6つの鏡を通して、自分を見た時間ーーDANRO BEYOND卒業生インタビュー
「対話者(対話のプロフェッショナル・もしくはご自身のスキルや経験に対話を掛け合わせているプロフェッショナル)」としてさらに力を発揮していきたい方のための、半年に及んで行う「自分を超える・解放する」プログラム「DANRO BEYOND」。
第一期の卒業生であるみなさんに、数回に渡りインタビューをさせていただきました。今回はフリーランスのフォトグラファー、ライターなどさまざまな分野で活動中のはしーさんよりお話を伺いました。
“ぶれない自分の軸”を求めてBEYONDへ
――はしーさんとDANROとの出会いを教えてください。
はしーさん:ちょうど去年の秋頃にあったDANROの対談イベントに参加させていただいたことがきっかけでした。
僕はコーチングを勉強しており、Hiroさんとも少しお話ししたことがあった関係でDANROのことは知っていたのですが「今Hiroさんがやっているところ」という認識があった程度でした。
――そこからなぜBEYONDに興味を持ったのでしょうか?
はしーさん:当時「今後何をやっていこうか」と考えていたときに、DANROのインスタのアカウントを見て、改めて何かすごく良いことをしている場所だなと思ったんですよね。
その「質感」に自分の何か惹かれるものがあって、ちょうどやっていた対談イベントに参加したときにBEYONDの存在を知りました。
僕はフリーランスで活動しているのですが、元の軸というか、自分のマインドがぶれやすいというか、迷いやすい一面があるんです。そこへ自分なりの“基準”というものをBEYONDから得られるんじゃないかと、直感レベルなんですが感じたんですよね。
――ぶれやすいというのはどんな時に感じていたのですか?
はしーさん:実は僕、結構落ち込みやすくて。特別何かがあるわけではないけれど突然メンタルが落ちてしまうことや、自分の気持ちの持っていき方が迷子になるように感じることがあったんです。
出会う人によって気持ちが行ったりきたりするというか。そういう面でも、もっと自分軸を持てるといいなという想いがありました。
非言語を信じられるようになった、その先には
――BEYONDに参加してみて、一番印象に残っていることを教えてください。
はしーさん:いやぁ、いろいろありますね!その中の一つで言うと、BEYOND6つのテーマがあるんですが「自己信頼」の回のワークですね。
“しなやかな自己信頼”をテーマに、DANRO以外の方と話して「自分が信頼されている要素」を探求するというもので。
周囲の人から「何となく信頼してくれているんだろうな」というのは感じているけれど、改めて言葉を聞くことで気づきがありました。多くの人が“存在そのものを信頼してる”という言葉をくれたんですよ。
BEYONDの時間の中で「信頼されている要素がなくなったとしたら自分はどうなるのか」という問いがあり「これがなくなったら自分じゃないよね、どうしよう」と言うことも他のメンバーと話していたんです。
でも「それがあるから信頼しているわけではない」と知られたことがよかったですね。
――嬉しいですね。それを知って、はしーさんは何を感じましたか?
はしーさん:そうですね。なんかちょっと力が抜ける感じでした。どっかで自分はこういう部分がなくなったら、1人ぼっちになってしまうんじゃないかということを感じていたんです。
でもそれがなくなったぐらいでは信頼はなくならないんだなというか。大丈夫なんだなと思えたら少し緩んだような気がしました。
――「自分そのもの」を感じられたような感覚だったのですね。
はしーさん:「これがあるから自分だよな」というものがなくなったとしても、生きているだけで「自分っぽさ」みたいなのは放っているんだなと。そして、そこを好きでいてくれている人がいると知れた。
“理屈ではなく、そう思ってくれてる人いる”という安心感を得られました。
クエスチョンの連続が不安だったけれど……
――半年間というBEYONDで、はしーさんにどんな変化がありましたか?
はしーさん:「非言語的なものを信じられるようになった」という変化があったと思っています。
元々僕は答えをすぐに求めたいというタイプだったんです。BEYONDに参加するとなったときにも具体的に「学び」というか「軸足ができる」というイメージでいたんです。
でも、そういう「答え」ではなくてもいいと思えるようになりました。
ファシリテーターの草(そう)さんが「わからないことでも、これって何だろうと思いながら、答えがわからないまま進むのもいい。いろんな問いを浮かべながら進んでいくというプロセスが大事なんですよ」という話をしてくれていたことも大きかったです。
はしーさん:BEYONDに参加したはじめの頃は、やはりどこかで「答えを求めたい自分」がいたので「このワークをこのためにやっている」とか「こう使うためにやってる」と明確なことがわからないのに対し、クエスチョンの連続のまま終わることに不安を抱いていましたね(笑)。
それが今はクエスチョンの連続でもいいと思えているんですよ。「クエスチョンの種がいっぱい見つかっているな」とか、言葉ではわからないことも、絵にしてみると結構しっくりくることもあるなと思えるようになっていて、自分でも驚いています。
――絵にしてみると、ですか?
はしーさん:BEYONDでは「アートワーク」というのを何度か体験しました。
この絵は「BEYONDで出会った自分を書いてみましょう」というざっくりしたテーマなのですが、言葉で伝えようとしてもなんと言ったらいいかわからないんですが、絵にするとこうだなぁという感じでしっくりきています。
――へぇ!これがはしーさんの描いた「DANROで出会った自分」なんですか?面白いですね!
はしーさん:設計図から描いていったというようりは、思い浮かぶ中で描いていったらこうなりました。
こういうワークをすると、昔は写真に撮って「これが自分だぞ」と、それこそ答えかのように思っていた。でも、今は「この時はこうだったけど今は変わっていくかもな」と感じているんですよね。
これが別に僕の一生の答えじゃないというか、そのときはこうだったけど、改めて書いたら、また変わっているかもな、というように捉えられるようになったのも、変化と言えますね。
――答えがあるものを求めていたところから非言語的な部分も感じられるようになったことで、はしーさんはそこから何を感じ取れるようになったのだろうと気になりました!
はしーさん:わからないという状態をあたふたせずにそのまま受け入れられるようになりました。
「わからない」って日常で頻繁に起こることですよね。その状態のままをよしとできることで「答え見つかってないやばい」と今までなら慌てていたところを、今はわからないんだな、と思えるようになったというか。
今では自分でアートワークをしてみることもありますよ。
何かを作り上げるというよりは、材料を持ち帰った時間
――Beyondの時間を一言で表すとすると、どんな言葉が思い浮かびますか?
はしーさん:自分の中では「自分をいろんな鏡を通して見ていた時間」というのがしっくりきています。かっこつけると「マイリフレクション・イン・ザ・ミラー」。この期間にタイトルをつけるとしたら、こんな感じですね。
――ありがとうございます!その期間にタイトルをつけるのはとても新鮮で素敵です!なぜその言葉を思いついたのですか?
はしーさん:BEYONDで扱う各テーマの中――美しさという観点だったり、自己信頼という視点だったりで見たときに「この視点で見ると自分はこう映るんだ」と、一つひとつの鏡で見ていった時間だったなと思っているんです。
「これをうまく扱うぜ!」と「学んだ持って帰ってきた」というよりは「一旦鏡で見た」という感じで捉えているんです。
今後何か困ったときに「今はこの鏡が合いそうだな」とその鏡を使うことができるのかな、と思っています。
――わかりやすい例えですね。ということは、BEYONDには6つのテーマがあるので、6つの鏡で自分を見たということなのでしょうか。
はしーさん:そうですね!ただ、BEYONDは半年ありますし、結構やることが多いんですよね。僕も全てのワークをやりきったわけではなくて、忙しいときにはできなかったこともありました。
ですから全てをやりきれなかったところはあるけれど、全部学び取るというよりは、今後そこに振り返る材料ができたと思っているんです。
――材料、ですか!
はしーさん:何かに直結して活かすという感じではないけど、そこを見つめる時間を作る材料があるというイメージです。
――なるほど!Beyondで何かを作り上げたというよりは、これから何にでも使えるような材料を手に入れた、ということなんですね。
はしー:あとは「今の自分がどんな状態かを知る」ための、いいコンパスというようなものが手に入ったとも感じています。
“ここにいる自分がめっちゃいい”みたいなことではなくて、どこにいて、どっちに行きたがっているんだろうみたいなのを感じられるようになったのは、よかったなと思うことですね。
――私も他の講座のインタビューだったら、きっとその学びを今後どう生かしていきたいですかと聞くのですが……きっとそういうことでもないんですよね。
でも確実に材料を手に入れているわけで。今後の人生にどう生かされてくるかわからないけど、その鏡やコンパスが役立つことがすごくありそうだなと聞いていて感じました。
はしーさん:本当にそうだなと思っています。
――Beyondでは、他のメンバーと対話する時間も多くあるのですよね。参加していた方々を見ていると、スクールを卒業された方、メンターをされている方、コーチをしている方など対話をすでに極めていて、さらに探究したい人が多いと感じました。そういう方との対話の中での気づきも大きそうですね。
はしーさん:そうですね、そこもかなり大きかったです。正解はないのですが、それでも他の方の話を聞いていると「自分はこうだな」と思うのと全く違うんです。
ワークの中で「物語を何か作ってみる」という回もあったんですが、それぞれ全く違う物語ができあがったのには驚きました。「この人は物事をこう見ているんだ」というのが、AかBかみたいな違いじゃなくて、なんかもう、全然違う!
違いを本当に楽しめるというか、正解はやはり一つではないんだな、と対話を通して鮮明に感じられましたね。
――今回、全員とお話しされたのですか?
はしーさん:はい、全員とお話ししました。毎回ガイダンスセクションと対話セクションがあって、どちらのセクションでも対話する場面がありましたし、講座の間にもマンツーマンのペアダイアログを挟むので何回も話した人もいます。
――色々な方と対話できる機会があるのも魅力的ですね。ファシリテーターの草さんはどんな印象でしたか?
はしーさん:やわらかくて、温泉みたいな人。それから「わからない時間を一緒に過ごしてくれる人」だと思います。
――わからないを「一緒に考える」ではなく「一緒に過ごす」人、というところがミソですね。
はしーさん:もちろん聞いたら答えてくれるのですが、ある種答えをくれない、というのは感じましたね。それは一人一人に答えがあるからで「私はこうだよ」と教えたいと思っているわけではないからだと思います。
みんなが悩んでいる時間すら味わっているような。そんな時間を大事にしているんだろうと感じました。
――わからないを味わう。深いですね。DANROにはスクールやBEYONDをはじめとしたさまざまなプログラムがある中で、どれに参加しようか迷われなかったですか?
はしーさん:僕はあまり迷わなかったです。対話には慣れているというのもあったし、コーチングのコミュニティで普段から対話をしているので自己開示や自己探究の部分はもうすでにやっているんじゃないかなと思っていました。
そういうことを対談イベントのあとに和花さんとの1on1でお話しさせてもらったら、今の状態ならJOURNEYやBEYONDの質感が、その時の僕が欲しているものと近いんじゃないかと提案していただいたんです。
――対話は日常になっている。その上で、さらに本質に触れたいという方にぴったりなのがBEYONDなのですね。はしーさん、素敵なエピソードを聴かせてくださりありがとうございました!
\DANRO BEYONDのプログラムについて/
ファシリテーター佐藤草さんからのメッセージです
◎DANRO BEYONDファシリテーター草さんの想い
◎DANRO BEYOND詳細はこちら
DANROについて
「日常に対話を、対話を文化に。」をスローガンに掲げるダイアログカンパニー。私たちがともにこの世界に生きていくために、人、自然、社会など全体性を探求しながら、循環し合える空間を創造しています。
実践型対話スクール、DANRO CHILDREN、自己を探究するダイアログコミュニティの運営などを行う。その他対話を軸とした事業を展開。
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