ジョゼフ=ギィ・ロパルツ(1864/6/15 - 1955/11/22)の弦楽四重奏曲第六番とアントン・ウェーベルン(1883/12/3 - 1945/9/15)の弦楽四重奏作品
J.-G. R. の弦楽四重奏曲第六番ヘ長調(1947-8)
アルテュール・オネゲルに献呈
1. アレグロ・モデラート
2. モルト・アニマート
3. レント
4. アレグロ・ジョコーソ
ロパルツ最後の作品群の一つ。本人曰く簡明で初心者向けだそう。古典的楽章配置に戻ったしね。第4楽章のソナタ形式では再現部での主題再現が逆になるのはロパルツには珍しく、きっと献呈されたオネゲルへのオマージュでしょう。聴いていてフォーレの(弦楽四重奏曲ではなく)ピアノ三重奏曲を思い出した。何て生命力だろ。
A. W. の「弦楽四重奏のための緩徐楽章」(1905)
遅く、活発な表現を持って
ブラームスからの流れを強く感じる。
「弦楽四重奏曲」(1905)
陰鬱で重く - 大きく抑揚を付けて - とても速く強く - ゆっくりと - とてもゆっくりと - とても表情豊かにとても生き生きと - 最大の暖かさで - 最大の力で - とてもゆったりと - 最も内面的で全き密やかな表現で - 密やかな動きで - とても遅く
自ら表紙に書いたモットー(ヤーコプ・ベーメ 1575-1624 の引用):
だが、私の精神の内部で強く作用していた勝利感が何に対するものであったかを、私は書くことも語ることも出来ない。そして、それはまた死者の甦りになぞらえられる。
このような光の中にあって、私の精神は直ちにすべてのものを透視した。そしてすべての創造物に、雑草や草花にさえも神を認識した。すなわち神は誰か、またどのようなものか、あるいは神の意志は何かを認識した。
「弦楽四重奏のためのロンド」(1906)
活発に
「弦楽四重奏のための五楽章」作品5(1909)
1. 激しい動きで
2. とてもゆっくりと
3. とても活発に
4. とても遅く
5. 密かな動きで
弦楽合奏への編曲版もよく知られている。
「弦楽四重奏のための六つのバガテル」作品9(1911-3)
1. 中庸で
2. 軽い動きで
3. かなり流れる様に
4. とても遅く
5. 極端に遅く
6. 流れる様に
「弦楽四重奏のための三つの小品」(1913)
1. 活発に
2. ゆっくりと(女性独唱付き)
3. 遅すぎずに
「バガテル」作曲のきっかけが母の死にあったことを示すドキュメントでもある。
「弦楽四重奏曲」作品28(1936-8)
1. 中庸で
2. 気楽な動きで
3. とても流麗に
ウェーベルンの十二音技法は魔法陣の様な厳密さをもつ音列を基本に据える事で点描的な音の連なりの中に鏡像が生じたりして構造が耳からも、あるいは演奏者の身振りからも感じ取れるという離れ技を実現している。本作の音列はB♭-A-C-H(バッハの音名象徴)-D♯-E-C♯-D(”バッハ”の上下反行移高形)-G♭-F-A♭-G(“バッハ”の移高形)、基本“バッハ”の音列で全てが出来ている、ってなんて曲だろ。