フリー台本【タイトル:ささいな勇気】
「空を見ているとね、救われるの」
君の顔は見えない。声は少し震えていた。
「私の心は誰にも分らないから」
「誰の心なんてわからないだろう。俺の心だって。何を思っているのかなんて誰にもわからない」
俺は食い気味に返した。屋上は少し肌寒かった。木々は少し赤く染まりつつある。そんな中、君に向き合っている。
「それを言われると何も返せないな。ずるいよ」
君は少し俺の目を見つつ視線を下に反らした。
「君にとって些細なことでも私にとっては重大なことなの。君が見ている風景は私が見ている風景