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立春 第二候 黄鶯睍睆

二月に入ってどんどん朝の冷え込みは緩み、午後の気温も上がり始め、次の暑く乾いた季節の予兆が感じられるようになっていましたが、一7日の夕方は久しぶりにひんやりした北風が吹き、空には雲が湧き、遠雷と急雨に見舞われました。
8日もその冷たい空気が北タイの上に広がって、朝から花冷えのような空模様。そして午後には更に気温が下がって雹が降る地域もあるほどの嵐となりました。
タイには冬から夏への境の頃、マンゴーの花を散らす雨と呼ばれる嵐がやってきたりします。
北タイではこの端境期は、空も空気も晩春のような初夏のようなお天気で、こっそり北タイには一瞬の春があると常々思っています。
そんな春の嵐の二日間が明けると、雨と風のおかげで、空は冬の頃のように澄んだ青に、空気もひんやりさわやかに、「冴え返る」という春の季語が思い浮かぶようなお天気となりました。

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会社では、私の大風邪やいつも儀式のお願いをしているバラモンのおじいさんの白内障の手術、年末からのCOVID-19対策の引締めなおされた規制などで遅れた、新年の功徳を積む儀式を、9日に行いました。
この儀式の後から、その年の良いことがやってくるようになると言われているので、できれば一月中に済ませたかったという声もあったのですが、美しく爽やかなお天気に、九というタイではとても縁起の良い数字がつき、暦の上でも大変な吉日だという今日。誰もが今日という良い日になるべくしてなったと納得の日取りとなりました。
儀式を終え、お天気のように清々しく晴れ晴れとした気持ちで、「今日みたいな良い日に儀式ができてよかった」としみじみ笑いあいながら、ウィルスの嵐がそしてお隣の国で起きている悲しい騒乱が鎮まり、このお天気のように晴れ晴れと穏やかで自由な日々が戻りますように。と、あまりに陳腐だけれど切実な気持ちが湧いてきてしまいます。
この時期、日本や中国では、七十二候は第二候「うぐいすなく」。ウグイスが、地鳴きからぐぜり鳴きを始める頃ですが、こちらには、残念ながらウグイズは居ません。
代わりに、インドカッコウが、ヒュウゥイ、ヒュウゥイ!と、澄んだ声で恋の歌を歌い始めますが、ウゥイ!という抑揚のある語尾は、人のセンチメンタルな気分のせいかもしれませんが、春の高揚と、それとはうらはらな切なさがあるように思えてなりません。

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