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夏至 第二十九候 菖蒲華

七月になりました。昨年同様、奇妙な一年の半分を折り返しました。今日からは七十二候 末候半夏生ですが、 昨日までは、次候 菖蒲華、あやめはなさくでした。
子供の頃過ごした場所は、家の周りに岸に菖蒲やあやめが繁る小川が流れていたり、庭にも野生のあやめやシャガが群生していましたし、時折出かける高原の湿地にも、カキツバタが自生し、霧まで染まりそうな冴えた青紫の花を咲かせていました。
そんなこともあってか、あるいは、あの独特な立体的な形やジャーマンイリスの香りが好きなせいなのか、本物の花はもちろんのこと琳派の屏風でも着物の紋様でも、菖蒲やアヤメの花や葉の形、イリスの香水がとても好きです。
けれど、残念ながらチェンマイではこれらの花は見かけません。なぜかひょろ長い黄色い小さなアヤメの仲間はありますが、なぜか雰囲気はヒオウギのような渇いた様子でもあり、紫のしっとりとしたアヤメや菖蒲らしい花は無いのです。

そんな中、あちらこちら探して見かけたのが、このアメリカシャガとアフリカイリス。
アイリスや菖蒲の花が恋しくて市場で探していた時に、見つけたものです。
アメリカシャガは、遠目には「らしく」香りも良いものの、近くでみると少し動物的な印象です。そして、別名をウォーキングアイリスとも言うのですが、それは花のついた茎を伸ばし、それが地面に着くとそこから新しい株ができるから。ゆっくりと新しい仲間を広げていく歩みを進めるアイリス。という感じでしょうか。
そんな性質も、懐かしい記憶の中のすっくと立つ杜若やアヤメの、紙か布を折り畳んだような様子とはなんだか違うなあと感じてしまうのです。

アメリカシャガ

そして、このアフリカイリス。こちらは、もう少し日本のアヤメに近しい感じがしますが、これでもう少し色が濃い紫ならば。。とないものねだりをしてしまいます。

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とはいえ、日本へ花を見に行くこともままならないこの頃。
アメリカシャガはブラジル原産、ウッドイリスエチオピアから南アフリカ周辺が原産だといいいます。いずれもチェンマイへの長い旅をして、我が家の庭までたどり着いてくれたのです。日本の花の形代として見つけたものではありますが、これはこれとして愛でてあげたいと思うのです。

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