詩
好きな詩人の詩の中に
好きな詩とそうでない詩があるのは
一人の人の中に
好きなところとそうでないところが
あるようなものだろうか
とても深く共感する詩があれば
全然共感できなくて
読むのが苦しい詩もある
わたしは、その詩人を
好きなのか
好きではないのか
人間だから
合わないところは必ずある
悪い感情も潔く晒すのが
この人の性質だから
偽善者のわたしは
どうしても
共感できないのかもしれない
そうしていつしか
わたしは読めなくなった
詩も、小説も読めないし
映画も観ることができない
本当には
表現されたものを
読んだり観たりするよりも
地に足をつけ生きる人と話す方が好きだ
今では表現されたものの方が
不純に見えたりするのだ
生まれたばかりの赤ちゃんには
いいところしかないように
生まれたばかりの赤ちゃんが詩を書いたら
それはそれはとってもきれいなんだろうな
でも人は歳をとるごとに
染みのような痕が残っていく
それこそが詩なのだとしたら
わたしのこの読まずぎらいも
わたしの中の詩なのかもしれない
2022.09.08