史上最強の哲学入門
本書について
哲学を入門者向けに書かれた本で、とてもわかりやすい。
「範馬刃牙」の要素を取り入れており、ところどころ厨二病感があってなんだかクスッと笑える部分もある。
真理・国家・神様・存在の4つについて、それぞれの真理を追い求めた哲学者が31人紹介されている。
以下に、有名な5人を簡単に紹介してみたいと思う。
ソクラテス
「価値観なんか人それぞれ」という相対主義の思想が広まっており、見せかけだけで無責任な政治家が多くなっていた。
そんな時代に「絶対的な真理」「本当の善」を追い求めたのがソクラテス。
「無知の知」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれない。
これは「無知であることを自覚している自分が偉い」という表現で誤解されがちだが、実は「真理を追い求めるために、まずは自分が無知であることを認めよう」という意味合いである。
プラトン
ソクラテスの弟子。「イデア論」で有名。
イデアとは、別世界にある究極の理想の存在のことを指す。
「イデアを知る優秀な哲学者が王になるべきだ」という哲人王思想を説き、哲人王を育てるため、のちの大学の起源となる教育機関「アカデメイア」を作った。
アリストテレス
プラトンの弟子。万学の祖と言われ、天文学・気象学・動物学・植物学・地学などの学問を体系化した。
アカデメイアの生徒であるが、イデア論を否定している。
イデアなんかを持ち出すより、現実に目を向けた。馬をじっくり観察し、「4本足」「タテガミがある」「蹄がある」などの固有の性質を集め、馬とはどういうものかを定義した方が良いと考えた。
他にも三段論法(A=B,B=CであればA=C)のような論理学を体形立てたり、政治体制(君主制・貴族制・民主制)を紀元前300年という昔に考えている。この政治体制はそれから2000年以上の歴史で繰り返されている。
アダムスミス
「神の見えざる手」で有名。経済学の父と呼ばれる。
「お金儲けは卑しい行為」という価値観が常識である時に、「もっとお金儲けをしなさい。」と言う。人々がお金儲けをしても、競争が起きることで適正な価格で売買がされていく。
「個人が勝手に利益を追求しても『神の見えざる手』に導かれて社会全体の利益につながる」
現在の資本主義経済との形となった。
ニーチェ
「神は死んだ」「超人思想」で有名。24歳で大学教授にもなった超天才エリート。
神の存在が当たり前である時に「神は死んだ」と言う強烈なフレーズを自身の小説「ツァラトゥストラ」に残した。また、「神とは、弱者のルサンチマンが作り出したものにすぎない」とも述べている。(ルサンチマンとは「恨み」「嫉妬」と言う意味。)
神が死んだ世界でどう生きるべきかと提案しているのが「超人思想」。
(超人とは肉体的・知能的には普通の人間と変わらず、「強くなりたいという意志をしっかりと自覚し、そこから目を背けない」と言う力の意志を持っている人のこと。)
「神の死んだ世界で、末人(何も目指さずに生きている人)にならないために、超人でありたいと思い続けていくことが重要」と言うことを主に主張している。
学んだこと
「あたりあえ」や「常識」に疑問を持ち続ける
この本には「そもそも」と言うワードがとても多く出てくる。
「そもそも⚪︎⚪︎とはなんだろう」「そもそも⚪︎⚪︎って意味ある?」のように、常に今までのあたりまえや常識を疑うことで哲学は発展してきている。
ヘーゲルの言う「弁証法」のような形であろう。
あたりまえや常識を疑うことで哲学が発展してきたように、自分自身や身の周りに対してもあたりまえや常識を疑うことで成長していく必要があるのではないだろうか。
「そもそもなぜ仕事をしないといけないのだろうか」
「いただきますって言う必要はあるのだろうか」
「挨拶をすることに意味はあるのだろうか」
など、なんでもいいと思う。
今やっていることを疑っていく姿勢はとても大事だと、心から思う。
まとめ
哲学なんてよくわからないし、なんの意味あるの?と思っていた。
この本はとても面白く哲学の概要が学べ、なんとなく哲学についてわかるようになると思う。
自分自身、考えるということをそれなりにやっているつもりでいたが、哲学者の思想を見てみるとまだまだだなと思う笑
疑っても疑いきれないものを追い求めたデカルトのように、悪魔の存在を持ち出してまで疑う必要はないが、日常にありふれたあたりまえや常識を他の人より一歩踏み出して考えるのはとても大事だと思う。
個人的にはニーチェの超人思想が一番身近に感じられて面白いなと感じた。
無神教の多い日本人には刺さる思想ではないだろうか笑