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原罪

トラブルがあって残業することになった。
納品が間に合わないのだ。
ミスによって一から作り直さねばならない。
現場全員と事務方二人が残った。
既に帰宅途中の責任者も、連絡を受けて戻ってきた。
全員一丸となって、翌朝の納品に間に合わせるべく励んだ。
寒い夜空が薄っすらとしらみはじめた頃、
ようやくすべての製品が完成した。
帰る頃はもう通勤ラッシュの前だ。
電車に揺られながら朝日を見ている。
睡魔もなければ疲労感もない。
ただ体中に充満するやり遂げた充足感があるだけだ。
働くことは、決して原罪ではないと、この時確信した。

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