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リア充を推すから余裕が生まれるのか、余裕があるからリア充を推すのか

 グッズ欲の薄さにはじまり、もう一点オタクとして引け目を感じているところがある。

 ノマカプ推しという専門分野である。一般の方(オタクじゃない人々)のために軽く説明すると、ある作品内の公式・非公式の男女カップルを応援しがちな属性の事である。男女のカップルだからノーマルカップルで、ノマカプ(表記はNL)。ノーマルって言い方はよくないのでは…という事でヘテロカプという人もいるけど、かなりノマカプ呼びが定着している。
 そして、オタクの中ではノマカプジャンルはマイノリティだ。

 …あの、ホントにこれいらん情報ですよ、覚えなくていいからね。ただ、なんか面白い…と何かに呼ばれるように興味を持ってしまった人は、pixiv百科事典で色々検索してくれれば色々始まる。ちなみに、おっかぐ、リヴァハン、サスサクが三大大手です。

 大学の部活では私は腐女子ということになっていたし、甘んじてそれを受け止めていたのだが、内心「なんちゃって腐女子なんだよな…」と恐縮していた。BL、勧めてもらったやつは読んだし面白かった。お気に入りBL作品もあるっちゃある。

 それでも、ちょっと話すとすぐに付け焼き刃が露呈した。腐女子なんです…というカミングアウトをしてくれた相手と、好きな作品を語ると、大概バレる。嫌いじゃないし全然抵抗はないけど、それよりもノマカプ変換が早い。
 それにpixivの海をクロールしていれば、嫌でも一度は腐向けの作品を飲んでしまう。だから、「私は腐女子向け作品も読めるから、きっと腐女子なのだ」と思ってしまう。
違うのだ。出来ることと好きなことは、同じようで違うのだ。
 
 腐女子大学があるなら、私は入学はできるだろう。けど、多分学位は取れない。伊達に知識はあるし、カップリングの基本概念は理解してるから腐女子ではないことは無いんだけど、よくて教養レベル、卒論なんて書けそうもない。
 百合の方がなんなら親しみあるかも。少しだけ漫画持ってるし。照れることなくフラットに読める。まあこんなんでも女だしね。色気のあるシーンもスタイルいいですね〜ってリアクションで、サラサラ読めてドキドキしなくていい。それでも、男性的な役割を女子のどちらかに求めてしまうあたり、やっぱり純粋な百合好きでもないのだろう。

 そうなると結局、専攻はノマカプになるのだ。え、少女マンガじゃダメなの?となるのだけど、違うんですよ。
 恋愛が主題ではない作品において、随所に挟み込まれる恋愛模様が最高に可愛いんですよ。飴と鞭、魔法のスパイス。特に最近だとデク茶がアツいですね。あ、デク茶分かります?僕のヒーローアカデミアって漫画の、主人公とヒロインのカップリングなんですけど。原作で付き合っては無いけど、ほぼ公式みたいなもんです。ここで公式未満のカプ推しがドヤ顔するから火種が生まれるんだよなあ。ごめんね。ヒロアカは公式がわかりやすくカップリングを示してくれているからまだいいけど。

 というか、私はそういう公式から匂わせがあるカップルに弱い。人生で初めてpixivを開いたのはハイキューの「ひなやち」がきっかけだったし、大学でオタクの世界にどっぷり浸かるようになったのは名探偵コナンの「あむあず」がきっかけだった。
 とにかく、公式からここのペア仲良いんだよ〜と言われると「付き合ってくれ!!!!」とすぐに恋愛関係にさせたくなりがちなのだ。コレを俗にカップリングババアという。私は30まではババアとは呼ばせねえと決めているので、そう揶揄われるたびにカップリングお姉さんな?と訂正をするのだ。無駄な足掻き。

 でも、楽しいことばかりじゃない。

 あむあずにハマってしまったばかりの時が辛かった。本当に辛かった。公式アカウントが安室と梓の恋愛みたいなイラストをアップした時にはものすごく炎上した。あむあずに関することを呟くと、別のカップリングが好きな人に引用リツイートで中傷されたり、あむあずが好きな絵の上手い人(絵師と呼ばれる神々のこと)が、あむあずを嫌う人から嫌がらせのメッセージを送られたりして書くのをやめてしまったりした。

 一方で、あむあず好きを名乗る人が公式アカウントにちょっとまずいリプライをつけたり、他のカップリングを好む人を中傷したりしていた。
 なんせ私の推しカプは公式では付き合っていない。(2021/10/22現在)なのに、この2人はほとんど付き合ってるようなもんだから、他のカップリングは許さない!と言った態度を取る人も中には居たのだ。人の振り見て我が振り直せと、戒めている。
 だから、このあむあずというカップルが好きだとつぶやくのが怖かったし、毎回「妄想なんだけど」「非公式は分かってるけど」と前置きを入れてツイートしないと、愚痴垢と呼ばれる中傷専門のアカウントにリツイートされてしまっていた。荒んでいたなあ。

 でも、ひっそり好きでい続けた。そして、最近になって、その嫌がらせは少し落ち着いてきた。ある絵師が、中傷に対して訴訟を起こし、裁判で勝訴を獲得したのだ。そんな今も、愚痴垢はある。けど、ブロック機能をおぼえたので、ほぼ見ないで済んでいる。

 そんな感じで、オタク同士の不毛な争いは絶えないんです。我に帰ると、たかが漫画のキャラで、しかも原作とは違うところでファン同士が争っているのなんて本当にバカバカしいのだろう。でも、冷静になれないくらいに作品というのは魔力を持っている。

 2次元の推しや推しカプへの愛は、時に憎しみを現実世界の人間に向けてしまうのである。怖い。ほんとに怖い。でもやめられない。なぜって、やっぱり愛しているからだと思う。
いけない、話しすぎた。

 やばいなあ、これ書いてて止まらないし、もしもこれ私が実際に話しているとしたらオタク特有の早口なんだろうし、「あっごめんこんな話😅」なんてお決まりの謝罪もすかさず挟むんだろうなあ。公衆の面前でオタクを晒していることになりますよね。ヤバいなあ。
 とはいえ私は清廉潔白なオタクを目指している。人には人の推しがあり、人には人の愛し方があるのだ。余裕を持って、広く深く、リア充である推しカプを愛する所存だ。

 むしろ、現実世界でも仲良くしているカップルに舌打ちではなく歓声を上げて推しカプに変換するあたり、私ってかなりいい奴なんじゃないかと自惚れている。
 ある意味リア充を推す自分に酔っているのかもしれない。リア充を推せる私、余裕ある〜と思いたいだけなのかも。
 
 リア充を推すから余裕があるのか、余裕があるからリア充を推すのか。どっちが先なんでしょうね、永遠のです。

それでも、ただ一つ確かなのは、

推しがあれば人生は余裕ってことです。


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