憂鬱時にはスプラッタを
お気に入りの曲が嫌にうるさく感じる。
前向きな歌詞が気に入らないし、何にでも誰にでも当てはまる占いみたいな事言うのがなんだか許せなく感じた。
雨で洗濯が干せないとか、
お気に入りのスニーカーに酔って盛大に吐瀉物を吐きかけて捨てざる終えなくなったとか、
ついでにマフラーも汚して駅のゴミ箱に捨てられたりとか、
オマケにお気に入りのパスケースをどこかへ置き去りにしたり、
イヤホンが壊れたりとか、駅の階段でつまづいたりとか。
他人を責めることのできないどころか大体私が原因の憂鬱な出来事が続いて何もやる気になれない日は、スプラッタ映画を見る事にしている。
何も初っ端からそこに辿り着いたわけではない。
ストレス解消へ辿り着くまでの道のりはそう簡単ではなかった。
その頃多分10代半ば。ティーンエイジャー真っ盛り思春期の私は日々イライラしていた。己に、親や周りの大人達、社会、私を弱者として淘汰した全世界に。今思うと、随分壮大な悩みだなぁ。なのに私は不器用すぎて物にも人にもうまくあたれない。
誰か他人への嫌な態度も結局嫌われるのがイヤでうまく取れず、
物にあたるにも片付けが大変になるかもしれないし、万が一何か壊したりしてしまうのはよりいっそ辛い気持ちになるだろう。
それに痛いのが嫌いだから自傷行為なんてもってのほかだった。
自分の機嫌は自分で取らねばならない、
私はさまざまな方法を試した。
友達がおすすめしてくれたイケメン俳優が戯れあってる切り抜き動画。とても癒されたけど、動画が終わるたびに虚無に襲われてしまう。
お菓子作り。ハンドミキサーの出力マックスにして大声で叫ぶのは楽しかったけど作ったお菓子の消費に困ってしまったしお金が割とかかる。
絶滅した動物を調べる。みんな愛おしくて、滅んだ運命に悲しくなってしまった。
それでもやっぱり憂鬱とイライラはなかなか消えない。
そこで出会ったのがホラーやスプラッタ映画だ。
私は親がたまたまレンタルしてきた「シャークナイト」を見た。怖いのは苦手だけどまあたまにはいいかと思った。
大学生の男女のグループが湖畔の別荘でサメ達に襲われ、仲間が分断され、また襲われ、すごい跳躍力のサメに襲われ、湖なのになぜかたくさんのサメが現れ襲われる。とにかくなんかずっと襲われて計画を阻まれ続ける。
今も好きな映画の一つだ。
そうして私はスプラッタを見るようになった。
定番やおきまりも、どんでん返しも好きだ。
できれば落ち込みがちな時はテンション高めで
ちょっとIQ低めのウソっぽいぐらい血や臓物がでるやつが見たい。
おすすめはそこそこあるので是非直接聴きにきてほしい。
そうやって不安定な思春期、憂鬱キマりまくってカッターを手に取るも怖すぎて何もできなかった10代を乗り越えてきた。
バイトで失敗した日、怒られまくった日、特に意味なく切ない日、いろんな日を。
大人になってからもやはりスプラッタの偽物の臓物にはたくさん救われてきた。
私は特に詳しくないし、マニアを名乗れるほどの知識もなくまだまだにわかの域である。同じ映画をぼんやり見ながら酒を飲むことが多いので知識とかは増えないまま。
だがやはり改造される人間と偽物の脳みそや臓器、水鉄砲並みの勢いの出血にはロマンを感じる。心が躍る。
ストレスの解消が苦手な皆さん、是非新たな扉を開いてみませんか。
怖いなら私と一緒に見よう。きっと楽しいよ