抱き枕

あなたが私を抱き締めたまま眠ってしまったので
私は自分のベッドに戻れない
ちょっとぽっちゃりしてるから抱き心地いいのかなあ
仕方ない
今宵はあなたの抱き枕となろう
蚊が飛んでる音がする
前世が猫だったもので捕まえたくてしょうがない
でも身動き取れないし
こんな血でよかったら存分に吸うがいいさ
ただしアルコール入ってるから
酔っ払って死ぬなよ
あなたの寝息は規則正しい
時計の音とコラボしてる
ねえDJこのミックスを聴けるのは
世界中で私だけね
腕枕痛くないのかなあ
頭を下にずらそうとしても
あなたの拘束は固い
石の下敷きになる夢でも見ないといいけど
でも杞憂かな
口元がほんのり笑ってるから
不自然な姿勢をしているもので
眠気はなかなかやってこない
幸せはいつもこんな風にちょっと歪んでる
それを楽しめるかどうかで
二人の絆は試される
あなたは左手で私の右手を握ってる
暗闇でも光る薬指の指輪
ああでもないこうでもないって
一緒に散々悩んだね
だってこんなスペシャルなお買い物
人生に何度あるかわからないもの
やっとうとうとし始めて来た
抱き締められながら眠るなんてそうそうないこと
指輪よりもスペシャルな夢が見れますように
朝には消えてしまう幻だけれども
いたたと腕をさするあなたの指にも
くすくす笑う私の指にも
決して外れない外さない誓いの証が
朝陽に煌めいてるんだもの

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