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物語のAI分析 | 地球は火星を追い越し、感情はクロスする 「チ。 -地球の運動について-第6話」

ネガティブな感情がここまで連続する作品は滅多にありません。しかし、第5話の最後でバデーニが登場し、視聴者はようやく希望を抱けます。「やっと状況が好転するのか!」

地球が太陽を公転するのが地動説ですが、物語も好転するのでしょうか?さっそく第6話の感情遷移を調べたのが下のグラフです。

チ。第6話の感情遷移

ダメでした。感情はさらに降下していきます。しかし、6話の最後に、ほんの少しグラフが上向いています。オクジーも「今日の空、なんか綺麗じゃないですか?」とポジティブなセリフを言うようになりました。

話者別の感情遷移は以下のようなグラフになります。

チ。第6話の感情遷移(話者別)

バデーニ、世界を動かす

6話のおもな登場人物であるバデーニとオクジーの感情の動きをみると、物語全体の感情とバデーニの感情はAパートでほぼ一致しており、今回の主人公はバデーニであると、アニメ版の監督は捉えています。とはいえ「この謎の原因に人類は立ち向かわなければならない」など、挑戦的なセリフはあるものの、地動説にはたどり着いていないのです。修道院長との回想シーンで不遜で反抗的なバデーニの感情はあまり動かず、おもに修道院長のセリフがネガティブなので、全体では下降が続いています。オクジーが逡巡するシーンで「階級は最下層に落ちるけど、元々似たようなもの」といったセリフが出現し始めると、さらに急降下です。

しかし、バデーニが「あの石箱は人類に説いている。天界は崇高で、荘厳で、偉大で、広大で、そして地球と調和していると」と述べたあたりから、バデーニの感情が上向いています。ついには「慈悲深さを感じるか?この空が私にドデカイ利益を与えてくださる」のあたりでオクジーの感情をクロスして追い越し、最後のセリフ「世界を動かせ」で第6話が締めくくられます。

この作品の原作がジャンプやサンデーなら、このあとの物語は少年漫画の明るさが基調になるはずです。しかし、『チ。』の原作はビッグコミックスピリッツ。『めぞん一刻』や『YAWARA』、『美味しんぼ』を生み出した青年コミック誌である一方、『闇金ウシジマくん』の掲載誌でもあります。「チ」は「地、知」であり、「血」の物語です。大人の読み物なんです。

このシリーズでは、生成AIが人間の感情を疑似的に理解(数値化)でき、その変化を話者別にみることで、人間が感じる、この回の主人公は〇〇だったな、のような認識もできそうと紹介できました。このあとの展開は原作勢である筆者にはやや納得いかない部分もありますが、アニメ勢の皆さまは今後を楽しみにしてください。

アニメ風のイラストで、金髪でトンスラをした中世ポーランドの修道士を描写してください。彼は右目に眼帯をしており、茶色の修道服を着ています。修道士は非常に頭脳明晰で、やや不遜な表情を浮かべながら、地動説に気づく瞬間を迎えています。薄暗い修道院の中で、小さなアーチ型の窓から夜空を自信に満ちた目で見つめています。横には古い天文学の書物や簡素なアストロラーベが置かれ、彼の研究の一部がわかります。ろうそくの光が暖かくシーンを照らし、彼の知的で堂々とした雰囲気を際立たせています。

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©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会

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