ウマ娘のアニメはサイレンススズカの出オチで泣いて、ライスシャワーでまた泣いた

後輩に「ウマ娘のアニメ結構いいんですよ〜」と勧められてたのだが、「へ〜」と流していた。

僕がサイレンススズカが好きだったのを知っているので「サイレンススズカが好きな人こそ見て欲しい」と激推ししてきた。

「へ〜」と生返事を繰り返していると、「競馬のサイレンススズカのような側面をちゃんと描いてるんですよ」と、さらに勧めてくる。

結局、その当時は見ずに終わった。今回、ウマ娘のゲームがついにリリースされたというので、1期からアマプラで見始めて2期も追いついた。

1期はだいぶ前の作品だし、サイレンススズカのことを調べれば、すぐにどういう馬だったかわかるので、ネタバレというほどのこともないので書いてしまう。

サイレンススズカについては以前も記事を書いたので、こちらを見て欲しい。

1期を見て何故にスペシャルウィークが主人公?と思ったが、サイレンススズカが登場したところで、なるほどと思った。

このアニメはサイレンススズカについて逃げずに描くのだと。

サイレンススズカの物語がどのように終わるのか、それだけでもう最終回まで見たくなるのだ。

昔ならハイセイコーやテンポイント、そしてなんといってもオグリキャップが、そのあと何年にもわたる競馬ブームの火付け役になったのは間違いない。

中学校の同級生で足の速い子のあだ名がオグリだったりするくらいオグリキャップは、小さい子から女性にまで浸透したアイドルホースだった。

しかしながら、やっぱりダビスタ世代の心を打つのは1990年代の競馬なのである。マキバオーが漫画とアニメでヒットして、競馬がギャンブルからスポーツへと変わった瞬間でもあったと思う。

そしてサイレンススズカが最も輝いていた1998年は競馬のブームが最高潮に達していたときだ。

そこを描くにはスペシャルウィークと、サイレンススズカを描くことに他ならないと、そしてエルコンドルパサーは世界に羽ばたいた。

サイレンススズカ、エルコンドルパサー、グラスワンダーなど誰を主役にしてもおかしくない中、スペシャルウィークは絶妙な立ち位置で、このウマ娘以外にサイレンススズカ、エルコンドルパサー、グラスワンダーの物語を語ることはできないだろう。

2期はテイエムオペラオーに主人公がバトンタッチされるのだが、この世代で重なっている物語があるのはテイエムオペラオーやメジロマックィーンとなるのは当然なのだが、サイレンススズカほどのスター性に欠ける印象。

しかし、ウマ娘はサイレンススズカに続きライスシャワーの物語までも正面から取り組むのだ。

ライスシャワーは黒い刺客と呼ばれ、はからずもヒールを演じるとこになった悲劇の馬だ。サイレンススズカが悲劇のヒーローなら、ライスシャワーはダークヒーローなのだ。その運命はさらに切なく悲しい。

僕が実際に競馬を見るようになったのは、ライスシャワーの活躍の後なので、サイレンススズカほどにはこの馬を語ることはできない。

アニメのライスシャワーも単なる悲劇として描かれてはいない。そして2期の主役、オペラオーとマックイーンに脇役として絡みながら、主役を食う勢いで物語を紡ぐ。

2期の影の主役はライスシャワーに他ならない。

単なるお涙頂戴と物語ではなく葛藤と苦しみと、救いがあるのだ。ライスシャワーの生涯を知らなくても感動がある。

ウマ娘のアニメを見てゲームを始めた人たちは、自ずとその馬たちの生涯を調べるだろう。僕も改めてウマ娘たちのモデルの競走馬たちを振り返った。

当時、実際に予想をして馬券を買ってレースを見たものにしか分からない感動はある。サイレンススズカの最期のレースを見たときの気持ちは、きっと当時のレース映像を見ても分からないだろう。

僕もライスシャワーの生涯を調べても、スズカのときほどのものを感じられない。

でも、ひとりでもその物語を知って、少しでもその気持ちを分かち合えるなら、とても嬉しいことだと思うのだ。

3期があるとすれば、オグリキャップ、ナリタブライアンは出てきてるので、ディープインパクトあたりが描かれるのかも知れない。

サイレンススズカの結末も競馬ファンの望んだ結末だったと思う。僕もサイレンススズカの夢の続きを見れた。そして、ライスシャワーの救いも。

競馬はギャンブルという側面でも、動物愛護という点でも罪深いことには間違いはない。

それでもあの感動や興奮はどうしても否定できないのだ。

誰もが元ネタを調べるだろうウマ娘にサイレンススズカやライスシャワーを選び、単なる悲劇としても描かなかった。

真摯に取り組んだ良い作品だ。







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