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「今さら知りたい男女7人」第60回 「妊娠」ラストシーンのロケ地についての追記(秋8話)

「今さら知りたい男女7人」確か3回ぐらい前に「ながなが続いた秋8話もあと2回」と書いたはずなんですが、今週も秋8話ネタです。

前回取り上げた秋8話のラストシーンのロケ地、はじめてここを訪れたときに「よく、こんなところ見つけたなあ?」とちょっとびっくりしました。
川崎駅にはほど近いものの、病院などは関係なく、車も1台入れるかな?という狭い路地・・・ なぜここが? 
前回(第59回)の記事を投稿した後ににあらためてそのことを思い出したので、急遽おまけでこのロケ地について思ったことをつらつら書いてみたいと思います。よかったらおつきあいください。

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■なぜ「人通りがない路地」だったのかを考える
秋8話のラストシーンは脚本上で「人通りもない路地」(※1)となっているので、撮影場所を脚本どおりに路地としたのは間違いないでしょう。
では、なぜ脚本で「人通りのない路地」としているか? を推察したいと思います。

まず注目したいのは秋8話のラストシーンが「秋物語」のターニングポイントで中盤の大きな盛り上がりとなっている点です。
良介はここまで(秋8話ラストシーン直前まで)、美樹を選んでいたわけですが、このラストシーンで桃子から「あなたとさよならなんてできない」(意訳)と告白され、元のさやに納まる方に舵を切ります。

この桃子の告白のキッカケとして、良介と一緒に産婦人科に行くというイベントが用意されました。
ただ、このイベントが発生したことで、秋8話のラストシーンに以下のような制約(?)が生まれたように思います。

1 産婦人科を受診するので日中のシーンとなった
2 良介を連れて行くので川崎駅周辺となった
3 川崎駅周辺の日中にラブシーンが必要となった
4 (この時点の)ラブシーンにはある種の秘匿感が必要

まず1ですが、産婦人科はその性格上24時間対応せざるをえない状況もあると思いますが、妊娠検査を受診するだけなら日中が普通でしょう。
仮に産婦人科に行くシーンを夜間とする場合は、それ用の何か設定なり、説明が必要になるように思います。もちろん、ドラマなのでやろうと思えばどうとでもなりそうですが。

2については、健は出張中なので(※2)休日でも桃子は自由に動けそうですが、そもそも「秋物語」では2人が休日に示しあわせて会ったことがない上に、産婦人科がらみで桃子が木更津行くのも変で、良介を川崎へ呼び出すの変なので、平日にするのが妥当です。
そして平日の日中となれば、(良介は川崎勤務のため)川崎駅周辺にする必要があります。

3についてはこれはこうせざるを得ないというか・・・ 良介が「桃子にところに戻ろーっと」とか、桃子は「やっぱ、良ちゃんにする」といったような軽い感じにはできないですよね? 
それはもう「秋物語」のテイストからもシーンの重要度からいってもできない。「良ちゃんからは離れられない!」「やっぱり桃子なんや!」という気持が視聴者に示さなければドラマになりません(ここは中盤の盛り上がりなのでなおさら)。だから、ここにラブシーンが必要ということになります。

4ですがこの時点での2人のラブシーンはある種の秘匿感が必要・・・ 必要というか2人がこの秋8話の時点で、衆人の前で人目も憚らず抱き合うのは少し違和感が出てくると思います。
・・・となると、人目がないところがいいということになるでしょう。

以上のようなことから、秋8話のラストシーンは平日の日中、川崎駅周辺のあまり人通りがない場所がシチュエーションとして適当と鎌田さんも判断したのではないでしょうか?(違うかな・・汗)

■抱き合う2人の背景には電車が必要?
この秋8話のラストシーンでは2人の後ろを電車が走っています。私はこれを(「男女7人」的には)めずらしいと思っています。というのも「男女7人」では電車が映るシーンが少ないんですね。
「男女7人」は「夏」「秋」あわせて13人(健、波子を含む)の主要キャラクターがいて、皆東京(川崎)で働いているにも関わらず、電車が映像に移り込むのは以下の5回しかありません。

1 夏9話「笑うな」の新幹線
桃子が父親と一緒に岐阜に帰るところを千明の説得で引き返し、新横浜駅で良介と抱き合うシーン。

2 秋1話「再会」の東西線
貞九郎が仕事からの帰り道、電車に乗って西葛西駅に入ってくるシーン。

3 秋5話「新しい恋」の鶴見線
一枝の行いに腹を立てている美樹の元にその張本人が訪れるシーン。バックに鉄橋を走る鶴見線。

4 秋8話「妊娠」の京急本線
第53回でも取り上げた秋8話冒頭のダラスのシーンで高架を走る京急本線。

5 そして秋8話「妊娠」の京急線大師線。

ところで、こうして並べてみると気がつくことがあります。夏9話の新横浜駅で抱き合うシーン、そしてこの秋8話のラストシーンともに抱き合ってる良介と桃子の後ろを電車が走っているということです。 

「夏」「秋」通して良介と桃子が抱き合うシーンはわずか5回です。

「夏物語」は8話、9話、最終回
「秋物語」は8話のこのシーンと最終回

わずか5回のうち2回は「夏」と「秋」の最終回ラストシーン、1回は夏8話 良介の部屋のベランダ、残りの2回に電車が走っていると・・ 単なる偶然なのか? 何か意図あるのか? どうなんでしょうね?

■あらためて思う このロケ地のちょうどよい感じ
最後にこのロケ地はこのシーンにハマるちょうどよい感じに思うところをピックアップしてみます。

まず、一発目の俯瞰の撮影で、住宅地の細い路地で人通りがないだろうとパッとわかります。

そして、狭い路地なんだけど、片側が線路だからヌケがいいですね。この日は天気よく秋晴れだったようです。

2人のすぐ近くを電車が通っているにもかかわらず、歩道より下を走っているためか、そこまで気にならず控え目な印象。
最後のカットもおそらく民家から大師線が通っているタイミングでの俯瞰撮影がいい感じです。

大師線のローカル感もいい味を出しているような気がします。
同じ川崎周辺の鉄道でも東海道線や京浜東北線、京急本線などの主要路線の傍らで撮影したら、シーンの邪魔になったかもしれませんね。

ロケ地を今日も走る大師線 ドラマとは別の角度から

以上秋8話 ラストシーンロケ地への追記でした。とりとめがなくてすいません・・・

では、今回はこの辺で。
こちらの連載は週一回 金曜の夜か、土曜の朝に更新しています。よかったらまた見に来てください。

おまけ 今回いくつかロケ地を新撮しましたが、2024年10月撮影です。正確には10月19日でした。もう少し天気がいいとよかったですね。

※1 脚本上の表記。普通は「人通りのない路地」ような気も・・

※2 アゼリアで妊娠しているかもというシーンで、健は「アメリカに出張に行っている」というセリフあり




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