見出し画像

「今さら知りたい男女7人」第65回 上野駅(秋10、11話)

「今さら知りたい男女7人」今回は秋物語のラスト前の秋10話「二人」、最終回秋11話「離さない」より上野駅のシーンを取り上げます。

健の家を出た桃子は良介のところに行きたいのですが、行き違いがあり2人は合流できません。
行き違いのままアゼリアでばったり会った2人はケンカになりかけますが、このままではダメになると感じた良介は旅行へ行こうといいます。
ところが旅行直前、ひかるから品子がケガをしたので、美樹ところへ行ってあげてと言われ・・・・

65-1 銅像の前で良介を待っている桃子
65-2 待ちわびている様子の桃子
65-3 ようやく向こうの方から良介がやってきます
65-4 良介「すまん」桃子「どうしたの?」
遅れた理由を話す良介
65-5 最終はまだあるやろという良介ですが、こんなんじゃ旅行には行けないという桃子
65-6 秋10話ラストカット

ここで秋10話は終了。続いて秋11話「離さない」のファーストシーン。

65-7 旅行をあきらめた2人
良介「どうする? ティーでもドリンクしようか?」
65-8 喫茶店に入る2人
65-9 竹井さんのところへ行こうとする桃子ですが、「貞のところに行かへんか?」という良介
このあと2人は貞九郎のマンションへ向かいます

さて、まず10話のロケ地ですがこちらは上野駅です。
特徴的な駅の構内、桃子が待っているのは中央改札を出たコンコースにある「翼の像」です。
では、現在のロケ地です(撮影 2024年10月)。

65-10 65-1と同じアングル(のつもり)

「翼の像」が右手にあるので、広小路口を正面に捉えてることになり、65-2、65-3と桃子はこの広小路口の方を見ているということになります。

65-11 65-4と同じアングル(のつもり)

画面にはちゃんと映りませんが「翼の像」全体はこちら

65-12 桃子が待っていた「翼の像」

なお、「翼の像」は設置してからこれまで位置は変わっていないそうです。
下記記事ご参照。10年ほど前の記事ですが、当時の上野駅駅長がそう語っているので間違いないかと思います。

ところでこのシーン、良介は広小路口から現れています。

良介はこのシーンの直前グリーントラベル川崎営業所にいて、仕事終わりでそのまま旅行に行こうというところにひかるが飛び込んできて、お見舞いに行くことになります。

品子のケガは仕事絡みというセリフが入りますから、荒三丸近辺・・・ となると病院は横浜市内 or 川崎市内と考えるのが妥当です。

病院の場所ははっきりしませんが、(病院が横浜市内 or 川崎市内なら)直線距離で20~30キロ離れたところから上野駅に向かったはずです。
普通それだけの距離、待ち合わせが駅ということであれば電車を選択するのでは?と思いますが、良介が現れたのは中央改札ではなく広小路口から。つまり、電車は使わなかったということになります(※1)。

65-13 電車を利用していたらこちらから来るはず・・・
 「翼の像」から中央改札をのぞむ

そう考えると、良介が病院から駅に行くのももどかしくタクシーに飛び乗り、(おそらく)高速を使って上野駅に来たと考えられます(もっとも、そこまで考えての演出だったかはわかりませんが・・)。

なお、良介がなぜ遅れているのかわからないまま待っていた桃子は、中央改札方面を気にしていた方が演出上よかったように思います。

続いて、秋11話のファーストシーン
こちらは65-8に浅草口とありますので、上野駅の浅草口とすぐにわかります。
現在の上野駅浅草口です。

65-14 現在の上野駅浅草口

こちら撮影時の65-7とだいぶ雰囲気が異なります。
浅草口の上に屋根がかかっているように見えますが、これは上野駅前にかけられたペデストリアンデッキ正式名称をジュエリーブリッジです。現在はこれがかかっているので、当時とだいぶ違っているように見えます。

そしてタクシーに乗るシーン

65-15 65-9の撮影場所 特定材料

① 案内標識が見えます。画面左方向への矢印が国道4号草加、千住方面。右方向の矢印がちょっとクランクする形で浅草方面となっています。
② わかりにくいかもしれませんが、こちらの看板はファーストキッチンです。
③ 街灯が一直線に向かっており、このタクシー乗り場の正面に通りがまっすぐ延びていることを示しています
①~③を当時の地図(※2)で確認したところ、浅草口を背にすぐ左手に出たところの横断歩道付近のようです。
現在はこちら

65-16 65-9と同じアングル(のつもり)

当時ファーストキッチンがあったところはウェンディーズ・ファーストキッチンになっています。
歩道橋に案内標識、右に行くと4号線 三ノ輪方面。
そして歩道橋の影に半分隠れてますが浅草通りがあります。

なお、このタクシー乗り場は撮影用のダミーのようです。

65-17 撮影場所と正式なタクシー乗り場の位置関係

上記の地図の赤丸が65-9の撮影場所、赤矢印が浅草通り。
当時の地図を見ると赤丸のあたりにタクシー乗り場は見当たりませんでした。
当時も、今もこの辺りのタクシー乗り場は青丸 つまり、上野駅正面口の前にあるタクシー乗り場だけのようです。
まあ、タクシー乗り場は24時間営業でドラマの撮影に利用するのは難しいでしょうから、この場所を乗り場と見立てたということかと思います。

ところで2人はどこへ旅行へ行こうとしていたのでしょうか? 劇中ではまったく触れられていません。

この旅行は仕事終わりからの出発、2人がそれぞれカバン1つずつという比較的少ない荷物ということから金曜の夜発〜日曜帰りの2泊2日の短めな旅行という印象です。

当時、上野駅は東北・上越新幹線始発駅(※3)、仕事終わりに旅に出ようという慌ただしさなので私は最初新幹線なのかな?と思っていたのですが、桃子のこの一言であれっ?となります。

65-18 「汽車出たよ」

「キップ買うたか?」という良介の問いに「汽車出たよ」という桃子の返事。
汽車って・・・ 電車が一般的になるまで汽車という言い方もあったかと思うのですが、1987年はすでに電車が主流になって久しい時代。
ちなみに、首都圏での機関車の運用は1970年が最後だそうです。ということは秋物語の17年前の話しですから、「汽車」という言葉は旅情感あるけど、多少違和感もあります。

まして新幹線を汽車ということはないと思うんですよねー ということは2人は在来線での旅行を考えていた可能性が高く、栃木、群馬、茨城など北関東が有力かと思いますがどうでしょうか? ちなみに遅れてきた良介が「最終はまだあるやろ」とまだ旅行に出ようとするあたりからも比較的近場という推測は成り立ちそうです。

ちなみに、「キップ買うたか?」という良介の言葉も良介の仕事を考えるとちょっと・・・ という気もしますが時間なかったということでしょうね。 

では、今回はこの辺で。
こちらの連載は週一回金曜の夜か、土曜の朝に更新しています。よかったらまた見に来てください。では、では。

※1 地下鉄を利用したならば広小路口から出てくることも考えられますが、横浜・川崎方面から上野駅へのアクセスとして、銀座線 or 日比谷線の利用は現実感ないので考えなくていいかと思います

※2 セイコー社 東京の住宅地図 台東区 1986年12月版

※3 東北・上越新幹線が上野駅始発になったのが1985年。東京駅始発になったのが1991年ということなので、放映当時は上野駅始発。北の玄関口として最後の時代ですね。




いいなと思ったら応援しよう!