ゲームマーケットに初制作アナログゲームを持っていって販売するまでの実録レポート
こんにちは、だしのやでございます。旧年は大変もお世話になりました。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
表題の通り、めちゃくちゃ遅刻プレーですが、昨年秋に出展したゲームマーケットの出展レポートを作成いたしました。
よろしければ、以下お付き合いください。
なんでやろうと思ったのか
デザイン業・ゲーム制作/開発業をするようになってしばらく経つのですが、実はカードゲームは前々から作ってみたいというアイデアはありました。なんてったって遊戯王に育てられたチルドレン世代の一人ですので…(笑)
ただ、現行のアナログTCG・デジタルTCG自体の問題点が色々あることも承知はしていたため(※初心者にとってのハードルの高さとか、システム維持のランニングコストが高すぎたりとか…)、どうせやるなら「インディー規模じゃないとできない、変なアイデアで一度ゲームを作ってみたいな〜」と思ったのがきっかけです。
また、一次創作をきちんと「コンテンツ」にする(≒外部の企業さんにしてもらうのではなく、自分でコンテンツにする)きっかけを作りたいな〜と前々から検討していた背景もありました。
イラストだけでコツコツ作成するのも手法としては無くはなかったのですが、どうせならナラティブ性やゲームコンテンツとしての性格も持たせたいな、と考えて、それならゲームにするか!と思い立った次第です。
デザインツールや機材はすべて業務用のものから流用できるのと、ほぼ自分一人だけですべての作業が完結できるため、アナログゲーム制作のわりにそんなに製作コストがかからなさそう…という見積もりがあったのも大きいです。
ちょうど同じ時期、我らが盟友チームサティスファクション…ではなく、友人諸氏のサークル「戯言商会」でもなんか新しいの作りたいよね〜と話していたこともあり、じゃあボドゲでも作るか!と言うノリで合わせ技出展をすることにしました。
そんな感じで、「シッシッ!」にも共同制作としてゲームデザイン改善・QA・データ作成などでお手伝いさせていただいています。
2021年度から、業務のプロジェクトでディレクション的なことをやるようになり、慣れと余裕が割とできたこともあり、他の人の制作をお手伝いできるようになったのはかなり大きかったです。
今回の制作メンバーを紹介するぜ!
〜サークル「戯言商会」の人々〜
・福枝みーな:「シッシッ!」制作者、切れ味の鋭い謎キャラ†創造†に定評がある
・紗々こふれ:イラスト担当、かわいい絵がメインだが時々パンチ力の高い名作が出る
・ダウト:プランニングと図面担当、話が脇道に逸れやすいことで有名。最近モンストに同名人物(?)が登場した
・だしのや:白メタ信者。
実際にやった制作工程
【DemonBrave】
・コンセプトとゲームデザイン設計
・キャラクターデザイン作成
・必要なコンポーネント、工数と予算の見積もり
・進行スケジュール管理
・「DemonBrave」「シッシッ!」雑貨販売品のデータ作成、実制作工程担当
・製品生産にあたっての内職作業発注・管理
基本的には受託制作・共同開発業務のほうに支障が出ないよう、最終締日スケジュールを意識して進行しました。
イラスト関係は、各種生産仕様やゲームデザイン立案との並行となり、今回生産分だけで密度を上げ切るのは難しいと判断したため、「こういう感じのキャラである」情報の提示を優先して作成しています。
コンポーネントの中核となるトランプカードは、モック版の入稿データを先に仕上げて試作品を制作しています。ここで実寸や紙の厚みがほぼ確認できたので、化粧箱の採寸〜制作も比較的スムーズに行うことができました。
また、今回の「DemonBrave」生産にあたって、以前在籍していた「特定非営利活動法人プエルタ スムージーハウス パッソ」様に、紙折の内職をご依頼させていただきました。
ちょうど出展準備の追い込みの時期に色々タスクが差し込みで入ってしまい、なかなか内職進まなくてヤバい!と若干焦っていたのですが、非常に丁寧かつ迅速にご助力いただけ、ものすごく助けられました!改めまして、パッソの皆様に厚くお礼申し上げます。
【シッシッ!】お手伝い分
・テストプレー&ゲームシステムのQA
・アナログデータの入稿データ作成
制作開始当初はみーなさん環境での作業完結を想定していたのですが、パッケージの作成に事実上Illustrator作業が必須となったことが判明し、急遽だしのやがヘルプ対応しました。
検証したところ、どうやら印刷業者指定のテンプレートがメディバンペイントなどでは互換データとして正常に動作しないらしく、これが原因で入稿データ作成が困難になっていました。
こちらの件は厳密な原因特定にまでは至っていないのですが、恐らくAdobe側のアプリケーションバージョン、印刷業者側で管理しているテンプレートのバージョン、メディバンペイント等の外部アプリケーションのバージョンのいずれかで整合性が取れず、不具合が発生していたのではないかと推測しています…。
今回、ボドゲ制作にあたっての一通りのDTPデザイン・印刷工程を実行して感じたのですが、制作フロー簡略化が進んでいる同人誌・ノベルティグッズ作成などと比較すると、パッケージやカードコンポーネントの入稿データ作成は、正直ややハードルが高いと感じました…。
お世辞にも、アナログゲーム制作を1から初めてみたい!と言う方にはあんまり優しくないという印象を受けます。
事実上、IllustratorまたはPhotoshop導入のライセンス料やDTPデザイナーのヘルプが必須となるシーンがちょくちょく出てくるので、一定のイニシャルコストやランニングコストがかかってしまう点には注意です。
出展当日
ダウトさん、みーなさん、だしのやが出展対応にあたり、こふれさんは当日欠席のため、物資調達で後方支援してもらいました。全員がコミケ・同人オンリーイベントへの出展・企画経験があるため、ブース設営自体は特に支障なく進みました。
また、今回出展ゲームはどちらもカードゲームであるため、搬入自体も非常に楽に終えられたのも地味に大きかったです。
今回、試遊スペースは設置はしていなかったのですが、全体を通して遊び方のインストを求められることが非常に多かったです。ほぼ口頭での説明となっていたので、プレゼン用の簡易資料があった方が、来店された方にはわかりやすかったかもしれません。
また、インスト対応が多くなった関係で、思った以上にブース当番を交代する時間がありませんでした…。インスト対応、商品お渡し、会計と記帳でほぼ三人ともブースに張り付くことになってました。
結局、出展時間終了ギリギリまで三人全員が当番として滞在しており、昼食を買いに行くヒマもなかったため、こふれさんが差し入れとして用意してくれていたおやつにめちゃくちゃ助けられました。あなたが神だ。
今回は1日のみの出展であったためなんとかなったものの、作業負担としては決して軽い方ではなかったので、この点は反省として次回出展時に改善したいところです。
販売結果と分析
上記のように、当初想定以上にブースを訪ねてきたお客さんが多かったので、ありがたい限りです。今回、出展当番の三人の地盤はほとんどない無名スペースとして参加したのですが、販売総数はかなり多くなったので成果としては十二分でした。
・「シッシッ!」
アイスブレイク向けゲーム、かつ多年齢・五人までプレイ可能のゲームとしてPRしていたことと、イラストのインパクトが強かったおかげで、ファミリーやカップル、学生さんチームなどいろんな方に購入いただけました。
「なんとなく自分でもプレイできそう」と思ってもらいやすいゲームであったことが大きいのかもしれません。購入された方の女性率がとても高かった要因としては、親しみやすいキャラクター性とシステムの両立があったからではないかと考えています。
・「DemonBrave」
こちらも筆者が想定していた以上に購入いただけました。購入された方は100%男性だったので、概ね現行TCGの顧客層と一致していると考えています。
販売担当として印象的だったのは、ゲームシステムよりもコンセプト説明(コンポーネントやルールの取り替えが可能なカードゲームである)を受けた方での即決率が非常に高かったことです。実際にお話ししていた限りでも、購入者はアナログゲームまたはTCGコアユーザー寄りの方がほとんどで、『新しい試みのゲームはないか』との志向が強いと見受けられました。
「シッシッ!」「DemonBrave」の購入者層はあまり一致していなかったため、出展ブース単体の割には来店された方の母集団属性はかなり多様でした。
女性の来店者がいるところを見て、更に他の女性の方が見にこられる…という場面もしばしばあったので、「自分が立ち寄りやすそうなスペースかどうか」というぱっと見の印象は大きいかもしれません。
次回2022年4月出展(予定)に向けて
ゲームを作ってリリースできたのはやっぱり良かった!
制作品展示・販売で、生のお客さんの声を聞けるのはやはり非常に大きいと思います。
2021年秋出展では、出展までのスケジュール都合であまり広報に時間が割けなかったため、「こういうゲーム作ってますよ〜」という広報発信も積極的に進めていきたいです。
ゲーム制作集団として認知されること自体も、また新しい可能性の芽に繋がりそうだと実感しているので、あとは実践あるのみといった感じです。もちろん、そのためのモチベと時間はきちんと用意する必要がありますが…( ᷇‿◝ )
そんなわけで、次回(開幕早々土曜日抽選漏れたので再申し込み中ですが…((()もがんばります!
~ここは余ったスペースでの宣伝タイム~
昨年のゲムマに出展しました「DemonBrave」1弾スターターセット、若干数ですが通販にも卸しております!
来月2月開催のNeoKetでは、「DemonBrave」の新キャラが諸々お披露目の予定です。
これまでのキャラに関してはここにまとめページがあります。
今年も悪人面が多いデモブレキャラどもをよろしくお願いいたします!
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