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最悪人相学と最高映画
最近Xでとあるインフルエンサーの失言をきっかけに「こういう顔の人はキツイ性格の人が多い」という趣旨の投稿が大バズりしていた。人相学という言葉を用いて統計的なデータに基づく学問のようなニュアンスとして語る人もいれば、真面目テンションで「人相学興味があるな。調べてみようかな。」とか引用している人も多数いて、かなり重めの溜め息が出てしまう。
なんか、仮に統計的なデータがあったとして、、あったとして、そのデータから漏れる反例の方々の気持ちを考えられないのかなぁ。
ただ失言をしたインフルエンサーと顔が似ているだけで性悪だと勝手に決めつけられる人らが可哀想で仕方ない。
そしてこれって明確にルッキズムじゃん。外見で人の性質を決めつけるってルッキズムど真ん中じゃん。。なんかこういうのそろそろやめていきましょうねっていう社会の流れじゃなかったのかよ。。落ち込んじゃうな。
あくまでもX内での出来事だから数万いいね程度だったらまだ無視できたけど、俺が見た投稿は10万いいねを超えていて、ひぇ〜ってなってしまった。
他人の容姿で性格を勝手に判断することとそれによって大規模な無差別攻撃をしていることに気づけない配慮のなさ、視野の狭さ、加害性を考えるにそれこそ性格の良し悪しでいうとだいぶヤバくないか?とも思うしな。
人相学とかほんとに流行らないでほしい。頼むから。馬鹿らしすぎる。身内で言ってる奴がいたらその場で注意するくらいには熱を持って反発していきたい。これは絶対によろしくない。だめ!
最悪!
野生の島のロズ」を観た。これは人相学とは反対にめちゃくちゃ最高だった。ほんとに最高。
あらすじとしては、野生の島に漂着したロボット(ロズ)が雁の雛を育てながら動物の世界の中でで愛と心を知っていくというものなんだけど、話の構造で言うならば周囲から異質な存在として恐れられる怪物が徐々に社会を知り、その中で心情を理解していくというようなよくある話だ。
でもこの作品は人間社会ではなく動物が溢れる野生の島を舞台として展開される話だから本来”モンスター”とは対極にあるはずの知性と理性で動くロボットという存在が異質な怪物として扱われるという構造の捻りがまずある。
この設定のおかげでロズは人間らしい社会的な振る舞いを会得しないまま心を築いていくことになる。つまりロボットらしい発想やロボットらしい言葉遣い、発声などは最後まで一貫したまま心が発達していく。人間をモデルに社会性を学ばないから完全に人間らしくならない。
これが俺的にすごい良かった。プログラムで成り立っているロボットらしいニュアンスが最終的に心を会得した後にも消え去ってないことが嬉しい。
よくありがちなのは心を得た怪物が完全に人間らしいフォルムになり、人間らしい振る舞いになるという話の着地。これに俺はいつも若干冷めていたのだけど正直まぁ仕方がないというか、心を知ったらそりゃこうなるよなと無理やり納得していた節があったんだけど、これを設定の捻りでクリアしていて個人的にかなりグッときた。
それからストーリーもすごく良かった。ロボットの成長譚だけでなく雁の雛が立派に羽ばたくまでの家族愛の話でもあるし、子育てを手伝ってくれる相棒的存在との友情譚でもある。
最終的に島中を巻き込む展開になるんだけど、血の通っていないロボットを起点として他者と繋がることの温もりをストレートに描き切っていて最高。
あとなんといってもアニメーションがとにかく素晴らしかったなー。。ほんとに良かった。
概ね写実的な表現ではあるんだけど、映画のコンセプトを崩さないように温もりを感じさせる画作りが徹底されていて、ストーリーの展開への感動はもちろんなんだけど映像の素晴らしさに何度も涙してしまった。映画であんなに泣いたの久々。あんま泣かない方なんだけどこれはかなり心に来てしまった。個人的な話だからあれなんだけど、去年死んじゃったおじいちゃんのこととかも連想しちゃってそれのせいもあったかも。
いやーとにかくいい映画だった。映画館で観てよかった。でかいスクリーンで観る価値のある作品だった。映画館ってこういう作品のためにあるよなぁとさえ思った。いい映画!
最高!