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ドミトリ・ショスタコーヴィチ(1906/9/25 - 1975/8/9)とミェチスワフ・ヴァインベルク(1919/12/8 - 1996/2/26)の弦楽四重奏曲 第十番

D. S. の弦楽四重奏曲第10番変イ長調 作品118(1964)
1. アンダンテ
2. アレグレット・フリオーソ
3. アダージョ パッサカリア(アタッカ)
4. アレグレット
 ヴァインベルクに献呈
 とうとう献呈です。ヴァインベルク?who?だった過去が情けなくなる。この曲をオプティミスティックと呼ぶ故井上頼豊氏の解説に絶句した。訥々とした1st独奏の俯き加減な下降音型に始まり皆でおずおずと立ち止まる音型、ベケットに相応しい。んでフリオーソだけど細部のゴリゴリは凄いがアレグレット?って感じで突き抜けきらないフラストレーションも感じる。不意にあまりにも普通に美しいパッサカリア、どっちが本音なんだよってそんな事言えるわけねえよな。
 おずおずが戻ってくる終曲アレグレットでのパッサカリア再現にはちょと無理矢理感が。お約束めいた主題再現は「当局」向けポーズなのかもとも思う。

M. W. の弦楽四重奏曲第十番イ短調作品85(1965)
 オルガ・ラハルスカヤ(後の二番目の妻)へ献呈
1. アダージョ(アタッカ)
2. アレグロ(アタッカ)
3. アダージョ(アタッカ)
4. アレグレット
 緩急緩急の教会ソナタ的構成ともショスタコーヴィチの十番に習ってるとも言える。アーチ構造の第1楽章アダージョ、当初「アリア」と題されたそうでショスタコーヴィチとは対照的に濃密なエレジー。弱音器、ピチカートにハーモニクスの技巧的スケルツォに続く。次のアダージョは強烈な和音、チェロのレシタティーヴォでフィナーレへ。当初「セレナーデ」と題された3/4拍子アレグレットのフィナーレ。月に憑かれたピエロ、倚音の効果。冒頭アダージョが六小節再現して終わる。


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