ブルーノ・ガンツ(1941/3/22 - 2019/2/16)の朗読するヘルダーリン等
日本での公開が1988年の『ベルリン・天使の詩』や、1999年の『永遠と一日』などに主演したブルーノ・ガンツの(日本人にとってはだけんどもね)珍しいCDがある。1984年制作の詩の朗読アルバムです。
初っ端からフリードリヒ・ヘルダーリンではなく
ルネ・シャールの「プロメテウス、ユキノシタのために」詩『風の上に』より(詩集『群島をなす言葉』所収)の独訳で始まる。
次から(2-12)ヘルダーリンの
Die Dioskuren ディオスクーロイ
Der Ister イスター
Der Neckar ネッカル川
Der Winkel von Hardt ハールトのはざまHeidelberg ハイデルベルク
Ihr sichergebaueten Alpen 堅固に築かれたアルプスの山脈よ!
Lebenslauf 生の行路
Der Abschied [Zweite Fassung] 別離
Diotima (Jüngere Fassung) ディオティーマRückkehr in die Heimat 故郷に帰る
Vom Abgrund nämlich まことに深淵から
そしてヨハネス・R・ベッヒャーの詩を一つ挟む。
Auswahl 選択
再度ヘルダーリン(14-20)
Mnemosyne [Zweite Fassung] ムネーモシュネー(記憶の女神)
Hört ich die Warnenden itzt ... わたしが戒める人々の言葉
Da ich ein Knabe war... わたしが少年のころには
Hälfte des Lebens 生のなかば
Andenken 追想
Brod und Wein パンと葡萄酒
最後にパウル・ツェラン
Tübingen, Jänner テュービンゲン、一月
(Aus: die Niemandsrose, vorgetragen von Paul Celan)(詩集『誰でもないものの薔薇』のパウル・ツェラン自身による朗読音源から)
このアルバムは中心の不在で成り立っている。
マルティン・ハイデッガーの不在によって。