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一緒に何かを生み出す繋がりを大切に

30年前に大阪から広島にUターンしてきたとき、近くには、知り合いが一人もいませんでした。
当時はまだワープロが主流で、交流の手段は、「直接会う」「電話」「ファックス」「お手紙」。
でも、交流する「誰か」が決まっていなければ、交流することはできません。そこで、ネットワークゼロだった私は、交流する相手探しを始めました。

ラッキーなことに、広島は他県よりも公民館がたくさんあります。(中学校区に1つあり、現在は約70の公民館が市内全域にあります)
そして当時、「一般教養」「青少年育成」「子育て」「高齢者」「再就職」「地域活動」の6領域に関連する講座が、定期的に開催されていました。
自宅付近にも徒歩10分の場所に公民館があり、開催される講座を積極的に受講し講師になる準備と地域の方と交流を深めていきました。
また、公民館に行けば、広島市内全域の講座の案内を閲覧することができました。
講座案内の中で、特に気をつけてチェックしていたのが「再就職支援関連の講座」でした。

Uターンして半年くらいたった頃、少し離れた公民館で、再就職講座を受講された方がグループを作って活動しておられることを知りました。
メンバーの方は、私と10歳以上離れた団塊の世代の女性のみなさんで、長い間、専業主婦をしたのち、講座の受講を経て再就職をされていました。
専業主婦の期間が長かったため、講座では面接や履歴書作成などのような内容より、働き続けるためにどのような心構えを持つ必要があるのかを考えることに重点が置かれていたそうです。
講座のワークショップを通じて、お互いの考えを共有し合いながら再就職できたことを喜び合い、これからも定期的に集まって学びを深めるために、グループ化されていました。

社会保険労務士、公民館職員、ホームヘルパー、オフィスワーク、パートスタッフ…etc。
皆さん、それぞれお仕事の内容は異なっていましたが、自分らしく働いておられ、しっかりした考えを持たれていたのが素敵だなと思いました。

活動の様子を見せてもらうため見学した日に、グループへの参加を決めました。
月1回、2歳と1歳の娘を連れて電車に乗って公民館に通うのは大変でしたが、毎回訪れるのがとても楽しみでした。
それは、人生の先輩方が、子ども連れで参加した私のことをおおらかに見守ってくださったからだと思います。
子育ての大変さを同世代で共感しあうことも大切ですが、すでに経験した方からいただく言葉には説得力と安心感がありました。そして、「この大変さがどこまで続くんだろう?」とモヤモヤした先の方に、一筋の光が見え少しずつ不安が解消されていきました。

世代の違う方たちとの関わり教えていただいたこと、「ロールモデルは自分自身」という考えが持てるようになったことは、このサークルに参加したおかげです。


活動を続けているうちに、地元新聞の記者さんが、会の活動に興味を持ってくださって、グループメンバーで新聞の連載を担当することになりました。
毎週土曜日に、「仕事の周辺」というタイトルで、それぞれが再就職のことや、仕事とプライベートの両立、これからの目標などについて書いたものを掲載していただき、連載は1994年から1997年まで続き、私も19の記事を執筆しました。
私の書いた原稿にタイトルとサブタイトルがつき、イラストレーターの方に内容のイメージピッタリのイラストを添えていただき、掲載されるのが楽しみでした。
1200字以内に書くこと、表現の工夫、自分の体験と考えをまとめるバランスなど、連載を担当された記者の方からいただくコメントは、とても勉強になりました。

そして、連載が終わったあと、ワープロで編集し直した内容を冊子にし、希望される読者の方にプレゼントしました。

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冊子づくりは、私が担当しました。(ワープロです)

冊子を読者にプレゼントすることを新聞に掲載していただいたら、郵送を希望されるお手紙が約500通届きました。切手とともに連載の感想やご自身の体験が書かれたお手紙も添えてあり、良い経験をさせていただけたことをありがたく思いました。

月1回、顔を突き合わせてお互いの活動の様子を聞き合いながら、たくさんの気づきを得て仕事や生活に活かしていた日々。
研修講師として仕事を始めてからも、会の活動に参加し仕事のご依頼をいただいたこともありましたし、父の介護や子育てのことについても、たくさん相談に乗っていただきました。連載が終わってしばらくして、グループは解散しましたが、皆さんとの交流は今でも続いています。そして、長女は今でも、公民館に通っていたことを覚えていて、「たくさんのおばちゃんたちにかわいがってもらった」と話してくれます。

昨年から、私は「講師のメンター制度」に関わっています。
スキルや知識を学ぶのではなく、お互いが持っていることを共有しグループのメンバーに貢献しながら一緒に歩む7か月。
知識や経験に差があっても、誰でもできる貢献は、活動している様子を伝えたり、困っていることや疑問を投げかけて一緒に考える場が作れることだと思っています。
皆がそんな貢献によって、何らかの変化や進化を生み出すことができる場を作りだすことができれば…。
私自身の経験を振り返りながら、そんな思いを大切にしています。

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