みんな大好き、夢と奇妙と谷山浩子
夢日記を付けている人はもれなく谷山浩子好きだと思っている。
谷山浩子の曲には、夢をモチーフにしたものがとても多いからだ。
例えば、『Rolling down』や『人形の家』は悪夢そのもの。
タイトルがズバリ『夢』という曲では、幸せで穏やかな夢から醒めた後の虚しさを歌っている(更には「もしかしてこの世自体も夢だったりして・・・・」という恐怖さえも孕んでいる)。
『夢のスープ』に至っては、ほぼファンタジックなドグラ・マグラだ。
谷山さんほど、夢のヘンテコ具合やスケール感や、切なさや恐怖に至るまでをがっつり表現している歌手は居ないと思う。
まあ要するに、谷山浩子の作品は私のツボなのだ。
というわけで、個人的に好きな谷山浩子の曲について、思いつくままに語ってみる。
恋愛系の好きな曲
『SORAMIMI』
『ボクハ・キミガ・スキ』
『会いたくて』
『見えない小鳥』
この辺の切ない恋愛ソングは、十代の頃自分の感情と重ね合わせて聴いていたので、特に思い出深い。
『キャンディーヌ』も、ポップなヘンテコ曲だけど、自分の中ではこのくくりに入る。「あれからどこも行かず、ずっと愛した/そして今も」のところで胸がキュウっとなる。
切なすぎて辛くなる曲
『ガラスの巨人』
『星より遠い』
『電波塔の少年』
『冷たい水の中をきみと歩いていく』
この辺りは、もう戻れない少年少女期の美しさを懐かしむだと思っている。
以前から好きだったけど、大人になってから聴くと、「切ない」の範疇を越えて「痛い」レベル。もうほんと、耐えられないくらい切なくなってしまう。
奇妙な現実の曲
『催眠レインコート』
『意味なしアリス』
『ダイエット』
『テングサの歌』
『ハサミトギを追いかけて』
これらはなんか、「一人暮らしOLの奇妙な日常」って感じ。生活の気配がある。でも、ヒロコさんが描くのは、ただの日常のはずがなく・・・・。
スタンスというか目線としては、「世にも奇妙な物語」が近いかも。
谷山浩子は何篇かの小説を書いている。
わりと最近の作品である『Amazonで変なもの売ってる』は、このカテゴリーの曲が好きな方に勧めたい。
不愉快で苦しい曲たち
『SAKANA GIRL』
『きみが壊れた』
『卵』
『鬼こごめ』
不快感のえぐり方、神経の逆撫で方が上手い曲たち。心の中の、見ないようにしていた感情をほじくり返されるような気分になって、聴いていて苦しくなってくる。
不登校・引きこもり・ニート経験者にはキツすぎる『卵』は、聴いてるうちに「わああ生まれてごめんなさーい!」と叫びそうになる。
『鬼こごめ』は、ベース音が狂気的だ。めちゃくちゃカッコいい。
わりと健全だけどやっぱり切ない曲
『小さな魚』
『岸を離れる日』
『窓』
『月見て跳ねる』
代表曲『カントリー・ガール』や『ねこの森には帰れない』もこの括りに入るかと思う。
余談だが、Eテレの番組「フックブックロー」で『ねこの森には――』が取り上げられていたのは嬉しかった。Eテレはたまにこういうナイスな選曲をしてくれるのが嬉しい。
谷山浩子の曲って、Eテレでよく流れている印象だ。
「みんなのうた」では、トラウマソングとして有名な『まっくら森のうた』、よく聞けば訳アリ風の歌詞が気になる『恋するニワトリ』。
最近だと、かわいい『花さかニャンコ』が深読みされすぎて、地球滅亡ソング呼ばわりされている。
『森へおいで』もみんなのうたの曲かと思ったが、調べたら違った。冷静に考えてみたら、あんなもん流れてたまるか。
他にも好きな曲はいっぱいある。
サウンド的に古臭く感じて敬遠していたが、聴いているうちに段々好きになった『なおちゃん』。
『満月ポトフー』はある日の夢のエンディングテーマだった。
苦しくてあまり何度も聴けないけれど、『犬を捨てに行く』。
夜に聴きたい『静かに』 や『おやすみ』。『夜のブランコ』はどこかのテレビ局のクロージングソングだったそうだ。リアルタイムで視聴できた人が大変羨ましい。
そして、一通り谷山浩子を聴いて、現実に戻るときは『ひとりでお帰り』で〆るのが最高。
気の済むまで落ち込ませてくれて、夢にどっぷり逃げさせてくれて、現実を生きる気力をお土産に持たせてくれる。
そんな谷山浩子の曲が、やっぱり大好き。