見出し画像

天性の哀愁。歌手・アーティストとしての浜田雅功

少し前に、ダウンタウン松本についての記事を書いた。

そうすると自ずと、「相方の浜田の記事も書かねば」ということになるが、私はなぜか「お笑い芸人」としての浜田雅功にあまり関心が無い。
芸人というより「お笑いタレント」や「司会者」という方がしっくり来るし、私が興味を惹かれる「陰」の要素がまったく無いので、書くべきことが思い浮かばないのだ。

どちらかというと、歌手としての浜田に魅力を感じる。
言うまでもなく、小室哲哉との「H Jungle with t」名義で発売された『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』が230万枚の大ヒットとなり、浜田は歌手としても成功を収めている。

しかし、セールス面以上に評価されるべきは、浜田の「フツーの男の哀愁」の表現の、異常なまでの上手さではなかろうか?と思うのである。

浜田の歌唱法は、こぶしやビブラートが効いているとか、そういうテクニカルなものが無くて、「普通の人が普通に歌ってる」感がある。
実は、リズム感がめちゃくちゃ良くて、音程も安定しているし、歌い崩し方のセンスも優れているので、完全なる「普通の人」ではないのであるが、そうは感じさせない。
そして、歌声にやたらと魅力がある。親しみや安心感がありつつ、愛嬌とかまっすぐさも感じられる。浜田の歌声は唯一無二だ。

奥田民生の作った『春はまだか』や槇原敬之がプロデュースした『チキンライス』など、名だたるアーティストとのコラボでも、個性がつぶれるということがない。小室哲哉が作ろうが中田ヤスタカが作ろうが、どれも「浜ちゃんの歌」になってしまう。

思い出すのは、吉本芸人によるユニット「Re:Japan」としてカバーした『明日があるさ』である。
オリジナルの坂本九も、笑っているのに泣いているみたいな「明るい哀愁」を感じる歌手であったが、浜田の歌う『明日があるさ』は、温かみと「フツーの男の哀愁」がより強まった印象だ。
浜田らが出演していた缶コーヒー「ジョージア」のCMも、『WOW WAR TONIGHT』のその後、みたいな世界観で良かった。

もっとも強烈に哀愁があったのは、『あゝエキセントリック少年ボウイ』だろうか。
「ごっつええ感じ」のコントから生まれた曲で、昭和アニメのエンディングをイメージしたような寂しげな曲調と、夕暮れの中を歩く切ない映像が印象的だった。
作詞は松本人志。もちろんお笑いの範疇ではあるが、「最近だんだんわかってきた/僕が死んでも誰も泣かない」から始まる物悲しさに満ちた歌詞が、浜田の哀愁に満ちた歌声と調和していた。

余談であるが、私はかつて、この曲が収録された「ごっつええ感じ音楽全集」を所持しており、CDが傷ついて使用不可能になるまで聴き込んでいた。特典の「謎の小袋」もついていたから、もしかするとレアなバージョンだったかもしれない。ちゃんと保管しておけばよかった。

近年では、「ガキの使い」の企画から派生した「浜田ばみゅばみゅ」の『なんでやねんねん』も良かった。
持ち前の哀愁こそ薄いが、何の違和感も無く「カワイイ」を表現し、軽快なダンスもこなす浜田に新境地を見た。
当時50代にして「この人、まだまだアーティストとして伸びしろがあるんでは・・・・!?」とさえ思わせた浜田。素直にすごい。


現在の音楽業界では、浜田は今や「ハマ・オカモトのお父さん」である。
ベーシストとして世界的評価を受けるハマ・オカモトを見ると、やはり浜田雅功とは天性の音楽性を持つアーティストなのでは?と思わずに居られない。
今後もぜひ、歌手活動をして欲しい。ジジイになった浜田は、哀愁マシマシで更に魅力的な歌手になっていくはずだ。

●おまけ
ハマ・オカモトの勇姿(3:48~)を見よ!


いいなと思ったら応援しよう!

さるなし@誰が見た夢
「さるなし@誰が見た夢」の記事をもっと読みたいと思われた方は応援お願いします。 チップは資料購入など、記事作成のために使わせていただきます。