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映画「ブロークバックマウンテン」 *20/8/9

もう15年も前の作品なんですね。丁寧な演出で、心に残る名作ですね。

鑑賞記録:
ブロークバックマウンテン


あらすじ:
1963年、ワイオミング。ブロークバック・マウンテンの農牧場に季節労働者として雇われ、運命の出逢いを果たした2人の青年、イニスとジャック。
彼らは山でキャンプをしながら羊の放牧の管理を任される。寡黙なイニスと天衣無縫なジャック。対照的な2人は大自然の中で一緒の時間を過ごすうちに深い友情を築いていく。
そしていつしか2人の感情は、彼ら自身気づかぬうちに、友情を超えたものへと変わっていくのだったが…。


私は公開当時高校生でしたが、オタクで洋画と文学が好きな友達と劇場に観に行っていました。友達と感想を語り尽くしたなぁ。ノートの切れはしに感想とかイラスト書いて交換しあって。
でも、当時は映画館の椅子に座りながら途中で眠くなっていたし、完全には理解していなかった気がしています。もちろんいま完璧に理解できているとは思っていないけれど、演出の意図が以前より読めるようになったなと自分の成長も感じています。(15年たってるので当たり前ですね)

今回、夫とTSUTAYAに行った際、ブロークバックマウンテンを観たいと言われ、返却日の前夜にいそいで、数年ぶりに全編通して観ました。
去年、たまたま仕事でジャックの実家に行くシーンだけ見ており、全編もう一度見たいなと思っていました。でも、やっぱり実家のシーンは、台詞にはなっていない細やかな演出が多くて、ここだけ切り取っても良いシーンでした。

久しぶりに全編通してみて、
これはこの時代のハッピーエンドだったのではないかと、
そして、非言語的な演出の多さと二人の身体性に釘付けになりました。

(※以下、ネタバレを含みますので、見たくない方は回れ右をお願いします。)


本能的な身体による演出

…簡単にいうと、こんなに二人ともキャッキャしてたっけ??と。
当時の1960年代のアメリカは、同性愛は宗教上のタブーでした。
だから、言葉にはできないものの、目線が、身体が、とても雄弁に演出されていました。イニスの着替えシーンを全く見ないジャック、山を降りた後に道端で吐くイニス…。
そして、ブロークバック山でのふたりは、恋人というよりも、体当たりして2人で転がってみたり、なげなわで捕まえて殴り合いしたりと、大型犬のように結構暴力的にじゃれついていました。本能的で、青年らしい無邪気さも表現されていたように思います。

昔は、大人の恋~と思っていました。たしかにいかついカーボウイ2人の50歳前までの秘めた恋のはなしです。
でも、たまにないはずの尻尾が見えるような気もする、ただの大型犬2匹のようにも思えました。いや、大型犬2匹なら、周囲の目を気にすることもなく、本当によかったんですよね…。

最後の台詞「I swear」の真意

私は先日観たときにこの物語は、この時代のハッピーエンドだったのではないかと思いました。最後の台詞「永遠に一緒だ」は、つい数分前までの娘の結婚式の話の流れを汲んで、そしてジャックのシャツの上にイニスのシャツが重なっている(ジャックの実家においてあった時と逆になっている)ことも含め、誓いの言葉という意味でもあったのではないかと思いました。
もうすでに死が二人を別れさせていますけど、それも越えて精神的に離れない,永遠に一緒だと。

でも、この最後の台詞の英訳がこの公開時に揉めたと聞きました。
英語の台詞は「I swear…」のみ。
単に「誓って~だ」「本当に~だ」みたいな意味なので、たしかに「永遠に一緒だ」はかなり飛躍がありますよね。賛否両論なのもわかります。

でも、「誓って……」といいかけているそのままで訳されてたら、「???」ってなっただろうな~とも思うのです。
私としては、「永遠に一緒だ」という言葉があったことで、このふたりのハッピーエンドだったんだろうと解釈できたので、この英訳でよかったなと思っています。

鑑賞後、余韻にどっぷり浸りました。

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