知識がなくても接客はできる
昨日は、尾道の向島へ銀行の店舗指導に行ってきました。今年初の改善指導です。担当しはじめて、今年で19年目を迎えました。
毎年、年2回、3か月で約15店舗訪問指導を行っていますが、昨年夏はお盆休み返上で、研修や講義を兼務しながら、24店舗回りました。
この冬は、月2〜3店舗と少ないので余裕を持って支店を訪問しています。
向島には、久しぶりに伺いました。
また、他の支店にいらっしゃった方との再会もあり、対話が弾んだ一日でした。
銀行のお仕事(窓口業務やロビーでのご案内)は、パートスタッフさんを採用するときに、銀行経験ある方を採用していました。
別の銀行や信用金庫に勤務されている方でも、業務知識は、ほぼ同じなので構わないのです。
しかし、今はどこも人手不足なので、銀行経験が全くない方を採用されることが増えてきました。
窓口を1人で担当できるようになるには、2〜3年はかかります。教えてもらいながら業務を行うため、応対に時間もかかります。
ロビーから窓口業務の様子を見ていると、経験の有無やキャリアがどれくらいかが、よくわかります。
ロビーの対応は、窓口とは別の難しさがあります。窓口は、1人のお客様のお手続きやご相談に対応しますが、ロビーはロビー全体のお客様への対応が求められます。
1人にかかりきりになっては、待っている他のお客様の対応ができなくなります。
ご用件を伺って、自分が対応するのか、引き継ぐのか、待っていただくのかの判断をしながら、安心してお手続きを行っていただくことが必要です。
支店の方は、案内係の業務についての理解や認識がないので、支店内で指導ができていないのが現状です。
「お客様の案内くらいはできるだろう」と、単なる接客と認識していたり、
「銀行経験がないから案内がうまくできない」と思われています。
実はどちらも私は違うと思っています。
ロビー対応は、銀行経験が浅く、知識が豊富でなくてもできる仕事です。以前は、私も案内係の方と一緒にロビーに立って接客の指導をしていました。銀行経験が全く無い方に案内係のプロになってもらいましたし、その中には、トップセールスになって、表彰された方が何人もいらっしゃいます。
知識を持たない方は、知識を持っていないから接客ができないと思いがちです。
しかし接客とは、お客様のご要望やお困りのことを、心情も含めてどれだけ正確に理解できるかが一番大切です。
説明することより、聞くことができなければできない仕事です。
下手に知識があると、十分に聞かず説明を始めてしまうので、お客様を混乱させてしまうことがあります。
窓口担当者がロビー対応をすると、ロビーで窓口と同じように、1人のお客様にかかりきりになり、待っているお客様全体の把握ができなかったり、お話を十分聞かず、長々と説明をしていることが多いのです。
自分で対応できなくて、他の人に応援を求め、気がつけばロビーで何人もの担当者が1対1の対応を行い、室内が空っぽになっていた。
ということも起こったりします。
今日訪れた支店にも、銀行経験のない方がロビーの案内係をなさっていました。
知識や経験がないということで、対応力がないと判断され、別の支店から異動になった方であることもわかりました。
応対の様子を見せていただいたあと、少し2人で話せる時間があったので、待機する場所、1人のお客様にかかりきりにならないコツ、声かけのタイミングと言葉について、知識がなくてもできることをお伝えしました。
案内係の手引書を送ることも、約束したのですが、「具体的な動き方がわかって、よかったです!」と喜んでくださっていました。
その後、責任者とお伝えした内容を共有し、今後の指導手順についてご提案して帰りました。
わからないから動けない
ではなく、わからないから動いて確かめること。焦らず、一つずつできることを増やし、この支店の顔になってほしいと願っています。