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創作

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短編小説です。
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#夏

遠くからみてた

遠くからみてた

 いつもあなたのことを見ていた。

頭が良くて運動が出来て顔もよくて、授業中はいつも真剣に先生の話をきいて、真剣に板書をしている。
いつも、茶色に染まったあなたのふわふわの髪だけが、こっちを見ていた。

席替えのとき、みんな嫌がる一番前の席を、あなたはいつも自ら選んでいた。

 通学はいつも自転車で、片道30分ほど。
交通の便がやや悪いので、自転車で通うのが一番早い。
 いつも絡む二人の友達がいる

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遠くからきこえる

遠くからきこえる

 体中が汗にまみれて気持ち悪さを感じながら目が覚める。
 スマホで時間を確認すると8:31、職場についていなければいけない時刻で、一瞬にして冷や汗をかくが、そういえば今日は土曜日で、仕事が休みだった。トイレで用を足し、再び眠りにつく。

 次に目覚めたのは昼の12時頃、寝過ぎで平日のときよりもだるく感じる体を嫌々起こす。
 トイレに行く途中でふと台所に目をやると、昨日の自分から、家事のプレゼントだ

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