【映画レビュー】「ソー:ラブ&サンダー」を見た話。【ネタバレ注意】
どんな映画か。
まず、簡単に「ソー:ラブ&サンダー」がどんな映画かを紹介したい。
言わずと知れた「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズの29作品目(ドラマシリーズも含めると36作品目)であり、
ソーを主人公とする作品として2011年公開の「マイティ・ソー」から数えて4作目の作品である。
こう、改めて考えてみると非常にとっつきにくい作品であることは否めないが、
「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界観を描く、
MCUフェーズ4において、
アベンジャーズの中心メンバー、ソーの初登場となると、
注目せざるを得ない。
メガホンをとるののはタイカ・ワイティティ監督。
「ジョジョ・ラビット」でアカデミー賞ノミネート経験もある、
今、注目しておくべき監督の一人だと言えるであろう。
ソーシリーズの監督を務めるのは前作「マイティ・ソー バトルロイヤル」から引き続き2作目となる。
おまけに監督でありながら俳優もしており、
今作においてもソーの仲間の一人であるコーグ役を演じている。
(非常に出たがりであり、自身の監督作品にはことある毎に出演している)
そのほかの注目ポイントとしては、
ナタリー・ポートマン演じるジェーンのカムバックは語らないわけにはいかない。
ジェーンはシリーズ2作目「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」以来の登場であり、
「マイティ・ソー バトルロイヤル」等ではソーと破局した旨が作中において語られてきた。
そんな彼女がMCUの世界に再び登場するの素直に喜ばしい。
2人目の”マイティ・ソー”として砕かれたはずのムジョルニアを携えてのカムバックとなると、
その喜びもひとしおである。
また、”名優”クリスチャン・ベールがヴィランとして出演、
”神殺し”ゴアを演じることも見逃せない。
クリスチャン・ベールといえば、
「ダークナイト」に代表されるバットマンの三部作で主演
したことが印象的であり、
マーベルの双璧を成すDCのヒーロー俳優として、
今なおアイコニックに語り継がれる名優である。
そんな彼がMCUに参加することはある意味夢の共演といえる。
そんな前情報を得た上で鑑賞するべく、
筆者は大手シネコンへ足を運んだ。
感想(以下ネタバレ注意)
鑑賞を終えて、
全体のストーリーラインとしては非常にダークであり、
ヴィランである”神殺し”ゴアや、
癌を患い余命幾ばくもないジェーン周りの設定は非常に暗い。
にもかかわらず作品として明るく仕上がっているのは、
やはり監督であるタイカ・ワイティティの色が全面に押し出されていいることが大きく影響しているといえる。
全体的に笑いどころを多く作った展開は非常に見やすく、
多少の賛否はありそうなものの、
エンターテイメント作品としての完成度は非常に高く感じた。
それでは”神殺し”ゴアのシリアスな設定が殺されているかといわれるとそうではない、
むしろ全体的にポップな印象で進むため、
笑いを排除した”神殺し”ゴアの登場シーンは背筋が凍り、
緩急が生み出されている。
ジェーンが己の病と向き合うシーンについても同様であり、
全体的に明るく進むストーリーの影で、
どうしようもない絶望感を抱えたジェーンの表情には、
心を揺さぶられるものがある。
これらはひとえにタイカ・ワイティティ監督の優れたバランス感覚と、手腕によるものであろう。
主人公であるソーについてここまであまり語っていなかったが、
ここで語らせていただこう。
ソーは神でありながら、アベンジャーズメンバーの中でも、
非常に人間臭い部分が色濃く描かれてきたキャラクターである。
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」および「アベンジャーズ/エンドゲーム」での彼は涙なしには語れない。
人一倍”護る”ことや”愛”を重視してきた彼が、
カムバックしたジェーンを一途に思い、
愛、そしてニューアズガルドの国民の為に戦うのである。
メインのストーリーラインにおいては、
特筆して語ることはないかもしれない。
語るべきはエンディングである。
愛する女性を失い、
ゴアの娘を引き取り父親代わりとして宇宙を旅するのだ。
これまでジェーンとの関係に悩まされていた彼が、
「アベンジャーズ/エンドゲーム」で責任感に苛まれ自暴自棄にになっていた彼が、
立派に父をする姿がそこにはあるのだ。
筆者はここに涙を抑えることができなかった。
一時期はMCUからの引退が近いことも噂されていたソー役のクリス・ヘムズワースであるが、
今回のエンディングで予告済みであるように、
再びスクリーンへ舞い戻ってくることが非常に楽しみである。
もちろん、
”ラブ&サンダー”として。
終わりに
以上、簡単にはなるが感想を書かせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
もちろんもっと沢山語りたいともありますが・・・
個人的に今回お気に入りのキャラクターは彼。
そうソーの武器、ストームブレイカーである。
これはご覧になった方ならうなずいてくれるポイントかもしれない。
これまでただの武器としてしか描かれていなかった彼に、
キャラクター性を持たせたのは非常にユニークな点だろう。
終始笑わせられた。
次回以降もこの設定は引き継いでほしいものである。