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ハーバリウムのせいで母が子育ての失敗を悟った話

ある日母は言った。

「今日コープに行ったらね、期間限定でハーバリウム売ってるブースが出展してたの。

で、目の前を10歳くらいの女の子とそのお母さんが歩いててね、女の子が言ったの。

『お母さん、お花キレイだね!』って。

10歳で、すごい小さい子ってわけではないのに、そんなに素直な感想が出る?ってびっくりしたんだけど、きっと、あのお母さんがこれまでお花を見る度『キレイだねぇ』って語りかけてあげてたんだろうね。

それで、思ったの。私がハーバリウムを見て思うことなんて『あんなの暇な金持ちの道楽だわ』くらいだし、私ちゃんに語りかけるのもそういう内容だろうなぁって。

だから、私ちゃんは…………。私がもっと、お花キレイだねとかそういうことを語りかけてさえあげていれば…………って、思ったの……。」

……え?

自分の育児を悔いているように見せかけて私の人格を否定してきた。

ごめんって。たしかに私は、富良野のガーデンに行った時、咲き誇っているカラフルなお花たちよりも枯れて茶色くなった向日葵を写真に収めていたような子供であった。

でも、多分「お花キレイだねぇ」とか言って育てたところで変わらないよ。

お花以外の部分でボロが出るし。

「お花キレイだねぇ」って言いながら私を育てたとして、花だけは愛するひねくれた子供になるだけだったと思う。

半端に花だけ愛してるよりかは、全面的にひねくれてた方が分かりやすくていいじゃん。

それに、母娘共にひねくれ仕様になったおかげで、話が合うので日々を楽しく過ごせる。

あぁ素晴らしきひねくれ人生。



みたいな感じで、無理やりひねくれた自分を肯定するしかないよね。

大人になったら、そう簡単に人格変えられないし。

そりゃ、花を愛でられる人のほうが、絶対に良いよ……。


おわり

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