情報通信関連法(IT時代の法律)
デジタルファースト法が2019年5月に制定されてから、行政手続オンライン化法も改正されて、デジタル行政推進法に名前が変わった。
端的に行政手続きをITで簡素化・効率化しようという内容のアップデート。
個人事業主や経営者が給付金を最大100万円ないし200万円もらえると触れ込みの持続化給付金制度も、やんや言われている割にはスピーディにネットで申請できるようになっている。
コロナがそこかしらで騒がれ始めた時期に公開されたこちらの対策サイトも記憶に新しい。まあこちらは行政手続きというわけではないけど。
デジタル行政推進法がコロナ前に決まっていたのは不幸中の幸いか。
正直行政書士の勉強をしていなければ知ることもなかったかな。
法律もIT時代に対応しているんだねえ。仕事している人はしていて、それを知らない人も多い。社会に興味を持つ・持たないの分水嶺はこの辺りにあるのかもしれない。
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という事でコロナにかこつけてデジタル行政推進法だけ先に書いてしまったので、残りの情報通信関連法を整理する。
不正アクセス禁止法
2000年2月制定。不正アクセス行為をしてはならず、不正にIDやパスワードを取得してもいけないし、その助長もダメ。不正に取得したIDやパスワードを保管してもアウト。管理者になりすまして不正にIDやパスワードを要求するのももちろんノー。全て処罰対象。そういう法律。
迷惑メール防止法
2002年7月に施行。2008年以降は「あらかじめ同意した人にしかメールを送ってはならない」とのこと。オプトイン方式と呼ぶらしい。シンプル。
プロバイダ責任限定法
2002年5月施行。プロバイダ=特定電気通信薬務提供者(不特定多数人が情報を受信する電気通信を伴うサービスの運営者)の損害賠償責任の制限や発信者情報開示請求などについての取り決めを定める。
違法アップロードで例えると、ユーチューブにテレビ番組をアップロードした場合、ユーチューブがプロバイダ。で、プロバイダ責任限定法はユーチューブを守る法律。登場人物がアップロードした人とテレビ番組作成者。
このとき、違法アップロードの責任をユーチューブが負う必要はないことがプロバイダ責任法に定められている。また、テレビ番組作成者が違法だから削除してと頼んで削除した事で違法アップロード者に不利益が生まれてもユーチューブは何も損害賠償する必要がない。ただし、番組作成者が違法アップロード者の情報をくれと発信者情報開示請求をしたら、教えてあげないといけない。そういう法律。
ユーチューブ的サービスは悪用する人を始末する姿勢を見せさえすればやったもん勝ちってことね。著作権侵害コンテンツとかわんさかあるよね。これは何かおかしい気がする。スッと言葉にできないけど。
著作権法
1971年に施行。他人の著作物をコピーしたりインターネットで送信したりする場合、原則として著作権者の許諾が必要となる。
違法アップロードで例えると、テレビ番組作成者に許可を貰えば、適法アップロードで違法ではないということ。違法アップロードの何が違法かって、半世紀も前に作られた著作権法に違反してるってことなのね。
青少年ネット環境整備法
2009年4月に制定。青少年が安全に安心してインターネットを利用で桐井環境の整備などに関する法律。
携帯電話会社は、端末がインターネットに接続できる場合、保護者が不要と言わない限りはデフォルトで青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する義務がある状態らしい。
何が有害かどうかってどこが判定しているんだろう。ちょっと気になる。
軽く調べたけど、どこにもリストは出ない。調べ方が悪いのかな。
中国レベルとは思わないけど、フィルター対象リストを確認できない場合は権利者(携帯電話会社)が恣意的に除外できる余地を感じる。考えすぎかな。
電子消費者契約法
2001年12月に施行。消費者が行う電子消費者契約に錯誤(さくご=勘違い)があった場合、民法では重大な過失がない限り消費者は「錯誤取り消し」と言って契約を無効にできるが、電子取引の場合は確認画面がないと消費者に重大な過失があっても取引を取り消せる模様。
ITでサービス提供するなら「確認画面」つけようってことだな。
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ひとつ驚いたのは、毎年毎月のようにいろんな法律が作られたりアップデートされてること。前に三権分立で「立法府」を整理したけど、ちゃんと仕事してるんだな。あんまり知らないからさ、どうにもメディアの報道で偏見を持ってしまったのか「法律作るやつらは自分の利益のためにやってる」みたいなふわっとした嫌悪感を持っていた。実際そういう部分もあるのかもしれないけど、反省。
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