所沢市母子殺害事件公判傍聴記・2022年3月3日(被告人・大谷竜次)

2022年3月3日
さいたま地裁5刑合議係
301号法廷
事件番号・令和元年(わ)第854号等
罪名・窃盗、殺人、死体遺棄
被告人・大谷竜次
裁判長・小池健治
書記官・谷﨑マスミ

9時40分ごろには、法廷前に9人が並んでいた。9時50分に入廷が許されるが、その時は14人が並んでいた。
弁護人は、今日は髪を真ん中で分けている、市川弁護士。ショートカットで眼鏡の梅田弁護士。眼鏡をかけた角刈りの中年男性の三人。角刈りの中年男性は、PCをいじっている。市川弁護士は、証人の男性に、「よろしくお願いします」とあいさつをしていた。
証人は、髪の短い中年男性。スーツ姿。被告席に座っていた。開廷前に、書類にサインをさせられていた。
検察官は、髪を七三分けにした青年、目の座った痩せた中年男性、眼鏡をかけたショートカットの中年女性、髪を真ん中で分けた青年の四人。検察官も、証人とあいさつを交わしていた。
記者席は8席指定されているも、誰も座っていない。開廷後も同様であった。
職員らしき人々が、PCとディスプレイの準備をしている。少し調子が悪いらしい。
被告人である大谷竜次は、「おはようございます」と、弁護人や証人に、幾度も挨拶をし、頭を下げながら入廷した。丸坊主で、浅黒く、引き締まった体格。黒いジャージの上下を着ている。車椅子に座っており、それを刑務官に押されている。被告人は、刑務官にも、何か話しかけていた。そして、裁判員らの入廷とともに、解錠される。
裁判長は、眼鏡をかけた髪の短い中年男性。裁判官は、短髪の青年と、短髪の中年男性。
裁判員は、茶髪の中年女性、短髪の中年女性、眼鏡をかけた中年男性、短髪の中年男性、セミロングの中年女性、髪を短く刈った中年男性。
10時より、大谷竜次の公判は開廷した。この日は、鑑定人の証人尋問であった。

検察官は、まず、血液の関係で証拠請求を行う。
そして、証人が宣誓を行う。西川証人。声が小さく、やや聞き取りにくかった。

<中原弁護人の証人尋問>
弁護人『経歴を』
証人『はい』
証人は立ち上がり、PCを操作する。スクリーンに経歴などが映し出される。被告人は、きょろきょろとスクリーンを見ている。
証人『埼玉県済生会病院の副院長の西川。平成8年医師免許取得。臨床精神医学、8年。司法精神医学もやっています。精神保健指定医。日本精神医学会から、精神専門医認定。医療観察法の認定医に、認定精神科医。本鑑定は98件。簡易鑑定、意見書は210件。裁判員裁判の証人出廷21件目。医療観察法鑑定、25件』
弁護人『今回の経緯は』
証人『平成30年2月7日から8日にかけ、犯行が行われた。令和2年よりさいたま地裁より鑑定。事件記録を検討。7月8日一回目面接。7月20日知能検査行う。7月22日二回目面接。7月29日鑑定書作成。12月23日Bさんの件で追起訴。令和4年1月に、証人出廷として、Bさんの件含め、検察官より資料。弁護人からも資料をもらった』
弁護人『鑑定結果を』
証人『嘱託事項、被告人に平成30年2月ごろ、精神遅滞などあるか否か。結果、①軽度精神遅滞、②反社会性パーソナリティ障害』
弁護人『軽度精神遅滞と鑑定したのは』
ここからは、一問一答ではなく、証人がひたすら説明を始める。証人の説明内容とスクリーンの内容を併せて、以下に記述する。
大谷さんの生活歴、発達の問題はない。精神疾患はっきりしない。
小学校は普通学級。成績は下で運動は苦手。野球の球拾い、いじめは、本人は気付かない。中学校でも、成績は1と2ばかり。進学しないで、板金工場で働く。
20歳で上京。板橋で新聞配達を行う。Cさんと知り合う。
25歳で北海道に戻り、キョクドウ会の構成員となる。的屋になる。32歳で埼玉へ。組長の家に住み込み。的屋は3~4年行う。S・Yと知り合いになる。34歳、千葉で、三日月会稲川会系の一家構成員となる。
41歳で、B荘に居候し、本件事件となる。
B荘に居候し、S・Yとも親しく交流していた。B家に出入りしていた。Eさんの中古車販売やフリーダムの手伝いをし、小遣いをもらう。
内気、人見知り、大人しい。人に指図され動く。金をとって白状しない頑固さもある。会話が成り立たないこともある。
Bさんのヘルパー、はっきりした返事をしない、少し知恵遅れかなと思っていた。
*鑑定所見
診察に穏やかに応じる。大人しく従順。質問理解はできる。複雑なこと、内容は深まらない。過呼吸、不安症状があり、肺気腫が重いと本人は言っている。歩けないので車椅子を使っている。実際には、刑務官に付き添われてスムーズに歩く。病気に転嫁する様子あり。
これまでの犯罪、暴力団に入っていたことによる嫌悪の情、目立たない。
事件については黙秘を堅持。S・Y達との生活状態、関係性を聞いていくが、知らないかのような口調で話していた。
情緒的交流、人間関係持てる。意思疎通とれる。こだわり、多動の所見はない。幻覚妄想、気分障害の示唆もない。
心理検査の結果、WIS―ⅣのIQ、52。15分野の下位分野差がある。四つの尺度で出す。言語理解、知覚、処理速度、ワーキングメモリ。IQ100が平均値。それから低くなっている。言語理解67,知覚58,処理速度50、ワーキングメモリ69。全般的に低い。
心気的。病気なのではないか、と過度に気にしてしまう。
精神遅滞、全体で1%。2.7%ともなる。生活上の支障ある人認定で1%。軽度、中度、重度、最重度となる。軽度が大半で75%。最重度はかなり少ない。知能指数50~69が軽度。緑で色をつけている部分、割とよくあてはまる。精神年齢、学習到達度、正確なあれじゃない。新聞の利用、ある程度可能。軽度、おおむね日常生活は自立している。複雑なライフイベントあると、難しい。子育てなど、支援し、訓練し、生活するのは中度。最重度は不可能。
コミュニケーションは、軽度は普通の会話はできる。中度は、健常者との差は明らか。最重度、ごく単純な意思表示しかできない。軽度は障碍者の枠で働ける。
知的障害、奇形、てんかん合併している人がいる。軽度は少ない。
大谷さん当てはまるの、IQ52。受験態度により差が出てくるが、本人の能力より高く出ることはない。特異な領域、まぐれにできたからといって、信頼性がある。診断基準、知的能力、三つの要因。概念的、社会的領域、日常的領域。その三つのカテゴリーの分野、判断し、軽度などを決める。社会的領域占める分野増える。軽度はIQ50~69。中度は35~49。重度は20~34。
学業上の困難がある。文章見てみると、弁護人やS・Yに送った手紙、句読点なく、解りにくい。内容まとまりがない。非常に読みにくい。字は読みやすい。
計画的な生活できない。暴力団に入っては出ていき、逃げる。コミュニケーションとれるが拙い。要を得ない答えが返ってくる。知的に低いと気付かれる。対人関係はとれる。
実用的領域、日常動作は自立。複雑な社会的手続き、フリーダムの中古車など、ある程度はできる。仕事として、単純作業に限られている。
総合して、軽度精神遅滞と判断しました。
弁護人『どのようにして、テストを実施しましたか?』
証人『大谷さんに、病院に来ていただいて、キットを見せたり、書いてもらい、二時間弱かけた』
弁護人『受験態度、不審な動きは』
証人『心理士に聞くと、あからさまに低く見せようとせず、自然と聞いて居る』
弁護人『スライド11番、IQ52と。軽度の中でも低い方?』
証人『52、中度に近い方と。本人の受験態度、影響しやすいの処理速度。解っていること、解っていないと嘘をつくのは難しい。処理速度、足を引っ張っている。中度に近い。フリーダムの仕事手伝っているが、割と知的障害と認定されず、ここまで来ている。軽度の中で、中度に近いと結論付けられない。軽度は固いと考えている』
弁護人『騙されやすさは?』
証人『知的障害、騙されたり、そそのかされたりしやすい。知的障害あると増強する』
弁護人『殺人、死体遺棄にかかわっていないのに、電話したりしてるの、精神遅滞影響していること、可能性は』
証人『あると思います』
弁護人『説明を』
証人『知的障害あると、悪いことにかかわりやすい。反社会性パーソナリティ障害持っているので、悪い事への躊躇は少ない。金の事とか、深い意味を考えず、手伝うことは、健常者よりも可能性が高い』
弁護人『以上です。』
10時38分から10時55分まで、休廷となる。
公判の間、被告人は、スクリーンを見るなどしていた。刑務官に縄をかけられる。弁護人の方に頭を下げて、車椅子を押されて退廷していった。
休廷中、検察官は弁護人に資料を配る。
被告人は、証人の方に頭を下げて、再入廷した。
裁判長『検察官の質問あります』

<検察官の証人尋問>
検察官『軽度精神遅滞について、質問します。精神疾患の中に、四つの分類』
証人『はい』
検察官『軽度、中度、重度、最重度』
証人『はい』
検察官『被告人は、』
証人『軽度です』
検察官『一番軽い』
証人『はい』
検察官『これまでの鑑定で、軽度の人、どれくらいの割合』
証人『300件ぐらい鑑定をやって、10%よりは高い』
裁判長『精神遅滞に限らず鑑定をやって』
証人『はい』
検察官『軽度精神遅滞、珍しくない』
弁護人『異議、意見を求める尋問です』
検察官『鑑定人に意見を求めるのは問題ない』
裁判長『異議を棄却します』
検察官『軽度精神遅滞は、珍しくない』
証人『疫学的に、全人口の1%程度、軽度精神遅滞。知能平均下回るのは2.6%。その中の1%が軽度』
検察官『服役者の中の軽度の人の割合は・・・』
弁護人『関係性ない』
裁判長『関係性の説明を』
検察官『別の事確認します。鑑定時の所見、被告人が車椅子を使っている理由、改めて教えてください』
証人『そうですね、車椅子、胸部の違和感があって、歩けないので車椅子を用意してくださいと言っていた』
検察官『IQ検査、52と。WAIS-Ⅳで』
証人『はい』
検察官『受験態度は、鑑定結果に影響する』
証人『はい』
検察官『わざと低い点を取ることは』
証人『はい、可能です』
検察官『どこを操作すると』
証人『答えられること、答えない。協力しない』
検察官『どこに出てくる』
証人『質問に答えないと、どれも低くなる』
検察官『四つの尺度で出やすいのは』
証人『すごく一生懸命やる人と、やらない人いる。出やすいの、処理速度と。言語理解は、たくさん質問していくと、解らないと言っていてもしどろもどろになる。被告人は、不自然な様子なく、普通に受けていたと』
検察官『特に低い尺度は何処ですか』
証人『処理速度が低かった』
検察官『処理速度、最も操作しやすい』
証人『割と出やすい部分』
検察官『あからさまなやる気のなさはない。わざと低くとろうとしていた可能性は』
証人『ゼロではないかもしれないが、顕著にやる気見せていないわけではない』
検察官『IQ52を下回る可能性は』
証人『ない』
検察官『52を上回る可能性は』
証人『ある』
検察官『最高で』
証人『言語理解、ワーキングメモリ60代。60代はありうる。しかし、推論になってしまう。52が中度に近い軽度というの、適切ではない。さしあたり、軽度と』
検察官『反社会性パーソナリティ障害と』
証人『はい』
検察官『反社会性パーソナリティ障害、どんな精神疾患か』
証人『解りました』
そして、反社会性パーソナリティ障害について、説明を始める。
パーソナリティ障害は、認知、感情、衝動の抑制、物の捉え方、傾向、性格や行動の傾向に属する。それが著しく偏っているのが、パーソナリティ障害。
一貫したもので、ある時にポンと消えるものではない。
A郡、統合失調症に近いパーソナリティ。B郡、演技的、情緒的、移り気、反社会性パーソナリティ障害、ここに含まれる。C郡、不安、恐怖を示す。
反社会性パーソナリティ障害、法規範にあわないことを繰り返す。嘘をつく、衝動性が高い。攻撃性、無責任、良心の呵責がない。15歳以前から、素行が悪い証拠があると。
被告人は、小学校で授業でない。中学校で万引き喫煙。中学校で父親の財布の金をとる。自動販売機から金をとる。18で車上狙い。22歳で軽犯罪法違反。23歳で住居侵入、自動車盗、住居侵入、詐欺。25歳で建造物損壊など、重大犯罪でないものを繰り返していた。
衝動性、無責任、怠学、非行、無計画から、反社会性パーソナリティ障害と。
検察官『反社会性パーソナリティ障害、犯罪を犯すハードルが低い』
証人『そうですね、小さいころから、こういう性格傾向あり、犯罪に至った』
検察官『反社会性パーソナリティ障害と』
証人『はい』
検察官『令和元年、鑑定実施。7月29日付で鑑定書を作成』
証人『はい』
検察官『犯行後にとった行動も含めている』
証人『はい』
検察官『その証拠も確認』
証人『はい』
検察官『一つ目、Aさんの勤務先に家族を装い、身内に不幸があり休ませてほしいと言っている。二つ目、デパートで服見てるとLINE。三つ目、デイサービス休むと連絡した。四つ目、ペットホテルを使うにあたり、預ける人の名前の欄で、田中ケンイチと偽名。カプセルホテルでも田中ケンイチと使っていた。隠蔽工作、ペットホテルでしている』
証人『はい』
検察官『隠蔽すること自体、軽度精神遅滞、反社会性パーソナリティ障害であることを前提として、理解可能』
証人『はい』
検察官『発案は』
証人『可能と思います』
検察官『発案、実施も可能』
証人『・・・』
検察官『精神疾患とどういう意義』
証人『知的な能力低いけど、すごい低いわけではない。悪知恵働かせることは可能。犯罪繰り返すことで、生活補完。エスカレートすることがある。臨床的にしばしば経験する』
検察官『Aさんの勤務先へ、身内に不幸があった、休ませてほしい、と。対話求められる。能力は』
証人『電話でコミュニケーション能力要求される』
検察官『誰かに言われ、それをそのまま電話に反映は』
証人『そうですね、鑑定の中でも考えた。それやっちゃうことある。人に迎合してしまう。深い社会的意義を考えずに加担することある。本人の電話での会話を見ると、ショックで出られないと。即興でアドリブ効く。ある程度、本人の意思持って対応している事ある』
検察官『頼まれて、とは、仮定』
証人『はい』
検察官『電話に関して、アドリブ力必要になる。そういう力あった』
証人『できると言えばできるが、すごい高度の能力求められる隠蔽工作ではない』
検察官『隠蔽工作という意味、理解していた』
証人『理解できる能力あるが、実際に理解できているかは違う話。解る能力は持っていた』
検察官『鑑定資料。弁護人の質問の中で、弁護人にあてた手紙、S・Yにあてた手紙の話が出た』
証人『はい』
検察官『手紙の内容、ある』
証人『はい』
検察官『手紙を示します。(PCを台からどかし、代わりにスクリーン投影機を置く)甲309号証、一枚目の手紙です。今示しています、大丈夫』
証人『はい』
検察官『S・Yにあてた手紙と承知している』
証人『はい』
検察官『「ソラオくん(S・Yの事)、お久しぶりです」、と』
証人『はい』
検察官『中原先生、梅田先生、で始まる手紙。2枚目、3枚目、4枚目、5枚目、6枚目、7枚目。これは、被告人から弁護人にあてた手紙。これ前提に鑑定』
証人『はい』
検察官『手紙を踏まえて確認します。実際に鑑定した時、気づいた点は』
証人『弁護人の先生への手紙、内容とりとめがなくまとまりがない。ストレス反応起こし、とりとめない。話してもしょうがないことを含め、冗長に書いている。S・Yさんの方に、S・Yさんが迷惑をかけたにもかかわらず、差し入れしてくれないと、不満を話している。S・Yさんのためにやったと推測される要素。S・Yさんへの手紙、全くひらがな、中原先生宛には漢字が入っている。S・Yさん漢字を読むのが苦手。知的に問題があったかもしれない。断定的、上下関係について、断定的に言うべきではないと感じた』
検察官『今の二点の手紙の気になる点を教えてもらった。S・Yのことをどう見ていたと』
証人『S・Yさんと大谷さんの関係性評価できる証拠結構ある。Mさんの調書、S・Yさんが知的に上、大谷さんS・Yさんの子分と。S・Yさんと大谷さん、漠然とした上下関係あると。サカゼンの店員も、S・Yさんの方が上で、上下関係あると。しかし、Cさんの調書、大谷さんの方が知的に上で上下関係ないと。実際、S・Yさん知的な程度、調べてみてはと、検察庁に提案した』
検察官『Kさん、Mさん、被告人と、被告人とAさんの関係、どちら長いと・・・』
裁判長『ちょっと外れてきている』
検察官『軽度精神遅滞、犯行に及んでいたら、影響は』
再び、PCを接続し、証人は説明を行う。
軽度精神遅滞の影響について。
犯人と確定していない。犯人として想定できることについて。
一つ目、知的障害による短絡性。判断能力の欠如。物事の理解、稚拙。共犯と共通の事情。風呂に死体があり、遺留品がたくさんある。稚拙で発覚しやすい。本人、S・Yにも考えられる。綿密に行われた犯行ではない。健常者と似た行動はできる。金を引き出したとして、その性質、問題生じる重い障害ではない。隠滅、犯人としたら複数あった。
他者への迎合性、主体性の乏しさ。言いなり、そそのかされやすい。その可能性、健常者より高い。利益大きくなくとも、上位者の指示に迎合する可能性。S・Yの言いなりになるようなきつい上下関係はない。関係性は悪くない。隠滅工作やって、アドリブで答えるシーンある。
大谷としての動機、本件、想定できるのか、そこが解らない。金銭しかない。全体として、一人で行った可能性は低い。手伝ってと言われて、とっさの判断。一般常識とずれた考えになる。影響大きいとみる事情と、小さいとみる事情ある。規範意識の低さないと、成立はしない。
検察官『反社会性パーソナリティ障害の影響は』
証人は、再び説明に入る。
これがあるから犯人という話ではない。大谷さんがやったなら、影響していたと。若いころから法規範順守低い。犯罪傾向、かなり進んでいる。内省希薄。執拗に人を刺し、湯に沈めると、残虐性が顕著。隠滅工作があったなら、反社会性パーソナリティ障害、意思形成に寄与している。BさんがAさんを刺して、自分で湯に・・・
裁判長『そこは裁判で明らかになっていない』
証人『そうした虚偽性が・・・』
裁判長『虚偽か否かも、裁判で明らかになる』
証人『解りました。病気としての影響ではない』
検察官『精神遅滞、反社会性パーソナリティ障害患っていること、前提としても、各犯行の発覚を遅らせるという意味、被告人は理解していた』
証人『隠蔽とはわかっていると思います』
検察官『知能低いゆえに、何もわからず隠蔽工作を行っていたとは』
証人『行動の意味、深く理解していない可能性もある。悪いことして、それ発覚しないように行動していたとか。ATMでお金下せるの解っている』
検察官『犯行の発覚防ぐ目的で、隠蔽の発案は』
証人『可能と思います』
検察官『各犯行行ったと仮定して、影響あったと思われる・・・(別の検察官と話し)じゃあ、終わります』

<中原弁護士の証人尋問>
弁護人『手紙の話、S・Yさんへの手紙はひらがな。S・Yさん漢字読めなく、そういう配慮と』
証人『はい』
弁護人『元々漢字書く能力あるという前提』
証人『はい』
弁護人『元々なくて、留置中に勉強して、書くようになったとなると、前提変わる』
証人『漢字の使い方、バリエーションあって、勉強してそうなるには・・・』
裁判長『仮定して質問している』
証人『ちょっと解りません』
弁護人『平仮名しか書けない大谷さんであったとしても』
証人『漢字かく力、ないわけではないと思う。書面作ってますし、失業保険で・・・』
弁護人『作ったという前提ですね』
証人『漢字書けないという情報ないので、そういう考察していない』
弁護人『反社会性パーソナリティ障害、必ず犯罪するわけではない』
証人『はい』
弁護人『軽い犯罪だけする人もいる』
証人『はい』
弁護人『殺せと言われ、必ず殺すわけではない』
証人『はい』
弁護人『S・Yさんの鑑定はしていない』
証人『はい』
弁護人『話したこともない』
証人『はい』
弁護人『実際に鑑定したら、違う話になることも』
証人『十分あります』
11時50分から12時15分まで、休廷となる。
被告人は、手を組んで、尋問を聞いていた。証人と、弁護人の方に、幾度も頭を下げ、退廷した。
傍聴人は、途中で3~4人ほど入ってきた。S・Yの母親らしき人も、在廷していた。
休廷中、検察官は、緑色のファイルなどに目を通していた。
中原弁護人は、証人と少し話をしていた。
被告人は、弁護人と証人の方に頭を下げ、入廷。机の上で手を組んでいる。あたりをきょろきょろ見回し、時計も見ている。法廷に電話がかかり、被告人は解錠される。
裁判長『お待たせしました』

<中原弁護士の証人尋問>
弁護人『Cさんの仕事、大谷さん、作成すると、書類』
証人『はい』
弁護人『作成前提に、鑑定?』
証人『はい、自分で書類を作って、という話ではない。訂正します』

6番裁判員の証人尋問
裁判員『被告、スマホの操作は?』
証人『スマホの操作ができない程では全くないので、できます』

<市原(左陪席)裁判官の証人尋問>
裁判官『処理速度とは』
証人『一番下の行、物事を考え、アウトプットする。スピードの部分。バリエーション出てくる。早口で話す人と、ゆっくり話す人の差』
裁判官『測り方、そういう項目たくさんあり、一定時間でどれだけできると』
証人『制限時間決まっており、どれくらいできるか』
裁判官『普通の人の半分くらいしかこなせない?』
証人『標準偏差、偏りなので、半分ではない』
裁判官『関係者のこと、知らないように話すと。どういう話?』
証人『S・Yさんとの付き合い、Bさんの生活、Aさんの付き合い、知らないように答えていた』
裁判官『診断に影響は』
証人『証拠上は、S・Yさんとの交流相当あって、Bさんの介護を見ていて、かなり交流あった。それをないかのように、演技的に見た。若干、虚偽性を示唆していると』

<右陪席裁判官の証人尋問>
裁判官『仕事、判断基準』
証人『はい』
裁判官『どんな仕事しているの前提?』
証人『中学でて、父の板金工場で5年務める。Cさんの居候。中古車屋の手伝い。的屋で食べ物つくる。ちゃんと作れるのと聞くと、おいしいものじゃないけどね、と。そういう話をした』
裁判官『認定史料は』
証人『父親の調書、検察官の作ったもの。それと、本人から一つ一つ話を聞いたというより、事件の記録にあった内容。本人に確認したこともある』
裁判官『平成30年、被告人はどんな仕事をしていたのか』
証人『「手続きちゃんとできるの」と話して、「書くのは代書屋ですからね、持ってくだけですよ」と話している』

<裁判長の証人尋問>
裁判長『12番示して。社会的な話。ABCで判断。IQ52とか判断している。見方変わりない』
証人『わが国では、知能指数、ものすごい重視されている。国際的診断基準でも、割と知能を重視。5年ぐらい前に、DSM-Ⅴ作成。実質的に、概念的なもの、作成して、総合して判断して、決めると。診断基準の編成あって、他の要素を加味して決める』
裁判長『IQ低いけど、そういう人でも免許証とっている。社会生活の内容を見て、最終的にどれくらいと考えている』
証人『知能指数低い=知的障害ではない。未確定の人で、生活きちんとできている人、知的障害にはならない』
裁判長『積極評価は』
証人『幼少期の学業成績、進学就労、暴力団での職務、生活状態、手紙でのコミュニケーション力』
裁判長『言語能力、ワーキングメモリは高め。ワーキングメモリとは』
証人『頭に留め置いて、論理操作に使う』
裁判長『頭に留め置いて、作業進められているか』
証人『はい』
裁判長『言語理解、意味内容の理解?』
証人『インプット、アウトプットもある』
裁判長『言語理解の数値と、コミュニケーション力は』
証人『言語理解67、若干要を得ない。深まらないところはある。矛盾しない話』
裁判長『噛み合わないことありつつ、全くかみ合わないのか』
証人『一般的な質問の意味は分かる。抽象的、人の心情に踏み入った質問、理解しにくい』
裁判長『共犯の言いなりになるほどの関係性ではないと。ここは、S・Yと会ってないのに解るのか』
証人『自分見た資料、先程の手紙、大谷さんの誕生日に一緒にケーキを食べに行った、S・Yさんが誘ったと』
裁判長『他のエピソード入れれば、変わりうる』
証人『そうですね』
裁判長『限られたエピソードで、そういう意見』
証人『はい』
裁判長『反社会性パーソナリティ障害だからといって、犯罪犯さないと。弁護人は、殺人、死体遺棄に関わっていないと。隠匿的行為に関わったとみても、別におかしくはない』
証人『はい』
裁判長『どちらとも説明できる』
証人『はい』

<中原弁護人の証人尋問>
弁護人『10番、S・Yさん、Aさんらの生活。あたかも知らないように話すと。Cさんとの関係など、終始そういう態度』
証人『答えている場面もあるけど、受けた所は書いてあって、ハアとなっているところは記載されない』
弁護人『S・Yさんは、介護を嫌がっていたと。そう答えてはいる』
証人『はい。でも突っ込んで聞いて、不自然な点出てくる』
弁護人『終わります』

検察官は、尋問を申し出るが、裁判長は「仮定の質問続けて意味あるのか」と問う。金を欲しての犯行、という証人の言についての尋問請求だった。検察官は、尋問をやめる。
証人に、検察官、弁護人らは、頭を下げる。
次回は、3月4日10時、301号法廷で行われる。新証拠である340号証、341号証、明日同意について、話し合うこととなる。
17時までの予定であったが、12時40分に閉廷となる。
被告人は、証人の方を向いて、尋問を聞いていた。終わってからは、傍聴席の方を見ていた。

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相馬獄長
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