「どん底旅」#1.ドッペルゲンガー
2012年1月、退職旅後のストーリー
あれ?
何か奇妙な気分になったのは疲れた気のせいか?
熱海の海が見える
長いコンクリートスタンド階段端っこに座っている人…
いつからあそこにいたのか気が付かなかった。
闇のせいで、距離のせいで
顔がはっきりと見えないけれど、
彼の存在を意識してから
急に頭がもうろうになっちゃった。
夢と現実のどの辺りなのか。
傘もないのに雨がぱらぱらと
始発まではもう少しだ。
「お前は、馬鹿だな…」
徹夜作業でぼろぼろになったのは
体だけではない。
「お前、馬鹿だな…」
3月の夜明けの
まだまだ冷たい雨なのに両顔が熱い
悔しくて
情けなくて
つい熱い涙が出る。
2011年3月31日
この惑星上陸ちょうど5年目今日を
絶対忘れない。
君、
泣くなよ。
顔を上げろう
君は
頑張ったぜ…
このどん底旅の終着地は
いったい
どこなのか。