小満 第二十三候 紅花栄
小満 第二十三候 べにばなさかうは、 5/26~5/30のあたり。
その少し前の時には40度に届きそうになる大変な暑さに負けて、この時期もひきつづき仕事も休んで家で横になり本を読むかうとうと眠るかで過ぎる毎日になってしまいました。
紅花はエジプト原産、なんだか暑いところでも咲きそうですが、残念ながらチェンマイの市内で花が育っているのを見たことはありません。(生花市場では時々花束を見かけるので、涼しい山では育つのかもしれないですが)けれど、タイはハーブとスパイスの国。ハーブティはどこにでも気軽に売られていて、もちろん紅花のお茶もあります。また、中国の文化の影響も多いに受けているタイ。市場へ行けばタイ式に変化した漢方のお店もあります。
七十二候を確認しながら、紅花は漢方で言えば体を穏やかに温め滞った血行を整えるものだったっけ。過激な暑さと思わず使ってしまったエアコンの涼しさの間ですっかり混乱してしまった体がなんだか落ち着いてくれそう。そういえばキッチンに紅花茶があったのだった。と、季節に置いてけぼりにされそうにぼう洋とした身体で、まるで生まれて初めてお茶を煎れる人のようにたどたどしく、紅花茶を用意し、少しこの頃の土や枯葉の匂いがする空気のような香りの深い朱金の液体をそろそろ飲みながら、汗をかき、身体を温めるのが第二十三候の間の日課でした。
おりしも、今年の5月の満月の日(しかも月食!)、26日は、日本のそれにあたる灌仏会とは日にちが違いますが、仏誕節(ウィサカブーチャ)。
日本では花御堂をつくり幼い釈迦像に天の聖なる水に見立てた甘茶をかけてお祝いしますが、月食のように陰るようだった身体が、図らずも優しい色と力に満ちた滋味ある花のエッセンスで救われたのはなんだかやけに符牒が合うよう。
その名のとおり紅花の満開の花を楽しむとはいきませんでしたが、はからずもこの花の優しい力に助けられる日々となったのでした。