖餐式・説教
開門時間:病院敷地内のため、病院の開館時間に準じる
アクセス:東京メトロ日比谷線「築地駅」より徒歩6分、東京メトロ有楽町線「新富町駅」駅より徒歩7分
日本基督教団銀座教会
日本基督教団 銀座教会“築地から銀座へ”
現在の銀座教会の前身である「築地美以(みい)教会」が1875年(明治8年)に宣教師 J.ソーパーによって居留地の築地11番に設立されてから、148年(2023年現在)
ステンドグラスには、「神は愛なり」 「神の言葉はとこしえに立つ」「聖なる光」 「イチジク」 「ナツメヤシ」 「ぶどう」 「葡萄の木」がある。作家は、ダルグラスとエポキシ樹脂による新しい手法「ロクレール」 の開発者であり、 六本木ヒルズ森タワーや、東京国立博物館など国内外に建築物を彩る作品を多数手がける、三浦啓子(みうらけいこ)である。最後の作品は、日本バプテスト連盟大井バプテスト教会・あけぼの幼稚園の礼拝堂に設置されている。
彫刻 には、「聖なる手」 「葡萄」 がある。作家は、新制作協会展新作家賞、中原悌二郎賞、東京国立近代美術館賞・神奈川県立近代美術賞ダブル賞、高村光太郎賞、長野市野外彫刻賞、神戸須磨離宮公園賞などを受賞した掛井五郎(かけいごろう)である。
版画には、「最後の晩餐」がある。敬虔なクリスチャン(プロテスタント)として知られる型染め版画の第一人者であり、日本を代表する染色工芸家・芹沢銈介に師事し、紅型染色技法を学び、1947年にそれを応用し制作した、型染め版画の処女作「ルツ物語」で日本民藝館賞、国画賞(国画会)を受賞した渡辺禎雄(わたなべさだお)である。以降、聖書の世界を型染め版画で表現し続け、日本の現代キリスト教美術を代表する作家の一人として活躍した。
おわりに
今までの教会めぐりやこれからの教会めぐりの予約ページのリンクを下記に貼りました。少しでも教会建築に関心をもって頂ければ幸いです。
今までの教会めぐり
【本郷編】2023年4月29日(土) 14:00~17:00
【横浜編】2023年6月10日(土) 9:00~12:00
【本郷編】2023年8月5日(土) 15:00~17:30
【御茶ノ水編】2023年9月16日(土) 14:00~16:30
【芝編】10月21日(土) 14:00~17:00
これからの教会めぐり
【銀座編】11月25日(土) 13:30~16:30
【横浜編】2023年12月2日(土) 9:00~12:00
【銀座編】2024年1月27日(土) 14:00~17:00
日本全国の教会めぐりは、共著『日本の最も美しい教会』でご紹介しております。
共著『日本の最も美しい教会』の新装版『日本の美しい教会』が、2023年12月に刊行されます。
「励ましのお言葉」から「お仕事のご相談」まで、ポジティブかつ幅広い声をお待ちしております。