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本と毛布で遠くを思う
旅した場所といえば、子供の頃に本で読んだ神話や物語の中で忘れがたく憧れた場所であり、そこで出会ったり学んだことに、日々おおいに助けられたり、また、仕事のアイデアの種子にしても、ふとしたきっかけで始まる連想の先で、遠い記憶から取り出されたものだったりするのを鑑みると、スヴェン・ヘディンは、少年時代に自らのライフワークが何か見出せた人は幸せであると言ったけれど、自分ももしかして、少しだけそんな幸いを分けてもらった一人ではないかと思います。
そんな身にはこのウィルスの嵐で移動がままならないことは、不自由なことであるようですが、意外にさにあらずみたいです。
改めて、冬の脆い日ざしの中で毛布にくるまりながら、本の言葉や映像の海に潜り込み、言葉の匂いや味や手触りを吟味していると、子供の頃の遠くを思い憧れる気持ちが、ひだまりの暖かさや時には澄んだ冷たい水のような手触りで全身に満ちてきて、その幼心と向き合うことは、このさまざまに荒々しい世界の中で、自分のありようを静かに保つのにおおいに役立っているようです。
というわけで、ここ10日ほど風邪で寝込んでしまったということもあるのですが、今しばらくは、柔らかい毛布にくるまり、本を抱えてこのテラリウムの中か小さな中庭にいるような感覚に沈潜していようかなと思います。
そういえば、大好きな絵の一つのタイトルに「私は私自身に鍵をかける」というのがありましたっけ。