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ロリン・マゼール(1930/3/6 - 2014/7/13)、その1

 ロリン・マゼールの演奏を初めてそれと意識して聴いたのはウィーンフィルとの来日公演をテレビでベートーヴェンの交響曲第五番だった。何と大袈裟なと思った。ソナタ形式で小結尾寸前や小結尾、結尾寸前や結尾そのもので必ずリタルダンド、いわゆるタメです。まさしくコレだ、1990年日本ライヴ録音。

 その後も時折耳にしてもピンと来ず、もはや古い世代に属する人って感じで過ごしてきたが、ある時クリーヴランドとのベートーヴェン全集(1988)を聴いて驚愕、斬新過ぎてあの来日公演とは別物に聞こえる。

今となってはピリオド・アプローチの先駆みたいに言われるけどそれとも違う、モーリス・ブランショの言う「白日の狂気」って感じ。全てが白々とむき出しになっている。
 実はマゼール一流のリタルダンドは程度は違えど一緒す。けどオーケストラのスケルトンな音色で全然軽い。何だこれ、録音のコンセプトのせいなんだろうね。マルチマイク、直接音メインにミキシング、実演では決して聴かれない音響。
 よく聞く話としては「世界最強のローカルオーケストラ」たるウィーンフィルは指揮者の指示を、やれって言うならやりますよ的に誇張気味に奏する傾向があるんでその結果が妙な日本公演での演奏だったのかも。
 同じクリーヴランドとのコンビでのブラームスは録音コンセプト変更が大、間接音すなわちホールの反響も取り入れクセ強スケルトンマッチョがクセ強細マッチョに。

 他にこのコンビで忘れ難い遺産は

 ダフニスとクロエは意外と知られてないかもですが凄いですよ。

ベートーヴェンやブラームスに続けて聴いてみると、その硬質でハードな感触が脈々と、Deccaの録音で強調されてると思う。続く…

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