はじめてのF1ベルギーGP観戦記⑤
前回のおさらい
ついにスパ入りした私たちはじめて夫婦ですが…
リエージュ散歩の日々でたまった疲れをスパのスパでスパっと癒して、万全の態勢でついにベルギーGP、スパ・フランコルシャンサーキットへ向かうその日の朝を迎えたのでした!
朝が来た!サーキットに向かおう!
とまあ、勢いのあるタイトルにいたしましたが…
正直、誉められた朝ではありませんので、真似はしないでいただければw
とりあえず朝ご飯を食べる
今となっては、なんというのんびりしたスタートを切ってしまったのだと思うわけですがw
部屋でコーヒーを入れることもできますし、近くのパン屋さんでパンを買い、カルフールで野菜サラダとフルーツを買って朝ご飯を食べます。
この時には明日以降もそれでいいかなあなどという適当なことを考えておりました…愚や愚や我は何としよう
この辺りはいつかまとめをしようかと思いますが、3日間をサーキットで過ごすにあたっての準備やらなにやらのうちに宿泊地はやはり重要なポイントです!
そろそろお出かけいたします
スパからサーキットへ向かうには最短距離はスパからフランコルシャンへ車で向かうことですが、GP開催期間中はその最短距離を行くバスが運行されていません(交通規制でしょう)。
というわけで、スパから一番近いサーキットへのシャトルバスの発着駅である「ヴェルヴィエ=セントラル」駅へ国鉄で行く必要があります。
その時刻表が上の画像ですが…1時間に1本しかありません。
上の画像は7/28(金)ですが、土・日は7:41の便からしかありません…。
今さら言っても仕方のないことですので、9:41の電車でヴェルヴィエ=セントラル駅へ向かいます。まあ、20分程度の距離ですからそこは問題なし。
ここまでグランプリのグの字も感じなかったのですが…
ついに、ベルギーグランプリへようこそ的なポスターが!
ここからはシャトルバスに乗ってサーキットへ向かうのですが、シャトルバスに乗るためのチケットを買うところからまず始まります。
なんと、この期に及んで「現金のみ」です!
3日間の往復で30€のチケットが上の画像です。
このぺらっぺらのレシートの紙みたいなのを雨降りベルギーGPの3日間を過ごすってあなた…最後までこの紙を生かしきれるのか???
とにかく3日間を保たせなくてはならないのは確かなので、お財布の中にしっかりとしまい込んでバスに乗り込みます。
バスはリエージュの街で見かけた最新型の2連節バス。
つまり、USB電源でスマホの充電が可能!
充電できるときに必ず充電!(サーキットではファーストエイドで充電させてくれるようですが)
車内を見渡すとなかなかに多国籍! やはりレッドブルとフェラーリが二大巨頭。そしてアストンマーティンというかアロンソマニアとマクラーレン。すでにバスの中からお祭りムードがすごい!
もちろん、ハースファンもウィリアムズファンもいたし、アルファタウリファンもいました!22TSUNODAのキャップをかぶった外国の方も!
いやがうえにも盛り上がる心!
ここから約20㎞のバスの旅! その先はサーキット!
と、単純に思っておりました…。
当たり前だけど大渋滞
ええ、サーキット周辺は大渋滞ですよ。
最初の20分くらいはかなり好調にぶっ飛ばしてまして。これはなかなかに快調、すぐにたどり着くんじゃないの? などと思ってましたが。
路程の80%を過ぎたあたりから大渋滞。まあ、そりゃそうなんですよ。
3日間でのべ30万人が集まるイベントですから。
盛り上がり切った心も大渋滞と牧歌的な車窓の風景にすっかりと落ち着かされてしまいましたw
明日以降のスケジュールと出発時間を考え直さないといけません。
予定ではスパ駅から1時間半程度で到着してF2のフリー走行には間に合うはずだったのですが…どう考えても無理でした。岩佐選手、ごめん。
それでもどうにかこうにか11時40分にはバスを降車。
降車位置と同じ場所に帰りのバスが来ますというアナウンスだったのだけど、どう考えてもそういう目印のある場所ではない…まあしかし、この場所を覚えておけば何とかなるだろうという適当さでサーキットに向かいます。
降車場所からサーキットのエントリーまでは約3㎞の徒歩行程。
3㎞離れているはずなのに、すでにエンジン音が遠くから聞こえてくる!
大渋滞と牛たちに鎮められてしまった心に火が点る。
ヤバい! 気が急く!
気が付くと前につんのめるように歩き始めていて転びそうになる。
もう一度、スケジュールを確認する。
O.K.
F2のフリー走行には間に合わない。F1のフリー走行までは1時間半以上ある。慌てることはない。この道路すら、初めて歩くスパ・フランコルシャンサーキットへの道すら味わって行こうじゃないか。
その道ははっきり言って田舎の県道レベルの何の変哲もない道ですが、遠くからフォーミュラカーのエンジン音が響いてくるロマンあふれる道路。
味わわなきゃ嘘だろ。
夢のスパ・フランコルシャンサーキット
ついにこの場にたどり着いた
歩くこと20分。ついにサーキットにたどり着く。
その頃には甲高いエンジン音がすぐ近くで!
ほとんど鼻血吹きそうなくらいの気持ちは溢れそうになりながら、エントリーゲートまでの泥道を歩く。
ゲートにもよりけりだと思いますが、私たちが指定されたゲートはサーキット外周の未舗装路を歩くのです。雨が降れば当然泥道です!
出発前の準備時点でKEENの防水ハイキングシューズがものすごく役に立ちました!普通のスニーカーじゃあぐっちょぐっちょです。
泥道を踏破し、エントリーのゲートに到着。
スマホからチケットのQRコードを立ち上げて係の人に提示。
その先では手荷物検査をしているようだったのでリュックの口を開けて通ろうとしたのですが!
係の人は何も見ませんでしたw いいよいいよという感じで手を振って送り出してくれました。いいんかい!
ゲートを通過した後も未舗装路w
軽いアップダウンを繰り返し、ようやくちらっとコースが見えたのはラ・ソースの少し先。見えた!見えた! 足取りが早くなりそうなのですが気を落ち着けて。
屋根なしグランドスタンドのSilver1の後ろを過ぎると、私たちのGold2。今年新設の真新しいきれいなグランドスタンドが見えます。
そしてその向こうには「オー・ルージュ」が見えるはず!
グランドスタンドに入るときにもう一度チケットを提示。
そこからはもうあまり覚えていません。
生まれて初めてあの美しい坂をテレビでみた14歳の日から34年。
ついに、あの美しい坂をこの目で見ることができる。
偉大なる坂は私を原始の人に戻した
その坂を初めて見た瞬間。
視覚というものが、脳を通じて、身体に衝撃を与えることがあることを初めて知りました。
それはもう衝撃としか言いようがなかった。
どんな映像でもどんな写真でも肉眼で目視するこの坂の風景を表わすことはできない。多くの経験者(ドライバー、関係者、観客)が「オー・ルージュのすごさを十全に語ることはできない」と言ってきたようにこの偉大な坂を目の前で見たそのインパクトは伝えることはできません。
もし私と同じように「オー・ルージュ」を見てみたいと思っている方がいらっしゃるとしたら。言えることは一つです。
なんとしても行くべきだ!
どんなに素晴らしい写真家も、どんな文豪もおそらく誰も描写することのできない絵を見ることができます。
この時、私は自分の口からできた言葉を忘れない。何しろ人間として極限までプリミティヴな一言だったから
「ううううわああああああ」
それしか出なかったよ。あまりのことに驚いた妻さんに「落ち着け!」と言われたが、落ち着けるものか。
そう思っていたら、たぶん私の後ろにも同じことを感じた人がいた。
そして、彼も叫んだ。
「ううわあああああああ」
たぶん、彼と私が使う言語は異なる。が、このインパクトを伝える言葉はただ一つだったのです。
落ち着け、俺
34年物の感動はそう簡単に治まるわけはないのですが、そうはいっても落ち着かないとこの先に進まないっていうかw
というわけでひとまずはこれから3日間を過ごす座席につき、辺りを見回してみることにしました。
右に目をやると第一ターンの「ラ・ソース」の出口。
そこから始まる下り坂(肉眼だとかなり下って見えます)の直線。
走っていく車のままに目線を左へ移すと
オー・ルージュからラディオン。その先のケメルストレートが想像できる感じ。これはなかなかの良席!
肉眼で見ることのできる範囲がかなり広い! ジャイアントモニターが遠くてあまりジャイアントではないのですが、そこは気にしない!
そして何と言ってもスパですから!
コロコロお天気の変わるスパですから!
屋根の端っこからも少し離れているので雨もよほどの大雨でなければ降り込むこともなさそう!
どうやらここからの3日間、安心して観戦できそうです!
今日のお昼ご飯(^^♪(初日)
心を落ち着けて、F1のフリー走行までにお昼ご飯を食べてしまおう!
と、いうことでスタンド裏の受け渡し場所へ行きます!
お昼ごはんもQRコードで。
なお、お値段的には総額895€のうちの55ユーロです。
考えたら負けです。でも、プレミアムですから!
持ち運ぶときに躓いてしまい、ちょっと傾いたのですが…
初日のお昼ご飯はこんな感じ!
偏ってしまったことが申し訳ない写真なのですが、味は申し分なし。覚めてもおいしい味付けにちゃんとなってます。
牛肉ときのこのパスタ、エビは軽くソテーしてありました。
そこにひっくり返ってるけどスティックタイプのケーキとフィナンシェ。
満足です!
スパ・ウェザーの本領発揮!
お昼ご飯も食べ終えて満足した気持ちでF1のフリー走行を待ちます。
ところで先ほど自分の座席から見える風景を紹介した写真は13時30分に撮影したものです。そして次に掲載するのは13時36分に撮影したものです。
土砂降りですw
たった6分でこの変化。これぞスパ・ウェザー!
で、上の方でお示ししたスケジュールを思い出していただきたいのですが…13:30はF1のフリー走行開始時刻です…。
どう考えてもフルウェットです。
今回はスプリントフォーマットなのでフリー走行はこの1回だけ。
にもかかわらず、ほとんどだれも出てこないw
時々出てきては大量の水しぶき!
仕方のない話ですが、残念でした。でも、これだけ雨が降っても濡れない席だってことはわかりました!
ところが雨は止むのだ!
F1のフリー走行が終わり、次はF3の予選が始まります。
今年のF3には推しがいないのでこの機会にひとまずはファンゾーンを抜けて、オー・ルージュの目の前まで行ってみたいと思います。
雨が降っているので傘をさすか、持参のポンチョを着るか…
雨、止んどるがなww
3日間、完全に振り回されます。スパ・ウェザーは伊達じゃない!
FANZONEはいろんなイベントがあるステージや食事・飲料の売店、観覧車! 表彰台VR体験やF1シムなどなどがあり、雨が止むと皆さん出てくるのでなかなかにぎわいます。
ひとまずは通り抜けて…
オー・ルージュ盗撮ww
いや、ここまで近づくと坂というか壁です
こんなところをよくもまあ200㎞のスピードで駆け上がるなあ、と。すごい勇気だなあ、とつくづく思いました。
ところで、FANZONEには観覧車があるというお話をしましたが…。
それは小さな観覧車なんです。小さな小さな観覧車なんです。
そして、1回乗るのに10€かかるんです。
正直に言います。誰が乗るんじゃいと思ってましたw
しかし、妻さんが言ったのです。
「観覧車に乗ろう!」
耳を疑ったのですが、何しろここまで一緒に来てくれたことに心から感謝していますから…その妻さんが言うのなら乗りますとも。
すいません、舐めてました。
観覧車からの風景の素晴らしいこと!
「実はバカにしてたんだけど、観覧車すごいね!」
「何でもチャレンジしてみることだよ!」
たぶん、一生頭が上がらないのではないかと思っています。
観覧車は一周ではかなり短いので5周は回ってくれました!
我々が観覧車上できゃっきゃ言ってる間に、いつの間にやら待機列がかなり伸びてました。タイミングも完ぺきだったってことですね。
FANZONEに飲食売店がという話をしましたが、サーキット内での飲食には現金もクレジットカードも使えません。
コインというサーキット内独自通貨を使うことになります。
上の画像のプリペイドカードを購入し、コインという通貨を登録して使います。カードを販売しているところでは「50ユーロで30コイン」と大々的に宣伝していたのでその交換比率しかないのかと思いきや…「25ユーロで15コイン」もO.K.でした。
お昼ご飯はすでにあるので、そんなに使わないと思ったんですよねw
雨が止めばビールを飲むし、寒くなればホットコーヒーとまあそんな感じです。
私の前に国際映像でもご活躍されていたと思われる「LEC BANANA」の着ぐるみの女性がいらっしゃいました。
3日間を通してバナナさんとお呼びしておりましたw
F2の予選はご存じの通り、スタート直前まではライン上は乾き始めたかなあという天候だったのですが、ものの1分程度で天候は急に悪化して、土砂降りの悲劇的予選になってしまいました。
F1の予選もどうなることかと心配していたのですが…
すっかり晴れました!
本当にスパ・ウェザーは訳がわかりません。
屋根のおかげで濡れることがなかったせいか、それを体験することができたのもまた素晴らしい思い出になりました。
この日の到着時点の気温は17度。
着ていたものは「アンダーシャツ、Tシャツ、少し薄いネルシャツ、薄手のフィールドコートでしたが、晴れ間が見え始めたからは23度くらいまで気温は上がり、何ならTシャツまでで大丈夫でした。
結果についてはお伝えするまでもありませんが、予選では日本から持参した国旗を掲げてみました!
岩佐選手、角田選手が見てくれてたらいいなあ!
この国旗自体は妻さんがカタールW杯の会場で配布されていたものを持って帰ってきてくれた由緒正しき国旗なのです!
角田選手もなかなかの好タイムを出しての予選11番手!
本戦に向けて期待が高まります!
夢の中から一時帰宅
帰りのバスに乗るために!
ポルシェスーパーカップの予選を観戦することはあきらめます。
最終のシャトルバスが19:30発なのです。
朝到着した場所に帰りのバスが来ているはずなのですが…てくてく歩いていくとそれよりも前に人だかりが、そしてバスがある!!
「Verviers-Central Station」って書いてる!
やはり朝の降車位置は正当なものではなかったようです。
こういうところ、日本の交通機関に慣れているとルーズすぎて驚きます。
そして帰りのバス乗り場。
乗りたい人がわちゃっとそこにいるだけ。
TECの係員さんは一人! 乗りたい人は確実に3桁はいる。
バス来る!
ドア開く!
乗りたい人がわちゃっと押し寄せる!
もう無茶苦茶でごじゃりまするww
どうにかこうにか一台目のバスに乗ることができたのですが…。
まだ金曜日。この時、私は気が付かなかったのですが、サーキット慣れしている方なら土・日がどうなることやらと思ったことでしょう…。
とにかくスパに帰ってきた
終わり時間については金曜日が一番遅かったのですが、早めに出たことで最終の電車にも遅れることなくスパの町に帰ってきました!
…晩ご飯、どないしよw
本音を言うと食べ物を買って宿に戻ってゆっくり食べたいという感じだったのですが、何しろ食料品店といったお店は18時半には閉まってしまいます。
HESTIAというギリシャ料理店で…ベルギーでギリシャ料理?と言われようが何しようが! ギリシャ料理店で食事をすることに。
写真は「HESTIA」というお店の名前を冠した看板料理。
ひき肉の中に野菜が入っていて、トマトソースで煮込まれた料理。
うまーーーーい!
旅行をしていてご飯がおいしいというのは最高ですよね。
フェタチーズの入ったサラダもじつにうまーーーーい!
当然のようにビールもいただきました。
憧れの地にたどり着いたその日は暮れていった
日の入りの遅いベルギーでも食事を終えたころにはすっかり夜に。
昼に味わったあの興奮がここにきて、じわーっと胸に沁みいるような夜に。本当に心の底から幸せな瞬間を味わえた一日になりました。
だが、問題は…
予想をはるかに超えた(予想はできたはずですが…)渋滞を味わってしまったので、明日の朝はいったい何時に出ればいいのだろうという悩みは宿に戻ってから我々夫婦に降りかかったのでした。
ビール飲んで酔っ払ってる場合じゃないぜ!