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♯120人間と動物の境界を探る【映画】憐れみの3章




憐れみの3章

 2024年/アメリカ、イギリス


【ストーリー】

交通事故を強要される男、海難事故で帰って来ない妻を待つ男、ドリフトで必ず駐車する女。自身の大切な人生を進めていくためにみんな格闘している。

【解説というか、レヴューというか、】


人生は選択の連続。年を重ねるにつれ、
過去に選んできた結果が今に反映される。

3話のオムニバスからなる物語は主に、管理されたがり、従い過ぎる人間を描いています。
「右向け右」で右を向いちゃう日本人にはチクリと刺さるのよ。

人は犬ではないので、誰かに逆らわない従順な人だけがいいコなのかって言うとそうではないはず。

自分なりの選択基準や価値観を持たず、他者に行動を決めて貰う意思の無いありさまを、露骨に映し出したのが1話目と3話目。
2話目は動物的な勘を信じて、偽物を嗅ぎ分ける賢い犬を模したエピソード。これらに着目すると終始、動物(とかく犬)と人間の境目を探っている感じだ。

野生さと従順さを持つ人間は対して動物と変わりはない。違うのは「選択の自由」があること、ただそれだけだ。ゆえに死だって選べるって訳だ。実はこの映画、尊厳死の是非をしれっと考えさせているのだ。だって、犬や動物は自らを手にかけないもの。



汚染されたとされる身体を綺麗にする儀式に、サウナで汗を出すシーンなんて、アク抜きをする肉そのもの。特に動物的な悪どい描写。

キツい切り口だけど悲観的にならないクセ強なコメディ。わたし達は脳をかき乱されし、だけどこれがやけにクセになる。


【シネマメモ】

コメディなんだけどアートな描き出し方なので付いていけるか行けないか。やや難しかったけど、私はこう受け取りました。

クセ強ヨルゴス・ランティモス監督のクセになる映画。コメディであることをお忘れなきよう!

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