シティボーイズとラジカル・ガジベリビンバ・システム そのに

だんだんと曖昧になっていく記憶をたどって書いてみる。

シティボーイズが人力舎に所属するまでを書いた。毎月決まったギャランティを保証することと定期的に舞台をやることが条件だった。
が、その頃の人力舎では、定額のギャランティーを支払っている場合は、実質「バンス」という形態になっていた。「バンス」=前借りですね。「上海バンスキング」なんてえ舞台も映画もありましたが、戦前戦中のジャズマンの用語でさあります。
つまり、仕事をして収入がなければ本人の借金が増えていくだけ、しかも会社のお金が減っていくだけということ。これはたまらない。
ちなみに人力舎社長は、返さなくてもいい条件もつけていた。
それは芸能界を辞めて二度と戻ってこないというものだった。鷹揚なのか厳しいのか‥? 会社の赤字はいいのかしら? しれっと戻って他でやってた奴もいたけどね。
そのことが以前書いた自分が人力舎に入った時の東中野のおでん屋での社長の愚痴に繋がっていったのね。
タレントの生活のことを考えなければならない。約束した通り舞台もやらせなくてはいけない。仕事をふれば「そんなのカッコ悪いからやりたくない」と言われる。
こりゃあ大変だなあ。
で、なんとか説得。嫌々ながらいろんな仕事をしたんだと。
赤坂「コルドンブルー」に一ヶ月ベタに出演とかね。超有名店ですね。「ゲバゲバ90分」とか数々の番組を作った元NTVの井原高忠さんが演出したり、前田美波里さんや夏木マリさんが出演したり、フランクシナトラやジョンレノンが客できたりした高級店。とんねるずが出演した時、筋の良くない客にキレてバックドロップをかましたこともあるという。若手芸人は嫌で嫌でしょうがなかったという。
そこで舞台監督的な仕事をしていたのが比嘉くん。シティボーイズがスカウトし、その後のシティボーイズのステージのみならず東京のお笑い系のステージのほとんどの舞台監督をやることになる。加えて自分が人力舎を辞めずに現在に至る一因となる人物である。が、それはまた別の話。
脇道が長くなってしまった。
シティボーイズが人力舎に入ったほぼ同時期に日本テレビで「お笑いスター誕生!」が始まる。玉川社長は番組開始時にいろいろとプロデューサーにアイデア出しをしていたらしいが真偽のほどはわからない。
人力舎もサムライ日本などを出演させるが、これサムライ日本本人が「もう勘弁してくれ。審査なんかされたくない。」と言って降りてしまう。
そして次にシティボーイズが出演することになる。
第一期のグランプリシリーズでは10週勝ち抜けばチャンピオンになることができた。
B&B、おぼん・こぼん、小柳トム(ブラザートム)、とんねるず、等々そうそうたるメンツがストレートでチャンピオンになった。このシリーズの最後のチャンピオンがシティボーイズだった。ストレートではない。何度か落とされて再挑戦しての結果だった。タモリさんとか審査員の評価は高かったのに‥。
これね。社長が言っていたの。
「あれさあ、落としてって俺が頼んだんだよね。だってよお、ストレートでチャンピオンになったらもう出れねえだろ?挑戦し続ければズーーーっと出れんだぞお。」
ホントかよ!?裏から手を回してやがったのか!逆八百長じゃん。
後輩の「怪物ランド」にも先越されちゃったしぃ。
「後輩」と表現したのにも理由がある。怪物ランドは、現在演劇演出家脚本家etc.の平光琢也、声優で音響監督の郷田ほづみ、俳優の赤星昇一郎の三人組。元々「摩天楼」という劇団をやっていた。日大の学生劇団。シティボーイズが出演していた「劇団暫」と同じ頃に池袋の「シアターグリーン」でよく公演した。つかこうへいの影響を強く受けた作品を上演していたので、つかこうへいと関わって来た劇団暫を“お兄さん劇団”と思っていたらしい。そうきいたこともある。シアターグリーンから。
そういえばある劇団暫の公演の開演前に「摩天楼」の団員がロビーでアイスクリームを売ろうとしたことがあった。その時は、のちに「つかこうへい正伝」で新田次郎文学賞をとる、脚本家の長谷川康夫さんが怒鳴り込んでいったなあ。
「お前ら誰の許しを得てここで売ってんだよお!」
「あ、、、、シアターグリーンさんです‥。」
「‥……………。」
その怪物ランド。シティボーイズを慕っていたのかある日人力舎に入りたいと言って尋ねてきた。社長は、
「もうお芝居っぽいのはシテーボーイズいっからなあ。」
と言って電話をかけ始めた。相手は田辺エージェンシーの川村さんである。
で、その場で怪物ランドの田辺エージェンシー所属が決まった。
らしい。

さて横道にそれ過ぎた。
シティボーイズは約束通り定期的に舞台をやることになる。
それが「シティボーイズ・ショー」だった。

つづけ!

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