空中クラゲ

この世界で息をするすべての者は未だ知らない。

『空中クラゲ』

が生きている事を。

彼らは静かに息をする。


僕らと同じ世界で

静かに息を吐く。


その姿は無色透明で、触れる事は愚か

肉眼で見ることさえできはしない。


でも、確かに存在していた。

苦い今を生きる僕らが本当に

絶望してしまったとき、

彼らは僕らと重なりあう。


僕らは ひとつになる。


影は それを きっと許すんだ。


そんな世界は知らない と人は全てを忘れてゆく。


本当に大切な存在さえも

記憶の中から消し去ってしまう。


彼らは生きていたこと。

彼らはまだ、生きていたいこと。


その存在が何であるか 

ではなくて、


『何を伝えたかった』か

を知れたら、僕達はもう一度、共に生きれたのだろうか??


『空中クラゲ』は夢をみる。


ながいながい 時のなかで 静かなしずかな

優しい夢をみる。



音のない世界で、
いろ のない世界で、

ただ静かに夢をみていた。




きらきらと儚い夢は空を舞う。


きらり。


太陽が反射して、目が眩む。


視界は ひかりに 包まれていた。


いのちは 揺れた。

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