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『リトル・ファイアー 〜彼女たちの秘密』全8話 - 子供を壊す言葉(海外ドラマ感想文)

親が子供に言ってはいけない呪いの言葉……。

それを熱血ママに言わせる脚本。これだけでも見る価値がありました。

2人の母親の確執、抱えている秘密により、家庭が崩壊していくスリリングなドラマです。


あらすじ

1990年代後半、アメリカのオハイオ州にある裕福な郊外コミュニティ。

邸宅が焼け落ちる……。

自然火災ではない。
誰が火をつけたのか……。

4人の子どもを持つエレーナ(リース・ウィザースプーン)は、子育てをしながら地元の新聞記者としてバリバリ働き、充実した生活を送っている。

そこにシングルマザーのアーティスト、ミア(ケリー・ワシントン)と娘のパールが引っ越してくる。同情したエレーナが所有する家を格安で貸し、家事手伝いの仕事も手配する。

なにかと気にかけるエレーナ。しかし家庭環境があまりに違う。

母親たちの抱える秘密が明らかになるにつれ、2人の関係だけでなく、それぞれの家庭が壊れていく。

8話イッキ見

郊外の主婦のいざこざかな、と予想しましたが、思った以上に社会派ドラマでした。

人種問題、経済格差、LGBT、いじめ、親権問題など様々なテーマが盛り込まれています。かなりボリュームはありますが、どの問題も考えるきっかけになるくらいまでの情報は提供されます。

細かい配役にこだわりがあり、演技に引き込まれました。セリフ以外のちょっとした動きも達者です。

主演のリース・ウィザースプーン、ケリー・ワシントンは製作総指揮も兼ねていて、かなり熱の入った演技です。

エレーナもミアも、ちぐはぐな行動を取ったり、共感できないようこともあります。ですが演技に説得力があるので、納得してしまいました。

子どもたちもハマっていて、あっという間の8話(1話あたり60分)でした。

なぜ舞台が過去なのか?

制作されたのは2020年ですが、舞台は1990年代後半です。

母親の孤立を巧みに表現しています。

社会のコミュニティが崩れ始めた時代。
母親と子供が、1対1の関係になった時代。

とくに問題になっているのが2点。

・母親の孤立
・子供への過干渉

今でも問題になっていますが、子育ては親だけでなく、社会が関わっていく、という感覚が広がりつつあります。

エレーナの家庭では子育ての責任は母親にのしかかっています。ミアはシングルマザーなので責任を全部引き受けています。

こうした背景から、母親のエゴと、子供の価値観がぶつかりあっていきます。

母親たちは周りの目を気にし、自分の子育ての理想に縛られ生きています。そして母親が家庭において絶対的な権力を持っているので、子どもたちは本音を明かすことができません。

言われたら嫌な言葉のオンパレード

「文句があるなら出ていけ!」

これは僕自分も言われたことあります……。出てかなきゃ怖いし、出てったら出てったでめちゃくちゃ怒られる……。

この時代を生きていたので、ツラさに共感する部分が多くありました。

ドラマが進むに連れて、母親たちの言葉がどんどん強くなっていきます。

悲しいのが、すべて善意から行動していることです。

さらに悲しいのが、2人とも独善的な正義で動いているので、間違った方向にどんどん進んでしまうことです。

そして最後。

エレーナが決定的にひどい言葉を投げつけます。

信頼が音を立てて崩れていく……。

こんなときにも父親は……。こうした脚本も上手い!

ドラマを通して、人間関係を振り返ってしまいました。

吹替版あったの知らなかった……。吹替版でまた見ます!

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