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ChatGPTと英語を学ぶ (2): 学内情報ニュースビデオを撮影

英語の授業で、自分の大学に関する情報をニュース形式で紹介するビデオをチームで作る活動の紹介です。


自分たちの視点で、わかりやすく伝える

英語のニュースのトピックスは、学内のカフェテリアの新商品情報や、クラブや勉強会などの紹介、大学周辺のカフェなどの紹介、イベント情報等々、学生たちが自由に選びます。作ったビデオは「ニュースサイト」にまとめて掲載して共有します。

ニュースビデオのテーマを選んだら、自分たちがそのテーマで何を伝えたいかをチームで話しあって明確にします。ニュースビデオを作る際に大事なこととして学生に伝えるのは以下のことです。

自分たちなりの切り口で取材して事実を伝える
大学に関する情報を伝えようとして、Webサイトに載っている情報をそのまま英語にして話しても、面白くないし、意味がありません。自分たちで取材し、どういう切り口でそのニュースを伝えるかをまずチームでしっかり議論して決めます。

ニュースの内容について自分たちのコメントを加える
取材した事実を伝えっぱなしにするのではなく、それに対する自分たちのコメントも加えます。自分の視点で見て考えたことをしっかり伝えるのも大事です。

子供にも理解できるわかりやすい表現を使う
ニュースは、子供から大人まで、さまざまな人たちに向けて発信するものです。従って、誰にでもわかりやすい話し言葉で伝えることが大事です。

設定を明確に伝えてChatGPTと原稿を作る

プロンプトでは、どういうシチュエーションで誰が話す英語を作って欲しいのかを明確にします。プロンプトの作り方の例として、学生には以下を提示しました。(千葉商科大の例です。)もちろん、各項目の情報はチームごとに違います。

最初にいろいろな条件(シチュエーションや、英語のレベル、登場人物など)を伝えて、作りたいニュースのシナリオを伝えます。

シナリオは、英語を書いて添削してもらっても、日本語で情報を提供して英語を作ってもらっても、両方が混ざっていてもいいと思います。

気をつけるべき点としては、固有名詞は英語で伝えること。ChatGPTは日本の大学や学部や施設(千葉商科大学、政策情報学部、リコルド[学食の名前]など)の正式名称は知りません。勝手に訳されないように、プロンプトの中で、英語で正しく提示します。また、ニュースの中で出てくるアンカーやレポーターの名前も、事前に伝えておきます。

プロンプトの例 


ニュース原稿の作成を手伝ってください。

■設定
CUC (Chiba University of Commerce)の最新ニュースを紹介する"CUC Currents"というサイトに載せる2~4分程度の短いニュース動画の原稿を作る。

■英語
ニュースを伝える側も、見る側も、英語の初級学習者なので、わかりやすい口語にして欲しい。かんたんな日常的に使われる単語を使って、わかりやすい文法で、話し手が覚えられるように1文ずつを短く。

■出演者
・スタジオ 
アンカー1人
・ライブ中継 
レポーター1人
インタビューに答える人2人
計5人

■テーマ
秋に改装してメニューが新しくなったRicordo(CUCの学食の1つ)の紹介

■シナリオ
●カフェテリアの1つで、最近改装したリコルド(Ricordo)を紹介する

Taro(アンカー)
今日は、9月に改装したリコルドの様子をレポートしてもらいます。
リコルドは、
・唐揚げ丼が人気の学食
・体育館の1階
・昼はいつも混んでいる

●改装したリコルドの内装についてレポート
Hanako(レポーター)
・椅子やテーブルが綺麗になった
・レジの数が2つに増えた

●並んでいる人にインタビュー
Hanako(レポーター)
・新しいリコルドどう思いますか?
Jiro(インタビューを受ける人)
・並んでもチケットを早く買えるのでいいです。
・テーブルもきれにいになって気持ちがいい。

●食べている人にインタビュー
Hanako(レポーター)
・新しい唐揚げ丼はどうですか?
Junko(インタビューを受ける人)
・美味しいです。大盛りにしても高くならないのはいい。ソースが1種類になったのはちょっと残念。
Hanako(レポーター)
・新しいリコルドにもたくさんの学生が来ています。スタジオにお返しします。
Taro(アンカー1)
・唐揚げ丼は美味しそうでしたね。私も大盛りを食べに行きたいです。
Yoko(アンカー2)
・まだ改装後のリコルドに行っていなかったらぜひトライしてください。


このプロンプトで作成された原稿が以下です。


【スタジオ】

Taro(アンカー1):
Hello, everyone! Today, we've got an exciting update on the newly renovated Ricordo, a cafeteria here at CUC. It underwent some changes in September, and our reporter Hanako will give us the scoop.

Yoko(アンカー2):
Ricordo is well-known for its popular karaage-don, located on the first floor of the gym, and always buzzing with students during lunchtime.

【ライブ中継】

Hanako(レポーター):
Thanks, Taro! So, here at Ricordo, things have changed for the better. The tables and chairs got a nice upgrade, and now there are two more cash registers at the counter.

【並んでいる人にインタビュー】

Hanako(レポーター):
Now, let's hear from some people in line. What do you think of the new Ricordo?

Jiro(インタビュー受ける人):
Waiting in line is worth it because I can buy tickets faster. The tables are also neat and feel good.

【食べている人にインタビュー】

Hanako(レポーター):
Now, let's talk to someone enjoying their meal. How's the new karaage-don?

Junko(インタビュー受ける人):
It's delicious. The fact that the price stays the same even if you get a large portion is great. Although, it's a bit disappointing that there's only one type of sauce now.

Hanako(レポーター):
A lot of students are enjoying the new Ricordo. Back to you in the studio, Taro!

【スタジオ】

Taro(アンカー1):
The new karaage-don looks delicious! I can't wait to try the larger portion.

Yoko(アンカー2):
If you haven't checked out the renovated Ricordo yet, make sure to give it a try. See you next time!



学生たちは提示された英文を読み、わからない表現については質問し、言いにくい場合は別の表現を提案してもらいます。全体的に難しすぎると思ったら、全体をもう1段わかりやすい表現でリライトしてもらうこともあります。全員が、自分が話す部分以外も含めて完全に理解した上で、練習して、覚えて自分のことばとして話すことが大事です。

学生が作ったCUC Currentsのビデオ

このようなプロセスで実際に作ったビデオはこちらでご覧いただけます。スタジオのアンカーが話す部分は、実際に大学のスタジオで撮影しています。

英語だけで完璧に伝えるのは難しいですが、英語はコミュニケーションツールの一つなので、英語が完璧ならいい、というわけではありません。英語が不完全な部分は、ビジュアルを使い、字幕を活用し、演出を工夫して、しっかり編集するなど、あらゆる手を使ってとにかく伝わるビデオにすることを目標としています。

学生たちの編集能力は素晴らしく、全チームがそれぞれ個性を発揮して、面白いビデオを作りました。「英語の授業」という観点からだけ見たら課題は残ります。でも英語が苦手だからやらないのではなく、どんなレベルでもとりあえずやってみて、トライしながら英語も含めたコミュニケーション力を上げていけばいいと思います。