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Netflix発の鮮やかなモノクロ映画【ROMA/ローマ】#062


ROMA/ローマ   2018年 メキシコ


【あらすじ】

1970年代の、政治的に揺れるメキシコ。
中流家庭に住み込みの家政婦として雇われている、
クレオは雇い主の夫婦と彼らの子供たちの
世話や家事をしてして生活費を稼いでいた。


【解説】

労働権がなかったクレオはブルジョワ家庭の
家政婦として住み込みで働いている。その様子は、
家政婦というより面倒見のいいお姉さんだ。
そこでの彼女は、家族の一員だった。

この映画の主人公はクレオ以外にもいる。
それは1970年代のメキシコ。
それもメキシコシティの中にあるローマ地区。
町の風景そのものが主人公的存在だ。
ローマ地区は20世紀初めに上流階級がヨーロッパ風の
邸宅を建てた場所。
その邸宅にすむ一家の日常を、役者を追うように
遠方から撮影された手法で1970年代を生き生きと表す。
町では兵隊が行進し、不安定な治世で若者は血気盛ん。
賑やかな町の一面をモノクロ映像で見せていく。

そこで生活する女性たちの困難を乗り越えていく姿は、
豊かな人間性を育んだ町として容易く想像できる。

クレオという女性を通して町や時代を描いた本作は、
アルフォンソ・キュアロン監督が経験した、
回想録のような半ドキュメンタリー映画になっている。
時代の感情を情景豊かに映し出した、郷土愛に溢れた美しい一作。

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