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【感想文】抵抗勢力との向き合い方(榊巻亮)ページ数:174ページ 2017年著

【なぜこの本を読もうと思ったのか?(自分の弱みや足りない点)】

転職からよそ者としてやってきて、
経営改革を行う立場だから

【なぜそう思ったのか?】

・どんな業界や会社も、改革を実行しようとすれば同じ様な現象が起きる事自体は知っていた。

つまり再現性があると言う事なので、
あらかじめ先回りしておけば改革はスムーズに進むし、
すべては想定の範囲内におさまる。

一番体系だっているのがこの本だと感じた。

【感想文の文字数】
1,438文字/1,440文字(A4 1枚以内)

【❶結論】【‘’改革者が正である‘’という思い込みを良い意味で捨てる事ができる本】


改革者が改革をしようと思う時、
必ず何か問題意識があって始める。
「このままではいけない」と。

つまり、解決しようと思うと無意識に自身を「正義」と思い込んでしまうトラップが存在する。

もちろん課題解決をする事はとても素晴らしい事なのだが、だからと言って課題解決に動かない人間をすべて悪と認識してしまうのも考えものである。

改革者は無自覚に自分の意見を
正当化してしまうリスクがある。
物事の認識にバイアスがかかり、
客観性を失ってしまう。

抵抗とはいわば人間の生理現象であり、
必ず起こるものである。

個人レベルの話で言えばコンフォートゾーンであり、
組織レベルの話で言えば既存事業のプライドと
新規事業の重要性とプロパーからの軽視の兼ね合いだろう。
その個人/組織の話が複雑に絡み合っていると言える。

だからこそ、本書のタイトル通り「向き合う」と言う事が重要だと感じる。
実際私も転職して最初に行った事は
パートを含めた全従業員と面談だ。

会社の目標を共有する前に、

まず相手がどの様な人となりで、
どの様な価値観を持っていて、
どの様な家庭環境にあるのか?

相手の事情を知った上で、
相手のキャリアと会社の改革をどう重ねると相乗効果が
得られるのかを一緒に考えていった。

この工程をすっ飛ばすと絶対に納得感が生まれない。
この工程なしでも動いてくれなくはないが、
動きは悪くなる。当事者意識は薄まる。
それではプロジェクトは成功しない。

改革すること自体はとても良い事だ。
しかし、改革者が完ぺきではないと自覚する事も重要だ。
その先入観を取っ払う上で、
本書で学習すべきと考える。

【❷要約】

本書は変革プロジェクトを推進する立場にある
プロジェクトリーダーの視点で書かれている本であり、
技術的ではなく人間的な部分にフォーカスしている。

タイトルにも表れている通り、
抵抗側にも理屈と正義があり、
それぞれの事情を理解する事を訴えている本である。

これまでの固有ストーリーを軸としたノウハウ本では
読者が没入できなかった点を盛り込んでいるのが特徴だ。

・プロジェクト局面ごとに出る抵抗の例を出しつつ、
良い対処、悪い対処を体系立てて共有

・コンサルタントの立場で書かれた
第三者の立場よりもっと踏み込んだ泥臭い現場感

章立ては最も重要な計画策定期から始まるが、
立ち上げ期~施策実行期のフェーズごとに
どんな抵抗が生まれ、どんな解決行動を取れば良いのか網羅されている。

【❸仮説】【抵抗勢力はない方が本当に良いのか?】


個人的な経験も踏まえてプロジェクトリーダーの勘所は、
「正しく全容を共有する事」ではないだろうか。

課題は見つけた。解決方法も見えた。
全容は自分の頭の中になんとなくはある。

しかし言語化が難しい。
どの階層もわかるレベルでの言語化となると更に難しい。
大枠は決まっているものの、詳細はまだ詰め不足。

こういう中途半端は状態からスタートするのが
ほとんどではないだろうか。

プロジェクトは進むうちに明確性を
増してくる性質を持っている。

確かに最初から全容がクリアになっていて
全容を言語化できるならパーフェクトだ。

こんな時、重要なのは「フィードバック」だ。
抵抗勢力をフィードバックと捉え、
プロジェクトリーダーとしての全容共有不足を
客観的に補ってもらうと考えてみる様にしている。

そうする事で彼らも振り上げた
拳の落としどころを見つける事ができ、
能動的で良い関係性につながっていくと感じている。

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