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「今さら知りたい男女7人」第69回 銀杏並木①(秋9話)
「今さら知りたい男女7人」今回は「秋物語」で秋らしい季節を感じさせた銀杏並木のシーンを取り上げます。
最初にお断りです。今回の投稿も自分なりに調べ、「ここがロケ地だろうな」と納得いったものをアップしていますが、多少他の記事に比べロケ地特定の根拠が弱いところがあります。
その点、あしからずご了承いただき、もし他の意見等あれば遠慮なくコメントなどお寄せいただければと思います。
では、本題に入りましょう。秋9話「嘘」より。
秋8話のラストシーンでお互いの気持ちを確かめた良介と桃子。桃子ははやくも(?)健に「一緒には暮らせない」と告げます。その直後のシーン。
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良介の「別れられるのかいな?」という問いに桃子は直接答えず、この前病院について行かせたことを良介に謝り、「バカだねーあたしって」と言いますが・・
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さて、こちらのシーンです。こちらのシーンは毎度おなじみDVD特典制作ロケ地MAPによると富士見公園となっています。
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富士見公園とは川崎市川崎区にあるテニスコート、相撲場、富士通スタジアム川崎(旧 川崎球場)、富士見球場、その他さまざまな広場、そして川崎競輪場を擁する複合施設の総称です。
〇富士見公園のホームページ
こちらに貼ったGoogleMAPの緑の部分が富士見公園とお考えください。公園という名称となっていますが、外周すればざっと2キロはあろうかという広い施設です。
さて、秋9話の銀杏並木のシーンはおよそ2分17秒ほどですが、69-2以降は2人の背景に銀杏並木と歩道(およびそこを歩く人々)しか映らず、ロケ地を特定するには69-1のカットしかありません。そのため、この69-1をもとにロケ地特定をしていきます。
まず、良介と桃子の傍らを片側複数車線の道路が通っているので、これは富士見公園を分断するかのように通っている国道132号線、通称、富士見通りということで間違いないと思います。
国道132号は川崎市川崎区の千鳥橋を起点とし、同じ川崎区内の宮前町を終点とする約4.6キロの一般国道です。起点の千鳥橋はもう少し行けば東京湾といういわゆる川崎工場地帯の運河にかかる橋で、終点の宮前町はもう少しで川崎駅という第一京浜とぶつかったところが終点です。
そして、この国道は起点が千鳥橋なので、川崎駅方面から千鳥橋方面が上り、逆が下りということになります。
制作ロケ地MAPは富士見公園となっているので、国道132号と富士見公園が交わっている片側約400m、上下線の歩道計800mの中から探すということになります。
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なお、69-8は赤丸のところにある歩道橋から映したものです。
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とりあえず、良介と桃子が上り側、下り側どちらの歩道にいたかを特定することにします。
まず、良介と桃子の2人は傍らを走っている車と同じ方向へ向かっています。このことから、2人は「上り側の歩道を東京湾方面(上り方向)に歩いている」 or 「下り側の歩道を川崎駅方面(下り方向)に歩いている」の2つのケースが考えられます。
次の特定材料は影です。
69-1を見ると画面に向かって右手、良介たちから見ると左手に影が伸びています。つまり、太陽が画面の左手からあたっているということになります。
GoogleMAPなり、地図をご覧になっていただけるとわかりますが、この国道132号はほぼ真西から真東に向かっています。つまり、69-7でいうと、東京湾方面が東 川崎駅方面が西となり、下り側は南、上り側が北となります。
この影と東西南北を照らし合わしながら69-1を見直すと、画面に向かって左手が南、右手が北。画面の奥が西、手前が東というのがわかり、ここから、2人は上り側の歩道を東京湾方面に歩いているということがわかります。
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ちなみに、これが下り側の歩道であれば、影は道路の方に伸びていたということになります。ここまではいいでしょうか?
これで国道132号の上り側の歩道ということで、ロケ該当地は約400mまで絞ることができましたが、他に何か特定材料はないでしょうか?
それがこちらです。
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69-10は現在の国道132号を横断歩道から映していますが、この国道は片側三車線の(川崎市内としては)比較的大きい道路で中央分離帯があります。この中央分離帯が次のポイントです。
というのも、69-1をよく見ると中央分離帯らしきものと、それが途切れてるところが確認できます。
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①の部分は画面の奥から中央分離帯が続いてるように見えます。ところが②の部分で中央分離帯がないように見えます。
つまり、400mの部分で中央分離帯がないところがあれば、撮影場所が特定できるのではないか? というものです。
69-12は現在の国道132号と富士見公園が交わっている箇所のGoogleMapの航空写真です。
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ちょっとわかりにくいでしょうか? わかりにくい場合はスマホ、PCでGoogleMapの航空写真をご覧になっていただければと思いますが、少なくとも現在、上記の赤枠2カ所で中央分離帯がないことがわかります。
次に、当時はどおだったのか?というが点ですが、これについては「川崎市航空写真図 南部版(中原区・幸区・川崎区)」(1986年刊)で確認することができます。この本に掲載の航空写真で中央分離帯が1986年の時点で現在と変化ないということが確認できます。
この本の刊行は1986年ですが現在と変わりないということは、「秋物語」撮影の1987年も中央分離帯は現在と変わりないということで話をすすめます。
では、便宜上川崎駅寄りのものをA地点、東京湾よりのものをB地点とします。ここまでの見立てが正しければ、この2つのどちからがロケ地に近いはずです。
まず、A地点です。
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A地点は信号付き横断歩道があります。その手前停車線との間こここは中央分離帯がありません。そして車が停まってますが、その後ろのところも中央分離帯が切れています。
B地点です。
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B地点はこんな感じ。中央分離帯が途切れているところにラバーポールが立っており車が通ることはできませんが、いずれにしろ中央分離帯が途切れているのは間違いありません。
そして、B地点は信号や横断歩道はなく、したがって停止線などもありません。
さらに今度は銀杏の木に注目してみます。今一度69-1を見てみます。
良介のやや後方に街灯(③)があります。そして、街灯の隣の銀杏の木(④)があります。
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現在のA地点の街灯と隣の銀杏
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B地点の街灯と隣の銀杏
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すいません、長々引っ張りました、結論に向けてまとめていきます。
特定材料1
A地点は信号と横断歩道、そして信号の手前に停止線があります。撮影当時も同じ場所に信号があったのは当時の地図で確認済です。ところが69-1は信号、横断歩道、停止線などがまったく見当たりません。
一方、B地点は信号、横断歩道などがないのは先に書いた通りです。
特定材料2
A地点は2カ所の中央分離帯が途切れているところがありますが、69-1は2か所あるようにはどうにも見えません。
B地点については、中央分離帯が途切れているのは1カ所だけです。
特定材料3
69-16と69-17の街灯の隣の銀杏の木。銀杏の木はこれ、当時と同じ銀杏なのか? と言われると残念ながら証明ができません。
証明はできませんが、仮に同じ銀杏の木であるとした場合に、A地点の銀杏より、B地点の銀杏の方が69-1の④の銀杏に似ていると思われます。
これらの材料から、秋9話「嘘」の銀杏並木のロケ地は、
〇国道132号上り側歩道
〇川崎競輪場を過ぎたところで出てくる中央分離帯が途切れたところをちょっとだけ過ぎた地点(本記事での中央分離帯 B地点)
〇そして、そこから良介と桃子は1分ちょっと歩くことから、100mほどのあたりまでが今回のロケ地になると思います。
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以上です。
自分なりにはここで合っているとは思いますが如何でしょうか? 冒頭書きましたように、やや根拠弱いところもありますので、異論その他あればコメントなどお寄せいただければありがたく思います。
今回はこの辺で。
こちらの連載は週一回金曜の夜か、土曜の朝に更新しています。よかったらまた見に来てください。では、では。